尻拭い、のち、リア充

びやヤッコ

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試験 3

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 「じゃあ、弟に手を出したやつを見て頭に血が上って、つい殴っちまったってことだな?」

 「そうです」

 「まあ、気持ちは分からなくはないけどなー、正当防衛でもなんでもないただの暴行になるから、それなりの罰則は科せられる」

 「分かってます」

 「はぁ……まさか弟の次に兄まで指導室に入れられるとはな……」

 生活指導の武縄たけなわ先生が頭をポリポリと掻きながらため息をつく。

 そのいかにも体育会系のがっしりとした体つきに、彫りの深い渋めの顔つきはヤの着く職業の方を連想させられるが、話してみると意外と気さくな人だった。

 「ほらよ」

 渡された原稿用紙数枚に、俺は「げっ」と声を出す。

 「反省文書いとけ。それ俺が読むからさ、なんか興味がそそる感じで書いとけよ?じゃないと3000字も読む気にならねぇ」

 「興味がそそる感じの反省文……」

 なんだそれ初めて聞いたぞ。てか3000字も書くのかよ!

 「それからしばらくは指導室にいることになるだろうから、期末試験もここで受けると思うぜ。後で教材とか全部持ってくるから大人しく勉強でもしてろ、いいな?」

 「はーい……」

 「じゃあ良い指導室ライフをー」

 「はぁ」

 ポンポンと俺の頭を撫でると、武縄先輩はご機嫌な様子で部屋を出て行った。

 もちろん部屋はすぐにガチャリという音と共に施錠されたため、自由に出入りはできない。

 「あーー…………やらかしたよ…………完全にやらかした…………」

 俺は机に突っ伏しながらうなだれる。

 なんでさっきはあんなにカッとなっちゃったんだろう…………今まではどんなことがあっても手を出すことはなかったのに…………

 しかも黒永先輩の前で……………………ん?

 「黒永先輩の前で?!?!?!」

 全身から血の気が引く感覚がする。

 俺は頭を抱えた。

 オーマイゴッド…………

 これはただ事じゃないぞ…………

 先輩にこんな暴力的な姿見られたら次に会う時どんな顔をすればいいのか分かんない!!普段の俺は全然あんな感じじゃないし、完全に性格偽ってるって思われるじゃん!!

 幻滅されるよな…………?

 騙してるって思われたかな…………?

 嫌われたらどうしよう…………

 ここに来れば自分を見つめ直せるとか思ってたけど、見つめ直し終わった頃には先輩も俺から離れていっちゃうんじゃないか?

 最悪な考えが頭を過ったところで、突然扉が開いた。

 「教材持ってきたぞーって…………なんだそのしけた面は」

 「武縄先生か……」

 「そんなあからさまにがっかりしなくてもいいだろ、泣くぞ俺」

 武縄先生は俺の教材を机にドッサリと置くと、急にニヤリと笑う。

 「なあ、おまえもしかして黒永んところの坊ちゃんと付き合ってるのか?」

 「え……なんで知って……」

 「そりゃおまえの教材が全部あの坊ちゃんの部屋に置いてあったんだから自然とそう思うだろ」

 「普通の学校だったらそういう発想にならないんですけどね……まあ当たってますけど……」
 
 そこまで言ったところでハッとする。

 「先輩は?」

 「なんだ?」

 「黒永先輩は一緒に来たんですか?教材を持ってくるときに会いましたよね?」

 「ん?ああ、そうだけど、面会するか?って聞いたら行かないって言ってたぞ?喧嘩でもしたのか?」

 「え……」

 そんな…………

 まさか本当に俺が人を殴ったから嫌いになっちゃったのか…………?

 先輩が好きな俺じゃないから…………?

 目元がじわじわと熱くなってくる。

 「あーー……、その悲しんでるところ悪いんだけど、別の面会者なら来てるぞ」

 「別の面会者……?」

 「ああ、今呼んでくる」

 扉を開けて外の誰かと話す武縄先生をぼーっと見つめながら、先輩のことを考える。

 先輩の今までの経験を聞いて、俺だけは先輩を騙す人にはなりたくないって思ってたのに………もう終わりなのかな………?

