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【本編】~その後の2人~

結婚してくれませんか?

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城に着く手前の森で、レナルドさんの困ったな・・・という苦笑を目にしながら浄化の魔法をうけて部屋に戻った。
魔法に秀でたレナルドさんも、何か触発されてしまうのか、浄化をかけた後はつまみ食いに行く。
・・・本当にすみません・・・・
一時この魔力のせいでベビーブームが起きてから、レナルドさんの浄化が必須となってしまったのだ。
魔王様やキーランさんも使えるけれど、レナルドさん程の効果は出せないらしく、毎回レナルドさんのお世話になっている。
その度にこんなになるまでシテきましたと告げる事となり、いたたまれない・・・
本当に早くどうにかしなくては。
いつまでも迷惑をかけたくない。
だったらシなければいいのではと思うけど、それを提案した時のオーランドさんは顔面蒼白で消えてしまいそうだった・・・加減するという事になったのだけれど、オーランドさんは今の状態でも加減したものらしくて・・・レナルドさんにお世話になりっぱなしだ。

オーランドさんも俺も、浄化魔法が使えない。
レナルドさんに教えてもらっているのだけれど、そういった魔法が得意でないオーランドさんは難航しているらしい。
俺の場合は見当もつかない現象がおきてしまうから問題外。
くれぐれも使わないよう注意されている。
レナルドさんの浄化もどこまで通じるか不明確なところもあるから、連日泊まるような事は避けさせ、様子を見ていたようで。
重ね重ね本当にすみません・・・



しかし、魔力のせいでベビーブーム・・・子供か・・・。

城下で遊ぶ子供達は皆可愛い。

・・・・・オーランドさん子供欲しがってたな・・・
ベビーブームの時にチラリとこちらを見たもんなぁ。

子供・・・男の子だったら赤毛だと嬉しいな。
もしも、オーランドさん似だったら、幼い頃のオーランドさんが見れるのか・・・・・見てみたい。
絶対に可愛くて・・・いや、幼い頃から格好いいかも・・・将来は間違いなく格好いい。
女の子でも絶対に可愛い。
どんな子でも溺愛するだろう。

子煩悩になったオーランドさんにまた惚れ直したりするんだろうか。
どんな一面を見れるんだろう?
親子で過ごす時間・・・俺は殆んど経験がないからわからないけれど、幸せで充実した時間だろう。
子供に俺は何て呼ばれるんだろうか?
何をする? どこに行く? 川の字で寝るのは絶対にしたい。


「っ!」
想像した光景に頭を振る。
俺、今、何考えてた!?




「イツキ」
「ひゃあっ!」
オーランドさんに声をかけられ俺は飛び上がった。
「お・・・・おは、よう・・・」
絶対に顔が赤い。
「具合悪いのか?」
顔を覗き込まれて体がビクリと反応してしまった。
昨日の今日で早速緊張って・・・
未熟といわれるわけだ。
情けない・・・

何もない事を確認すると、ガシガシ頭を撫でてオーランドさんは魔王様の元へと行った。
亜人国から訪問があり、数日程会談になりそうだとの事で、その間は部屋で過ごすよう言われた。
浄化魔法の勉強をして過ごそう。







「・・・・・2日・・・」

会談に入って2日、皆に、オーランドさんに会っていない。
今までこんなに長く会談する事なかったから何かあったのだろうか? 
迎えに来るまでは出ないよう言われてるから覗きにも行けない。
ハイエルフは目立つから、いくら魔王様が保護者でも心配なのだと皆から言われれば待つしかできない。
前に亜人国の大臣に口説かれた事も一因かもしれないけど・・・


2日離れただけで、寂しい。
肌を合わせた後は特に。
俺、今までどう時間を過ごしていたんだろう?
広げた本は全く頁が進んでおらず、余計な事ばかり考えてる。








「視察?」

3日後、皆で揃っての昼食時に告げられて、一ヶ月の間オーランドさん達が不在になる事を知った。
状態によっては長引く可能性もあるらしい。
何でも亜人国の奥の泉で不可思議な現象が起きており、原因究明の為、助力を求められたそうだ。
「危ないの?」
未知の現象だったら何が起こるかわからない。
不安になる俺にオーランドさんは明るく笑って大丈夫だと返事してくれた。
レナルドさん・キーランさんも行くから問題はないと。

そう言われても不安で、俺は祈願し続け花を咲かせた。
何があっても絶対に大丈夫な、完全完璧な薬が出来るよう祈りを込め咲いた花は、虹色に光っていた。
薬学を習得していた俺はそれで霊薬を作り、出発の日、皆に渡した。
この際だからと、大切に思う人たち全員分作った。
「これは・・・・」
呆然と虹色の液体を見る面々に、飲んでほしいと目で訴える。
これを飲んだら数年はかすり傷を負う事もなく、魔力が尽きる事もなく、最強な状態でいられるはず。
おかしな現象に遭遇しても、全て跳ね返せるよう完全防御の魔法やら思いつく限りを全部詰め込んだ。
沢山、沢山祈りを込め必死に作りあげた。
同じものは二度と作れないだろう程の仕上がりだから効果はあるはずだ。
「どうしましょうか・・・参りましたね」
渡された面々は嬉しそうに微笑んで、飲んでくれた。
淡い光が皆の体を包み、吸収されるのに、効果はあったと安堵する。
「気を付けて行ってきて下さいね。怪我とかしないで下さいね」
「大丈夫だ。早く帰ってくるから」
心配する俺をよそに、皆は晴れ晴れとした表情で亜人国へと出発して行った。

魔王様には神話の魔神が誕生しちまった・・・と呆然と呟かれた。
何? それ?
魔神って聞いた事がないけれど・・・
もちろん魔王様も飲んでくれたけど、何でか赤い小さな角が生えてしまって。
慌てる俺に魔王様は問題ないと言ってくれたけど、本当に大丈夫なのか!?
俺、また何かやらかしちゃったのか!?
艶々してるから大丈夫そうだけど・・・皆も大丈夫だよな!?
心配で夜も寝付けず、また考え込む事に・・・。





2日で寂しいと思ってしまった俺に一ヶ月は長い・・・
無事を確かめたい。元気な顔が見たい。声が聞きたい。触れたい・・・
オーランドさんに会いたい・・・。



10日後、泉の異常は解決したと戻ってきた面々に俺は胸を撫でおろした。
角も生えてないし、変化はなさそうだ。
泉からは瘴気が発しており、放置しておけば危ないものだったらしい。
見た事のない魔物が出現したが、問題なく処理できたそうだ。
俺の霊薬のおかげだと、レナルドさんは頭を撫でてくれた。
霊薬がなかったら一ヶ月以上かかっていただろうと言われ、効果があった事に喜んだ。
誰も傷つかず、本当に良かった・・・角も生えなくて良かった・・・

報告から戻ってきたオーランドさんから熱い抱擁を受け、安堵感にじわりと目頭が熱くなった。
この温もり、香り・・・オーランドさんがいる・・・
10日ぶりの口づけに酔いしれる。
「数日は報告と、魔王様領土周辺の調査であまり一緒にいれないんだけど、終わったら、どこか行こう」
「うん」
時間がないのか、オーランドさんは抱擁を解き踵を返す。
途端、寂しさが込み上げた。







「結婚、してくれませんか?」




口から自然と言葉が出ていた。


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