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念願叶いましたが……

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人族の国では何故か城下にいた王様に求婚され、即時国を離れ。
獣人族の国ではガチムチのボディビルダーのような女性に求婚された・・・会ったその場でって普通なの?いきなり服剥ごうとするとか、怖すぎる。
女性とはいっても顔はオランウータンまんま。 念願の、女性からのアプローチだったのに、ごめんなさい・・・
彼女がほしいと気づいてる3人は、各国で色々とよさそうな場を案内してくれるが、見事全滅だ。
後方の3人にうっとり見惚れてスルーされたり、だしに使われたり・・・まぁ気持ちはわかるけど。
ただの挨拶の時点で挙動不審になられたら、知り合いにさえなれない。
買い物でさえこんな状態だとさ・・・・・流石に、ここまで相手にもしてもらえないと凹む。
そもそも寿命が違うからダメなのか? エルフがダメなのか?
神様補正が掛かっているわけじゃないですよね?
ハイエルフとわからないように、旅の際は髪色はブラウンに近い金髪・瞳は黄緑色に変えてもらってるのに。
気長に探すしかないと肩を落とし、今回の旅は早々に終わりを迎えた。
気長に探す時間があるのだろうか・・・? 神様、大丈夫ですよね??



城に戻り「俺はそんなに魅力がないのかなぁ?」
と気の置けない侍女さんに聞いたら
「自分より綺麗な彼氏は女としては嫌です。並びたくありません。」
清々しい笑みでバッサリ止めを刺された。



・・・・ハイエルフを探そう。
魔王様でさえ数回しか見た事ないっていうくらいだから可能性は限りなく低いが、同じハイエルフの俺なら、もしかしたら。
同じ種族ならば寿命もそんなに変わりないだろうし、容姿だって並んでも問題ないはずだ。
受け入れてもらえるかはともかく、まずは会ってみないと。
まだまだ俺の知らない事もたくさんあるだろうし、魔法の事なんかも教えてもらえるかもしれない。

他国のお偉いさんも来る晩餐会の準備で3人もあまり顔を見せないし、こっそり抜け出せばバレる事はないだろう。
危険だったら空間魔法ですぐ戻ればいいんだし。

旅の当初はハイエルフを探そうとしていたけれど、いるであろうと予想する深淵の森は入った者がおらず、何があるかわからないからと、安全を考慮して後回しにしていた。
転生した事を伝えた事で家族がいない事も判明し、そのままになっていた。
今まで気づかなかったなんて。


そうと決まれば準備だと、俺はホクホクと収納空間へ保管する食糧を求め厨房へ向かった。




-------------




あれ?

ここはどこだろう。
宇宙のような空間に浮かんでいる。
・・・何してたっけ?



森に入ったら5mはある、どう見てもゴキ〇〇そっくりな黒光りする魔虫に遭遇して・・・それも3匹。
ゴキとムカデだけは大嫌いな俺は空間移動することも忘れて走って逃げた。
キ○チョール!って叫んで探したんだ。どんだけパニくってたんだ。
こいつは水が苦手だった筈だと思い出したら、近くに川があって…
逃げる事に必死で何も考えず飛び込んだんだ。


…もしかして死んだ? 溺死? それとも……
黒光りするアレは麻痺性の毒で動けなくしてから卵を産み付けると教えてもらった。
卵は短時間で孵化して獲物を食い破って……ゴキにとか絶対嫌だぁぁぁぁ!!!!!
夫の方がマシだ!俺の体どうなった!? ゴキは、虫はやめてぇぇぇ!!!
神様ぁ!!




《大丈夫?》
声の方へ顔をむけると、虹色の光に包まれた人影が。
「・・・・・もしかして、ヘリオス様?」
《そう》
「ぁああああ!!ヘリオス様ーっ!!会いたかったです!やっと祈りが通じたー!!」
《!ちょっ!!落ち着いて!》
泣いてグシュグシュの顔で飛びつく俺にヘリオス神が引いている
「ゴキは、ゴキは嫌です!絶対に嫌です!!無理!絶対無理!!
   もう夫でいいですから虫は、ゴキはやめて下さい!!違うって言って下さいぃ!!」
《死んでないし、卵産み付けられてもいないから》
「本当に?本当に産み付けられてないんですね?1ミリたりとも接触してないんですね?」
《本当。ただ溺れて今は魂が時空の狭間にいる。
   あのお方の加護を受けてるのに、君は不思議な事が起こるね。
   会うつもりなかったけれど、興味本位で見に来ちゃったよ》
やっぱり死んでる。
《今、君を救い出した人が必死に蘇生処置してる。良かったね》
「・・・・・」
《あのお方の加護で君は死ぬ事ないと思うよ。…幸多き人生を》
「え?」


今何ておっしゃいました?
さらりと恐ろしい言葉が聞こえてきたような気がするんですけど・・・
もう少しだけ、お話を・・・・




-------------


「・・・ツキ! イツキ!!」
「っかはっ! げほっ! ごほっっ」
水を吐き出し重い瞼を開けば、今にも泣きそうな黄金の瞳が俺を覗き込んでいた。





「ごめんなさい」
オーランドさんの屋敷の一室で意識を取り戻した俺は、ベッドの横でずっと目覚めるのを待っていただろう彼に深々と頭を下げた。
何で俺の居場所がわかったの?とか色々疑問もあるけれど、無言のままのオーランドさんの雰囲気がいつもと違っていて、聞ける感じじゃない。
オーランドさんは、今まで見たこともない無表情で・・・視線があうと、眉根を寄せ変化のあった表情は、何故かこちらが泣きたくなりそうな程、傷ついたものだった。
そして、同じくらい怒っていた。
「心配かけて、本当にごめんなさい。 
   助けてくれて、ありがとうございました。」
再度、深々と頭を下げ、そのまま待った。
緊張でバクバク心臓が音を立てているのがわかる。
どうしよう、どうしよう、もの凄く怒ってる。
酷く傷ついた顔をしてる。俺がさせてしまった。
どうしよう。どうしたら許してもらえる?
「……のか」
「え?」
小さな呟きに顔を上げれば鋭い眼光に身体が竦んだ。
「そんなに女がいいのか。死にそうな目に遭ってまで」
「オーランドさ…」
初めて、彼を怖いと思った。
魔人が放つ禍々しい魔力が空気を震わせ、部屋の温度が下がっていくのがわかる。
自然と震え出した体が無意識に距離をとろうとするが、逃がさないというように、腕を捕まれ、強引に唇を塞がれた。
「!?」
差し込まれた舌に歯列をなぞられ驚きに開いた隙間から口膣内を蹂躙される。
「んんっ」
貪るような荒々しい口付けに混乱が増す。
息ができなくて、必死にかぶりを振って逃げようとするけれど、すぐに塞がれて逃げる舌を絡めとられる。
頭をがっちりと固定され、体も強く抱き寄せられて動けない。

「…っはぁっ  はぁっ」
互いの唾液が糸を引き離れ、長く嬲られた唇は痺れている。
酸欠を起こして俺はオーランドさんにもたれかかった。
「俺にしとけ」
「……」
「一生大事にする。何よりも可愛がってやる」
「………」
やめてくれ、それ以上言わないでくれ。
胸に手を当て離れようとするが、その手を捕まれる。
「・・・女じゃ満足できなくなれば、諦めもつくか」
「オーランドさ・・・」
「2度とバカな考え起こさないようにお仕置きしないとな」





神様………

夫でいいです なんて口走った途端にこれって、あまりに酷じゃありませんか。




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