 頬に生温かい何かが伝っているのを感じる。

 指で触れて見るとそれは涙だった。

 あれ、先輩のことを考えてたら勝手に……

 指先に付いた涙を見つめていると、聞き慣れた声が俺の耳に届いた。

 「緒里~あれ?泣いてるの?」

 顔を上げると、両頬に大きなシップを貼った悠里がにこやかにそこに立っていた。リンチで殴られてできた痣は隠されているが、そのシップが逆に痛々しい。

 「ちょっと武ちゃん!緒里のこといじめた?泣いてるんだけど」

 「はあ?!俺は女しか泣かせる趣味はねえよ」

 「きっも……」

 「おまえには言われたくはないぞ?」

 2人のやり取りを眺めていると、悠里が俺に近づいて、その手で顔を包まれる。

 「なんか緒里がぼんやりしてる~2人で話すから武ちゃんは出てって」

 「はいはい、仰せのままに~」

 手を振って部屋の外へ消えていった武縄先生を確認すると、悠里は向かい側の椅子に座って頬杖をつく。

 「この前とは逆だね」

 「だな」

 「……緒里、今までごめん」

 「え……?」

 生まれてこのかた悠里の口から謝罪の言葉を聞いたことがなかったため面食らう。

 「その顔は酷くない?」

 「いや、だって……どんな風の吹き回しだ?」

 「人聞きが悪いな~、ただ今回の件でさすがに懲りたというか……緒里が自分で封じ込めてたものを曝け出してまで俺を守るのを見て吹っ切れたというか……」

 「あの時はカッとなってつい……」

 「あれ嬉しかったんだよ。緒里が自分から俺に何かをしてくれるなんてもうないと思ってたから…………小さい頃、俺のこと避け始めたときから寂しかったよ」

 「そう、なのか……?」

 「だってそれまでずっと一緒だったじゃん。俺緒里とセットで見られるのが大好きだったんだ……それに俺が感じたことを緒里も同じように感じ取って共有できたのが嬉しくて、緒里は俺にとって唯一無二の分身みたいな存在だったんだよ。なのに訳も話さずに急に俺から遠ざかっていって……だから緒里の気を引くために今までいろんなことをしてきたよ。結果的に俺の尻拭いをさせられてたけど、俺はそんな関係だけじゃ満足できなくて、もっと根本的なところから繋がりたいって思って……」

 悠里はそこまで言うと肩を落とす。

 「性的な快楽ならって……本当にごめん、どうかしてた」

 「……」

 気まずそうに自分の手元を見つめる悠里は、芝居でもなんでもなく本心からそう思っているようだ。

 「もっと早くおかしいことに気付いてほしかったけどな」

 「ですよね……」

 シュンとする悠里の頭を撫でる。何度もブリーチをされたその髪の毛は、俺のとは違って少しパサついていた。

 「……ごめん」

 「え?」

 「おまえがこんなことをしたのは俺にも原因があるから……寂しい思いをさせてごめん…………俺もおまえと一緒に何かをしたりするのは好きだったけど、だんだん周りの人が俺たち2人を個別に認識してくれないことに嫌気がさしたんだ」

 「緒里……」

 「俺とおまえは双子だけど別人だ。性格も違ければ好みも違う。なのに周りはいつも俺たちを1つのものとして見てたんだ……だから悠里と一緒にいたずらをするのもやめたし、なるべく違う人間だって分かってもらえるようにしたんだ。でも分かって欲しい……今の俺もちゃんと俺だよ。偽ってなんかいないよ……」

 「そういうことだったんだ……俺てっきり嫌われたのかと思ってた」

 「嫌ってたらそもそも尻拭いなんてしてない」

 「それもそっか」

 悠里と顔を合わせて笑い合う。こんなことは本当に10数年ぶりだった。

 「それより、助けに行くのが遅くなって悪かったな」

 半袖のワイシャツから伸びる悠里の腕には、掴まれたような痕が薄っすらと残っている。

 服の中はさらに悲惨なことになっているだろう。

 「メッセージ見てなかったから……東が異変に気付いて俺に声をかけたんだ」

 「メッセージ?」

 悠里はキョトンとする。

 「おまえが送ったわけじゃないのか?まあ確かに内容的にはおまえじゃないか……じゃあおまえを襲ったやつの中の誰かが送ったってことか?」

 悠里はスマホを取り出して俺とのトーク画面を開く。

 「うげ……こんな写真送られてたの?しかも"代わりに成敗しました"って……」

 げんなりとした表情で画面を見ていた悠里だが、突然何かを思い出したかのように「あ!」と声を上げる。

 「そういえば意識が朦朧としてて忘れかけてたんだけど、俺を襲ってたやつらの他に、もう1人誰かが途中で入ってきて、俺の写真を撮ってた気がする」

 「それって……顔とか覚えてないよな?」

 「あの時ほぼ意識が飛んでたからはっきり見てないけど、とにかく見覚えのあるような感じではなかったよ。背はあんまり高くなかった気がする……あと、ネクタイはオリーブ色だった」

