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妖怪×妖怪 大天狗×オニ ⑨
しおりを挟む「は?勃たなくなった?」
一報を受けたのは、昼下がり少し曇った中差す日に当たりながら茶を飲んでいた時だった。
「はい、ばあやはそう聞いております」
ずっとアゼツを幼少期から見守り続けた乳母のばあやから、アゼツの最近の体調不良の内容を聞かされた。
「は、ははは、あはははは、アゼツ、おま、おまえ、あははははは」
腹を抱えて爆笑し、目に涙が張る。
「はは、はははっ、あは、ごほっ、げほっ、っぁは、はは、はー…」
目元を擦り、眉間に皺を寄せ口をひん曲げたアゼツを見やる。
「気にするな、な?どうせ疲れているだけだ」
「そんに笑わなくても良かっただろう」
「いや、まさか、アゼツが勃起不全とは…くふふ、いやぁ、笑った笑った」
あの堅物が…勃っていなくても堅物のアレが勃たないなど…笑わないわけがなかった。
「そう不機嫌になるなって。ずっとそうだと決まった訳では無いのだから」
「かもしれない、と言われたのだぞ」
「そうか、そうか。ずっとその調子なのであれば、僕以外の番は娶らなくて良さそうで安心だよ。養子でもとる?」
「アオ。初めからアオ以外は番を作らんと言っていたはずだ。養子等要らん。座を譲れば良いだけの事」
「あははは、アゼツそう怒るなって。な?ほら、一緒に日向ぼっこでもしながら昼寝をしよう。幾ら多忙でも、休まなかったからそうなるんだ」
「アオの誘いは断らん…膝枕を頼む」
「あはははは、ああ、旦那を癒すのも嫁の務めだ。ここへ来い」
膝を叩いて呼び、アゼツを膝枕してやり頭を撫でてやる。
「暫くは静養だな。仕事の区切りがついていて良かったじゃないか」
「ふん。あの爺共の所為だと思うと腹立たしい」
「ふ、ははは、なぁに、僕との時間が出来たんだ。今を楽しもう、な?」
僕の腰に抱き着いたアゼツの頭をガシガシと強く撫でてやる。
「アゼツ、例えもうずっと不全であっても、僕の番に変わりはないんだ。そう落ち込むな」
「当たり前だ。たったこれしきの事でアオを手放せるわけないだろう」
「ははは、ばあや、暫くは天候が崩れそうだな」
「そのようで」
「何、問題は無い。すぐに良くなるさ」
あれから4日。
見事にアゼツの勃起不全は治らなかった。
興奮はすれど、勃起せず顔を歪めるアゼツに僕もそろそろ焦りだす。
この4日間、勃起しないアゼツは体力と妖力を弄び、その全てを僕に向けた。
そう、僕に向けたのだ。
おかげで、日がな一日、布団から出ることは無い。
暇さえあれば…いや、僕に意識があれば、僕の体を好き放題弄り、中に匂い付けが出来ないからと僕の体に大量の鬱血痕と歯型を付けだした。
普通のものなら直ぐに消えるが、妖力を込め付けられた跡は数日消えない。
ああ、もう外に出るのもはばかれる程隙間無く付けられている気がする。
外は土砂降りと突風で、アゼツの感情が諸に出てしまっている。
「ま、まて、アゼ、あひっ、あ」
「アオ、アオ。愛してる、アオ」
アゼツの目は、既に僕以外を映すことは無くドロリとした欲をずっと孕んでいる。
…無理だ、無理。
毎日情欲に晒されるこちらの身にもなれ。
全身を使ってアゼツを抱き寄せ動きを止めさせる。
「アゼツ、そう、焦るな、な?」
何度も腰を押し付けられるが、ソレが勃ち上がることは無い。
「アオ、アオ」
「ああ、もう、止まれ。アゼツ、大丈夫だと僕が言っているだろう」
ドサリ、とアゼツを上向きに寝転がし僕は深く息を吐き出してから上部分だけの面を自分の顔に着ける。
「アゼツ、大人しくしておれ」
この4日間全く勃起する事の無かった堅物を取り出し、ベロリと舐めあげる。
「口淫は初夜以来だの」
両手と口で刺激するが、先走りも出てこない。
「アオ、よい、離せ」
「アゼツ、大人しく、と言ったはずだが?」
「だが…」
「気にするな。別に精液でなくてはならないなど、誰も言うておらんだろう?この柔いのが中に入るか分からんが、まぁ、何とかなるさ」
「何の話だ?」
「匂い付けよ。どうせ腹に入れば匂い以外は妖力に変えてしまうのだ、我の中で排泄すると良い」
「…あ゛?」
「お主が焦っておる理由も、お主が認めとうない現実も、我が受けいれてやろう。アゼツ、我はお主の嫁御ぞ?番ぞ?これしき簡単な事よ」
アゼツを一瞥し、堅物を出来るだけ歯を当てずに喉奥まで入れ込む。
やはり堅物は堅物だ。
苦しい、し何より…。
ズズ、と吸いながら口淫を数回行うと、少し苦味を感じた。
「ん…ん?んぶ」
顎が、外れそう…ん?大きくなった?
口から出そうと頭を持ち上げると、アゼツの手が僕の頭を押さえつけ、また喉奥まで堅物を咥えこまされた。
「ん!んぶ、んんん゛、んん」
こじ開けさせられた喉奥に熱い液体が流し込まれ、嘔吐きそうになりながらも全て飲み干す。
「んぐ、っげ、ぇほっごほっ、ぅあ」
口に広がる匂いと味に、射精されたのだと理解しアゼツを見る。
「っは、何だ、アゼツ。兆しておるではないか」
自分の陰茎を凝視したアゼツは、ピクリとも動かない。
…堅物が、何故さっき僕の口に出しておきながらまだ勃ってるんだ?
口元を拭い、ギュウと堅物を握る。
「っ、あ」
「アゼツ、のぉ、アゼツ?興奮したか?ん?」
グチグチと僕の唾液と先走りで濡れた堅物を手淫し、アゼツの目を覗き込む。
「アゼツ、我は腹の中に出して欲しいのだ。さっきのも良いが…分かってくれるよの?」
「アオ」
「ああ、アゼツ。嫁御の我が腹を減らしておるのだ。満たしてくれるな?」
ドロリとした欲と、射抜くような瞳孔が縦に割れた目にブルリと震えたのは、恐怖か期待か。
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