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アンさん

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人間×人間 裏社会住民×暗殺者 ②

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「おはよう、ナナ」


目が覚めると目の前に標的が居た。


あれ?


昨日殺したと思ったんだけど…。


気付かれないように手を動かすが目当ての物が見つからない。


「ナナ、危ない物は持っちゃダメだろう?大丈夫、元気になったらいっぱい俺と遊ぼうな」


頭を撫でられ、ピクリと眉が動く。


……標的が、目の前に居る。


任務を失敗した?


強く歯を噛むが液体が出てこない。


……成程、全て没収済みか。


この体の力では、首の骨は折れない。


ましてや、今は何故か腕以外が動かない。


……拘束するなら全身のハズ。


腕だけ、何で動くんだ?


「ナナ、挨拶は?起きたら「おはよう」って言うんだぞ?いいか?おはよう、ほら、言ってみろ」


腕が動くなら、まだ殺れる。


腕で体を起こそうと力を込めると、脇に手を入れられ抱き上げられた。


「どーしたー?んー?喉が痛いのか?ほら、おはよう、って言ってみろ」


これでは殺せない。


プラプラと足が揺れ、力が入っていないのがよく分かる。


「ナナ、言葉が分からないのか?ナナ?」


そもそもナナってなんだ?


数字か?


7番目って事か?


それだけ、コイツは殺せない人物なのか?


「ナナ、返事は?ナナ」


ナナしか聞き取れない。


……あれ……ナナって日本語だよな。


7番目…では無い?


「ナナ?おーはーよーうー」


ゆっくりの発音に挨拶だと理解した。


会話をすれば、多少隙は生まれるだろう。


『……おはよう、ございます』


「ああ!おはよう、ナナ。日本語だよな、今の。よしよし、ちょっと待てよ」


何か機械を弄った後、標的は俺を抱き上げたままクルクルと回りだした。


「よーしよしよし、言葉は喋れるなー。ナナ、ナーナ」


回って抱き締められて頭を撫でられまた回るを繰り返していると、女の人が入ってきた。


「ボス、何をしてらっしゃるんですか?」


「何って、ナナとお喋りしてるだけだろ?」


「回って遊ばないでください。その子は……病み上がりなのですから」


「ナナ、コイツは胡蝶。日本語が喋れるから通訳してもらおうな」


「私は翻訳機か何かですか?まぁいいです。その子は日本語を喋るんですね?」


「おう。間違いなく日本語だった」


「そうですか。『言葉は分かる?』」


この人日本語喋れるんだ。


『はい』


「『それは良かった』間違いなく日本語ですね」


「そうだろう?よーしよし、ナナ、お前は今日からナナだぞ。ナナシだからナナだ」


「『ナナ。これが今日から貴方の名前よ。覚えておきなさい』」


『了承』


「ナナ、検査が終わったら散歩に行こうな」


「ボス、その子はまだ外に出せません」


「ああ、そうか。前の飼い主の処分が先か。ナナ大丈夫だからなー。なーんにも怖い事はないぞー」


笑う標的に、溜息をつく女性。


動かない体で何処まで殺れるだろうか。


「ナナ。殺人は俺の許可無しに行うな。いいな?」


「『仕事はボスが命令を下した際にだけ行いなさい』」


……なる…ほど。


この標的が今日から俺の主、っていうわけか。


つまり、前の主は俺を捨てたのか。


まぁ、そうだよな。


そういうもんだよな。


ここでは、どれだけの期間いれるんだろうか…長くはないよな、言葉も通じないし。


少し力のこもっていた腕から力を抜き脱力する。


……今度こそ、死にたいな……。


殺して、殺して、殺して。


殺されかけては生き延びて。


これを幸運だと言うのなら、要らなかった。


これを運命だと言うのなら、投げ捨てたかった。


誰でもいい…誰でもいいから、どうか。


「……『こ、ろ、し、て』?胡蝶、どういう意味だ?」


「死にたい、かと」


「何故ナナは死にたがる?」


「『何故死にたいの?』」


『……理解、不能』


「どうやら本人も理解していないみたいです。漠然とそう思っているのかと」


「そうか…ナナは死にたいのかー。でも残念。ナナは俺のだし、俺の所以外は行かせないから」


俺を抱きしめた標的…いや、ボスは、嬉しそうに笑っている。


……扱いやすい道具として、俺は何処までボスに尽くせるだろうか。






『あ、あっ……ん、ぁ……あ』


性器を握られ緩く擦られる。


ああ、やっぱり性欲処理はしないといけないのか。


痛いし気持ち悪いのに、仕事が無い日は使んだ。


「ナナ。ほら、出さないと辛いだろう?」


『っ、あ……は、ぁあ、あ…ん、んん』


入れるだけでいいのに、何で俺の物を扱くんだ?


キツイのが嫌いな人なのだろうか?


「よしよし、ナナはもう15歳だから、ちゃーんとこうやって吐精しないと、体に悪いからなぁ」


『あ、は……ぁあ、ん』


もう二度イッているが、この大きな手は止まらない。


「ナナはいい子だなぁ」


前を触られながら後ろに手を伸ばされ、体が強ばる。


痛いのは嫌いだ。


でも、もう昔より耐性は出来ているから大丈夫な範囲は広くなっている気がする。


そういえば…昔は切り傷が1番痛かったな…。


その次は骨折で、その次が煙草の火。


今は……銃創が1番痛い。


刺されても動けるし、多少無理したら骨が折れていようが関係無しに戦える。


ああそう言えば……俺は毒を飲んだのだと聞いた。


体が動かなかったのは毒による麻痺だと医者の様な人が言っていた。


色んな毒物を摂取して耐性つけていたから助かったのだと、理解した。


最悪だ。


死にたくて行っていた行為がこんな形で結果を出すなら、もっと強力な物を沢山飲んでおくべきだった。


ビクビクと怯えながら生き長らえるぐらいなら、さっさと死んでしまえれば楽だったのに。


「標的を殺したらお前も死ね。証拠は残すな」


前の主の最後の命令。


…………ああ、そうだ。


標的ボスを殺そうとして、俺はこの人に惹かれたんだった。


誰も俺を処理物以外の何者もとして見てくれなかったのに……この人は俺を抱きしめてくれた。


まぁ、寝ていたから寝惚けていたか無意識だろうけれど、俺はそれが嬉しかった。


だからこの人の元で…殺さなくとも死のうと思った。


どうせ俺が死ねば全て片付くのだから。


噛み締めた歯から漏れる液体は、どんな味だっただろうか。


「考え事か?ナナ」


『ひぐっ、あ…あぁっ、あー……』


ボスの考えは分からない。


言葉を理解出来ない以上、何も分からないけれど……でも、この行為に何の意味があるのだろう?


「ナナ。俺がボスだ。それ以外は何も知らなくていい」


かけられる言葉は、一体俺に何を伝えようとしているのだろう?


「ナナはもう、俺のペットものなのだから」


『あふ、あ…ぁあ、あん……んんー…』


「声が出せて偉いな、ナナ。ナナ、ナナは可愛いなぁ」


頭を撫でるその手は、俺に何を望むのだろう?


『いっ、あ…ぁああ、あ゙ぁあぁぁ』


その俺を見る青い目は、俺を何時切り捨てるのだろう?


「イけて偉いなぁ、ナナ」


この意味の分からない行為は、一体いつまで続くのだろう?




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