 「てことは3年生……?3年に知り合いなんてほとんどいないんだよなー……それに代わりに成敗ってどういうことだ?俺と悠里のいざこざを知ってて、俺の代わりにやっつけときましたよみたいな?」

 「んーー……分かった!緒里のファンだ!」

 「そんなわけ……アンチなら大量にいるだろうけどファンはあり得ない」

 「えーー……それ以外になんかある?でもその人も共犯ってことになるよね?なのに捕まってないのなんかうざい」

 「あの悠里を襲ったやつら、白状しないかな?武縄先生にこのメッセージのことを言って捜索してもらった方がいいかもな」

 「………ちょっと待ってて、それより手っ取り早い方法があるから試してみる」

 「……?」

 自信満々に部屋を出ていく悠里をわけが分からないまま見送ったのが10分前。

 ――10分後

 「ただいま~分かったよ~」

 笑顔で帰ってきた悠里はスマホを俺の目の前に差し出す。

 すると、録音が再生された。

 『わ、悪かった……!言うからその写真だけはばら撒かないでくれ!!こんなことが知れ渡ったらここにいられない!しゃ、写真を撮ったやつを知りたいんだろ?あいつは3年A組の堀之内蓮ほりのうちれんっていうやつだ!!こいつが俺たちを誘ったんだ!

 じゃあ、その人が主犯っていうことですか?

 そうだよ!!おまえを自由に犯していいって言うから……

 へ~そんなに俺のこと抱きたかったんですね、先輩

 くっ……悪かったって……

 で……この人ってなんで俺を先輩たちに犯させたんですか?

 そんなことは知らない!俺はただ性欲を満たすためにやっただけだ!』

 録音はそこまでだった。

 「何こいつ、聞いてて胸糞悪いんだけど。なんでこんな威張ってるわけ?」

 「でしょ?開き直ってて笑っちゃったよ」

 「とにかく、これで主犯が誰か分かったってことだな」

 「武ちゃんにこれ聞かせて捕まえてもらうか~」

 「だな」
 
 これで一件落着ってところかな。

 図らずも悠里が正気に戻ったみたいだし、恋人作戦も必要がなくなった。

 ここからは俺と黒永先輩の問題を解決しないと……でもそもそも会ってもくれないとは思わなかったし……

 「はぁ……」

 思わずため息をつくと、悠里がなぜかムスッとする。

 「どうせ晴仁さんのこと考えてるんでしょ?いくら晴仁さんと付き合ってるからって、俺のことを忘れちゃだめだからね?」

 「いやいや、何を言って………………え?ちょっと待って…………なんで俺と黒永先輩が付き合ってるって知ってるの?!」

 「おにーちゃま、ちょっとは頭を使いましょうよ」

 小バカにしたように鼻で笑う悠里をひっぱたいてやろうかと思ったが我慢をする。

 俺はこれまでの出来事を思い返した。

 なんで俺と黒永先輩が付き合っていることを知ってるのか……

 もちろん俺は言ってないし、先輩も言ってないはずだ。

 山迫君はそんなことをするような人じゃないし、パッツンが自分から目の敵にしてる悠里に話しかけることなんてないだろう。

 俺が先輩の部屋に入り浸りすぎた……?

 でもペア学習期間だし、それだけじゃ確信は持てないはずだ。恋人作戦の計画者である東もわざわざ計画が失敗するようなことはしないだろうし、そもそも俺たちが付き合ってることもついさっきまでは知らなかった。

 ならどうしてだ……他に俺たちが付き合ってることを知ってそうな人………

 …………………………

 「あ……!」

 「分かった?」

 「もしかして万喜先輩?!」

 「ピンポーン!すぐわかると思ったのに意外と時間がかかったね」

 「頭の回転が遅くて悪かったな」

 小悪魔のように楽しそうに笑う悠里をギロリと睨みつける。

 「そうだよ……なんでおまえと協力したって聞いた時点で思いつかなかったんだろう。取引っていうんだからお互い利害の一致があったてことだよな。先輩の盗撮写真を悠里に手渡すことで俺を脅して先輩から遠ざける、そうすると恋敵が消えるもんな。そもそもこの取引ってどっちから提案したんだ?」

 「え?もちろん俺だよ。万喜先輩って商業エリアの池で晴仁さんに告ったんでしょ?で、その後晴仁さんは緒里の手を引いて帰っていったんでしょ?池でボートに乗ってた人たちが見てたらしいよ」

