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獣人×獣人 狼×豹 ⑥
しおりを挟む「美味しい」
今日は念願のむぅとのでーとの日。
むぅのオススメの喫茶店で大好きなフルーツタルトとチョコケーキ、紅茶とコーヒーを嗜んでいる。
ああ、甘い物ってなんでこんなに美味しいんだろう。
紅茶やコーヒーに合うし、ジュースにも合う。
「すぅ、これも。あー」
むぅが差し出してくれた抹茶のケーキを頬張り頬をおさえる。
美味しい、すっごく美味しい。
こんなに色んな種類を一気に食べたのは初めてだ。
「美味しいね」
「うん、どれも美味しい」
2人で笑い合い、ゆっくりとした時間を過ごす。
ああ、でーとって素敵。
「近くにクレープとタピオカを売ってる店があるから、この後行こうね。後は…そうだ、雑貨屋もあるんだよ。新しいペンが欲しいって言ってなかった?」
「そうなの?何にしよう…ペン?…あ、そうだ。ペンと付箋が欲しいんだよ、忘れてた。ありがとう、むぅ」
「すぅとのお出掛けは久々だからね。色々リサーチしたんだ。何か他に欲しい物は無いの?」
「ありがとう、俺すごい嬉しい。他には…うーん…今は無いかなぁ…あ、いや」
そうだ、忘れてた。
「2週間後に会食があるんだ。むぅも参加する?参加するなら、服見に行かないと」
「良いの?」
「もちろん。番が出来たなら連れて来なさいって、樂楼の女将さんに言われてるんだよ…あ、嫌なら良いんだ。機会は沢山あるからさ」
「参加するよ、番として。服かぁ。樂楼さんの所ならまた着物かな?」
「ううん。今回はMIZENOの人が来るから、そこの服にするの。簡易な会食だから別に拘る必要も無いんだけど、一応ね」
「そっか、じゃぁお揃いにでもする?」
お揃いに…でも…。
「んえ、お、おそろい?」
「そう。ほら、世間では双子コーデとかあるだろう?」
「…双子コーデ…おそろい…」
それは…とても魅力的だ。
「むぅなら、あれが…でも、お揃いにするなら…え、じゃぁ、あれ?でも…」
頭の中でMIZENOの服を思い出し、俺とむぅに色々なものを合わせていくけれど、どうにも当てはまる物が無い。
「すぅ。お店に行ってから考えようね。ほら、飲み物が冷めちゃうよ?」
「あ、うん、ごめん。ねぇ、俺がコーデして良い?」
「もちろん。楽しみにしてるよ」
期待に応えないと。
でも、今は目の前にある好物をお腹に収めよう。
美味しいものは美味しいうちに食べないと勿体ないからね。
むぅのケーキをちょこちょこと貰いつつ、俺は感嘆を漏らした。
こんなに素敵な時間が過ごせるなら、もっと前からでーとを知ってたら良かったなぁ。
まぁ、でも。
これからもっと沢山一緒にお出掛けしたら良いだけだよね。
時には遠出とか?素敵。
ふふ、楽しみ。
美味しい、と漏らすすぅを見て自然と顔が綻んでしまう。
ユラユラとしっぽを揺らし、頬を染めるすぅは本当に可愛くて魅力的だ。
好みの物を好きなだけ頼んで良いと言ったら「次の楽しみが…」なーんて言われて喜ばない番は居ない。
仕事の話になるとすぐ思考がそっちに行ってしまうのは仕方ないけれど、今はデートを楽しんでもらいたい。
これっきりなんて思わせて二度とデート出来なくなるなんて考えたくない。
また美味しそうに食べ始めたすぅを見て口角が上がる。
夏休みは始まったばかりだ。
色々な場所へデートに行って、もっと沢山すぅと一緒に過ごして、日々を楽しみたい。
ああ、今年は海へ行ったり海外へ行くのも良い。
仕事が休みと言っておきながら会食はあるということは、また何か新しい案が出来たかそれとも…。
なぁ、すぅ。
こんなにも年相応なすぅが、ーーーだなんて誰も思わないよな。
愛してるよ。
ずっとずっと。
例え、彼奴らに知られたとしても、俺は…。
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