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【本編】~その後の2人~

保護者

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エロ
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翌朝、頬に触れる感触に目覚めれば、オーランドさんと目が合った。
瞼にかかる髪を除けていたようだ。
「起こしたか?」
「うんん。 おはよう」
微睡んだまま、笑いかえせば瞼に、頬に唇がおとされる。
「早く独り占めして、毎日こうして朝を迎えたいな」
苦笑しながらしみじみ呟くオーランドさんに胸がぎゅっとなる。
軽く唇を合わせてから、ベッドから降りようとする腕を掴んだ。
「イツキ?」
「もう少し・・・」
もう少し、そばで温もりを感じていたい。
鼓動を聞き腕の中で過ごしたい。

「・・・・悪い」
断られたと思った途端、伸し掛かられ噛み付くように唇を塞がれた。
少し乱暴なそれに、かなり我慢していた事を知る。


「っふ・・・っ 」
唇の周りが互いの唾液で濡れる程、舌を絡められ息が上がる。
強く抱きこまれた腕は性急に肌を伝い下り後肛へと触れられるのに、オーランドさんの余裕のなさを感じる。
潤滑液がないと受け入れる事ができない大きな男根には、今も変わらず挿入時に息がつまるけれど、それも直ぐに解けてオーランドさんを欲しがるようになった身体。
まるで喰らうように激しく腰を打ちつけられ、上がる声さえも貪られて、苦しいはずなのに、求められる事に悦び快感へと変わる。

最奥へ幾度目かの欲を放って、オーランドさんは落ち着きを取り戻した。
「・・・・悪い」
浅く息をつく俺をバツが悪そうに抱きしめ呟かれる。
まだ体内に埋め込まれたままのソレは硬さを保ったままだ。
前から抱きこまれぴったりと密着した互いの体は熱く治まりをみせず、赤毛に指を埋め俺から口づけを返せば、今度は緩やかに腰が律動を始めた。



前はただ恥ずかしくて、余裕が全くなくて、ついていくのに精一杯で何も考えられなかった。
時が経った今も慣れてはいないけれど、オーランドさんの事いっぱい知って、更に好きになって、いつからか離れる時間の寂しさが大きくなって。
そばで過ごせるだけで充分だったのに、身体を重ねてしまえば隠していた心が零れ出て貪欲になってしまう。


離れたくない。
動けなくなっても構わないから、ずっと繋がっていたい。

もっと、もっと求めて欲しい。



夕方、キーランさんが迎えに来るまで、俺たちは抱き合って過ごした。








「・・・だから認めれないんですよ」

何故か俺には魔法が効かないものがあって、その一つが疲労に対する回復魔法。
・・・自業自得だから?
レナルドさんも不思議がってたけど効かないものは仕方がない。
だから毎回、体力が回復するまでは寝て過ごす事になる。
だいたいは疲労と共に就寝して、翌朝目覚める頃に回復なんだけど、今回は違う。
迎えに来てくれたのが数時間前。
現在回復途中の体は怠く、後数時間はかかりそうだ。
そして甘い魔力が漏れている・・・らしい。



「貴方が加減を覚えてくれれば、結婚は問題ないだろうと以前話したと思いますが。
 毎回毎回、イツキがこんなになるまで続けて、媚薬のような魔力を発するようになって、認めれると思いますか?
イツキを抱き潰して壊すつもりですか?」
「あの、俺もオーラ「イツキは黙っていて下さいね」・・・はい。スミマセン」
俺も求めたから同罪なんだけど・・・


「屋敷から出なければ、問題ない」
「ずっと軟禁するつもりですか」
「それもいいな」
「・・・・・貴方そんな人でしたっけ?
 イツキは連れ帰りますね」
「・・・そんな顔で返したら危ないだろう!」
俺の顔を隠すように抱きしめるオーランドさんの言葉に真っ赤になる。
「なら加減を覚えて下さい。 イツキはハイエルフなんですよ? 魔人とは違うんです。 早く魔力を浄化する魔法、覚えて下さいね。」
にっこりと、キーランさんは冷たく微笑んで俺を連れ帰った。




2人だけの秘密ですよと、帰る途中教えてもらったが、加減は始めから期待していないそうだ。
オーランドさんが求めれば応え続ける俺。
2人して納得しているのだからよいのだと。
甘い魔力だけは悩んでいるそうで・・・本当にすみません。


ただ、魔王様が最低500年は様子をみようと前に言ったのだそうだ。
その間に俺の魔法の事や体力なんかも少しはわかるんじゃないかって。
5000年以上生きている魔王様でさえ、2回しか見た事のない謎に包まれた生態不明のハイエルフ。
そんな俺の保護者となり、規格外の魔法や貴重な花を出す俺が魔人と結婚したら?
魔法が効かないものもある俺に、もし何かあったら?
アパティアの歴史上、そのような事例はなく、承諾していいものかと検討しているそうだ。
オーランドさんには課題を出して気を逸らせているようだけれど・・・逸らせてるのかな?
でも、いくら様子を見ていようと、恐らくこの先も何もわかりそうにないから、考えてもどうにもならないと、俺の心が定まったら、送り出すつもりでいてくれるらしい。

未だにオーランドさんに緊張したり、照れたりしている俺に、まだまだ子供で大丈夫だと、悶々とするオーランドさんを見て最近は楽しんでいるのだとか。
魔王様・・・オーランドさんが知ったら、どうするんですか。
「本音は、イツキを嫁に出したくないだけなんでしょうけれどね」
「嫁って・・・」
「イツキの思うままに進みなさい。幸せならいいんです」
「キーランさん・・・」
本当に、俺は幸せ者だ。
嬉しくて抱きついたら、魔力を浄化してからにして下さいと、苦笑された。

本当にごめんなさい・・・





多分、俺がオーランドさんを求める気持ちが、甘い魔力を出していると思うんだ。
ずっとそばにいれば治まるのかな・・・?





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