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獣人(双子)×獣人 狼狼×狼 ①
しおりを挟む狼獣人(双子) 「ティー」「ディー」 × 狼獣人 「ペロ」
※オメガバース設定
※3P(CP固定)
雨上がり、濡れた地面を踏みしめながら俺は山を登っていた。
小雨だろうと天候を見誤り少しばかり時間が取られてしまったのは本当にどうしようもない。
どうしても今日中にしてしまいたかった訳でもないのに、どうしてこう、思い立ったらすぐに動いてしまうのか。
何度も繰り返しているんだから、そろそろ学習しろよ俺。
滑らないよう気を付けながら歩いていると、フと嗅ぎ慣れない匂いが流れて来た。
……何の匂いだ?
鉄?
まさか血では無いよな?
この森に肉食は居るが、皆この辺りには近寄らない。
出来る限り足音と気配を消し、匂いの元を探る。
人間がこの森に来ているなら最悪だ。
彼奴らは自然の何たるかも、力関係も理解出来ない排他的生き物だから。
木々の間から覗き見るが、匂いの元は見当たらない。
……血溜まり?
獣の唸り声がもう少し先で聞こえる。
まだ幼い声だ。
「お前達、親は?仲間は居ないのか?」
小さな黒い狼が二頭、血の匂いを纏って唸る。
「ああ、俺も狼だ。人間では無いぞ」
隠していた耳と尾を出せば、少し警戒を緩めた二頭を取り敢えず抱き上げ家へと向かう。
「大丈夫だ。すぐに手当てしてやるから、ちょっとの間我慢してくれ」
唸る二頭は噛もうとはせず、俺の腕に爪をたてた。
この怪我で落とされたら溜まったものじゃないだろうしな……少し痛いが、我慢するか。
先程よりも足を早める為に、仕方無しに木に登り幹を飛んで渡り家へと向かう。
俺はあんまり運動得意じゃないし出来ればしたくなかったけど、子狼の怪我的に急ぎたかったから、仕方ないよなぁ。
「よーしよしよし、これでよし、っと。次はお前だぞー」
二頭の手当をしながら健康状態も見るが、特に問題は無さそうだ。
血も固まっていてかなり回復していた。
若いって、すごいな。
「クォォーーーン」
「クルオォォーーン」
遠吠えも上手だし、迷い込んだだけみたいだな。
匂いも覚えたし、親元へ連れて行ってやらないと。
「よし、元気みたいだし、親元へ行こうな。大丈夫、大丈夫。ちゃんと届けてやるから」
手を伸ばせば二頭は揃って部屋の隅へと行ってしまう。
「どうした?親の所へ帰りたいだろう?此方へおいで」
先程の遠吠えとは違う、拒絶の鳴き声にどうしようと逡巡する。
「どうしようか……流石に、俺は子供の育て方なんて知らないぞ……」
「こども、じゃ……なかった、のか?」
ドクリドクリと煩い心臓を押さえつけ、俺は人化した二人から距離をとる。
笑う二人はこちらに近寄り手を伸ばす。
「ペロ、やっと発情期が来たんだね」
「待ってたよ。ずっとこの時を」
後ろに下がるが、家具に当たり動けなくなる。
「満月の夜に発情期が来るなんて、とっても興奮するね」
「ペロ、こっちにおいで。一緒にイイ事しようよ」
嗅ぎ慣れた、二人の匂い。
その中に混ざる、間違う事の無い強者の匂い。
何で……この二人が……。
「ペロ、おいで」
「ペロ、ペロ」
そっくりな双子は目を光らせ俺を持ち上げ簡素な、俺と二頭でよく寝たベッドの上へと俺を置いた。
「イイ事しようね」
「番おうね、ペロ」
「……はっ、は……はー…はぁー……」
息が上がる。
月に照らされた二人は、ゾッとする程笑顔で……。
「辛いね、ペロ。でも大丈夫」
「今度は俺達が、助けてあげるね」
前からティーが、後ろからディーが俺を抱き込み手を滑らせて服をぬがして行く。
「だ、めだ…ダメだダメだ、止まれ、止まってくれ」
震える手で腕や頭を押すが返ってくるのは、欲を浮かべた目と愛撫だけで…俺の意思は尊重してくれないらしい。
「ダメなのはペロだよ。ずっと好きだって、ずっと一緒に居ようねって言ってるのに聞いてくれないなんて…とっても寂しかったんだよ?」
「でももう良いんだ。だってもうすぐペロが手に入るんだもん。大丈夫だよ、俺とティーが二人でペロを満足させるからね」
「いい、いらないっ、俺は、そんなの望んでない!」
「ペロが望むのは俺とディーが他の雌を孕ませて過ごす日々でしょ。そんな未来絶対来ないから。俺とディーはペロ以外要らないんだから」
孕ませるなんて、どこで覚えたんだ。
「俺らの何もかもを知らないその他なんてどうでもいいよ。ペロが一番俺らを知ってるでしょ?それでいいの。俺らのペロ」
その他なんて、なんでそんな事を言うんだ。
優秀なαは、番うべきΩを、探すべきなのに。
「ペロは俺らのΩだもの。自分で子宮取っちゃうなんて、そんなに子供は嫌いなの?まぁ、邪魔する奴が増えなくていいんだけど…ねぇ?」
「ペロ、好き、ペロ。俺らのペロ」
鼻を鳴らし俺の匂いを嗅ぐディーと、首元を舐め続けるティーは、濃い匂いを纏っている。
違う。
違う違う違う。
俺なんかが、番なわけが、無い。
「「今、余計な事考えた?」」
声を揃えた二人は、目が眩むほどの匂いを撒き散らす。
「あ゙…ぁぁ、あ……」
心臓が暴れ、ヒクリと喉が鳴る。
息の仕方を忘れたかのように、上手く吐き出せない。
「ふふ、ペロ。息はちゃんと吸ってから吐くんだよ。子供じゃないんだから」
俺の顎を舐めたティーが俺の膝裏を持って足を広げさせる。
嫌だと閉じようとすれば、ディーが後ろから俺の足を持ち固定させ、ティーはこれ幸いと俺の下着に手をかけた。
待って、俺、こんなつもりで二人を助けたわけじゃ無くて…。
「ペロ。ペロの為に、俺らずーっと我慢してたんだよ?褒めてくれるよね?」
「ペロ、隠しちゃヤダ。全部見せて…お願い」
可愛い子供と思うなかれ。
昔旅人に言われた言葉。
もし今日の事を察していたならば教えて欲しかった。
そうだったならきっと、俺はこんなにもズルズルと二人の面倒を見ていなかったのに。
この二人だって、耳欠けの俺なんか選ばなかっただろうに……。
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