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魔獣×魔獣 ドラゴン×グリフォン
しおりを挟むドラゴン 「ギョク」 × グリフォン 「ティラ」
ティラを見つけたのは、何も無いダンジョンの最深部。
魔物もいない、だだっ広いだけのダンジョン。
ただただ、底の見えない深いだけのダンジョンだからか、誰も淘汰しようとはしなかった。
そんなダンジョンで見つけた、俺だけの「唯一の番」。
最深部の片隅に丸まる、まだ産まれたばかりであろう小さなグリフォンを拾い上げ、その瞳に一目惚れした。
何も映さない、焦点の合わない何色にも変わる瞳。
鳴くことも無く、ただ、ボンヤリとどこかを見つめ、意識を手放してはまた戻ってくる。
ああ、この子だ。
これが運命だ。
「ギョク、俺、お嫁さん」
「そうだな。ティラは俺のお嫁さんだ」
「ギョク、旦那様、俺、嬉しい」
「俺が旦那で嬉しいか、俺も嬉しいぞ」
まだまだ言葉が単語に近いが、よく喋るようになったティラの頭を撫でてやる。
「俺、とても、とても、良い、お嫁さん」
「ティラは誰よりも良いお嫁さんだな」
「外、行く、ない、俺、賢い」
「外?」
「ここ、安全、ギョク、守る」
「そうかそうか、守ってくれるのか」
良い子だと抱き締めると、ピタンピタンとしっぽで床を叩くティラ。
まだ小さなグリフォンだが、ダンジョンの主であるティラはそんじょそこらの奴らには負けないだろう。
ただ、戦い慣れていない以上経験の差はどうしようもない。
ダンジョン内であれば無双出来ても、外ではそうもいかないことを知っているのだろう。
賢い、賢すぎるほどのグリフォンの赤ん坊。
ほんの数ヶ月でこれなら、大人になる頃にはどうなっているのだろか。
ティラを拾って早二十年。
ダンジョンの核と同化し、外に出れるようになったティラと共に旅を始めたのは遠い昔のように感じる。
「ギョク、あれ、すごい」
二十を過ぎても、喋り方だけは変わらなかったが。
「ああ、あれは水晶だ。綺麗だろう?」
初めて見る景色にはしゃぐティラはいつ見てもとても可愛らしい。
核と同化した時に手にした人化スキルで人の姿になったティラは、俺の手を強く掴み離れる素振りを見せなくなった。
まぁ、グリフォンの姿で追いつけても、慣れない人の姿では置いていかれると追いつけないと分かっているのだろう。
「ギョク、ウロコ、もっと、上」
「ははは、俺の鱗とは比べ物にならんな」
「すてき、送る、似合う」
「おお、おお、俺にくれるのか?お揃いだな、ティラ」
「お揃い、もっと、すてき、ギョク、好き」
はふはふと息を必死に行うティラは、気付いているのだろうか?
俺達魔獣に、呼吸はそこまで必要では無いという事に。
まぁ可愛いから良いのだけど。
「は、はぅ、あ、あい、あうう」
「ティラ、ティラ」
白い肌に鬱血痕を散らし、変化の解けてしまった尻尾を撫でる。
「あ、あ、だめ、だめ」
逃げようとするティラの全てを押さえつけ、赤く染まった頬を舐める。
「ティラ、良い子は、どうするんだっけ?」
目を見開き俺と目を合わせたティラは、少し目を伏せてから身体の力を抜いた。
「俺…ギョク、あげる…でも、でも」
「ん?」
「俺、俺…恥ずかしい。ギョク、欲しい、方法、わかる、ない」
「ああ、大丈夫だよ、ティラ。ティラの全ては俺のもので、俺の全てはティラのものだから」
口付けをして、強くティラを抱き締める。
「番になろうね、ティラ」
「つがい…番?俺、番、なる?」
「ティラ以外に誰が居るの?」
「あ、あ…俺、嬉しい、あげる、全部…なる、番」
尻尾を揺らし両手で頬を押えるティラの前髪を後ろに流し額に口付ける。
ティラは知っているかな?
知らないよな。
教えなかったから。
竜の番は雄でも妊娠出来てしまうのに。
まぁ、良いか。
俺の育てた、俺だけの可愛い番。
もっと大きくなったら、本来の姿で子作りしような、ティラ。
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