 「ま、まじか……まあそりゃ見られてるよな……あんな目立つ人たちだし」

 「そそ、それで、あ、これは万喜先輩フラれたな~、もしかして緒里が晴仁さんとくっつくのかな~って思って。万喜先輩に実際に聞いてみたら俺の予想が当たっててね……それで提案したわけよ、緒里を晴仁さんの元から引き離すから、代わりに緒里が盗撮したって言えそうな写真をちょうだいって」

 「俺が盗撮したって言えそうな写真……?なんで……あ、まさか!」

 「分かった?緒里が大人しく脅しに屈して俺と一緒にいることを選択したらそれはそれで解決なんだけど、もし写真をばら撒いてまで俺と一緒にいたくないって言われたとしたら、緒里が盗撮犯だって思われた方が計画通りに進むじゃん?」

 「それって……俺が盗撮犯だと知った黒永先輩が俺を突き放すから?」

 「そう、そうすれば俺と緒里の邪魔をする人はいなくなるじゃん?まあ結局パソコンとスマホが水没するわ、USBメモリ盗まれるわで失敗したけど」

 悠里が不満そうに口を尖らせる。

 「だからほとんどS棟の個人部屋での写真だったのか……ちょうどペア学習期間だし、あそこに出入りするのは俺くらいだしな……それにしても万喜先輩が黒永先輩の盗撮写真を持ってるなんてよく分かったな。3年前の写真まで出てきたんだぞ」

 「いやそれは流石に知らなかったよ!盗撮写真頼んだらギョッとしてたから何事かと思ったら、あのUSBメモリ渡されたんだよ、それで見たらもう揃ってるの!盗撮写真が!」

 悠里はゲラゲラと笑う。

 「あれは流石にビビったよね~あんなに忠犬ぶってたのに、普通に普段から盗撮してるんだからさ~」

 「全く……自分のことを棚に上げるなよ。おまえの行動にも普通にビビるわ」

 「ごめんごめん、もうしないから許して、おにーちゃん」

 子犬のようなウルウルの瞳で俺を見つめながら懇願してくる悠里に呆れつつも、「もういいよ」と言っておでこにデコピンをする。

 あれ……?そういえば恋人作戦自然消滅しちゃったけど、東の計画はどうなるんだ?悠里が自分だけを見るように躾ける的なこと言ってたけどもうできなくね……?しかも俺が黒永先輩と付き合ってるって知ってもそこまで取り乱してないし……

 悠里をチラリと見る。

 「ん?どしたどした?」

 「いや……おまえ、東とくっつく気あるのかなーって思って……」

 直球すぎたか?

 悠里は「はて?」といった表情をする。

 「なんで突然桂士朗の話?」

 「あーー、ほら、悠里を心配して俺を探しに来たのもあいつだし、おまえと頻繁に連絡を取り合ってるみたいだから……どうかな?みたいな」

 「そっか、そういえば緒里と桂士朗ってなんか企んでたんだよね?何かは分かんないけど、さすがにタイミング良くお風呂準備してあるのはおかしいでしょ?」

 「うっ……ムダに察しがよくて嫌だな……」

 「舐めないでもらえますーー?で?結局何企んでたの?」

 「計画したのは東だから東に聞いてみれば?」

 「えーー……それは何かやだなーー桂士朗に負けた気がする」

 「なんだその無意味なプライドは……話を聞くだけなのに」

 「俺は人に答えを聞くより、答えを人に提示したいタイプなの!」

 「つまり人の上に立ってたいんだな……?」

 「うーーん、まあそんな感じ?」

 人の上に立ってたい悠里が自暴自棄になって東に股を開くんだから、心のどこかでは東を特別に思ってるんじゃないか……?とか思うけどまあ言わないでおこう。

 これまで散々俺を振り回してきたんだから、こいつの恋愛がすんなり上手くいかないように助言をしないのもささやかなお返しってことで……

 「で?その桂士朗の計画と、俺が桂士朗とくっつくことは何かつながりがあるの?」

 「答えを人に聞かないんだろ?そこまで考え付くなら後は1人で考えて、東と答え合わせでもしたらどうだ?」

 「緒里に聞くのはいいの!」

 「どういう基準だよ……」

 「まあいいや、自分で考えてみる。謎解きとか好きだし」

 「そうしろ」

 「じゃあ俺そろそろ行くね?指導室生活楽しんでね~あと晴仁さんと別れたらいつでも俺の元に帰ってきていいからね♡」

 「元カレ面するな」

 「元カレじゃないよ!弟!俺つくづく緒里の弟で良かったなーって思うんだよね~だって彼氏だったら関係が崩れたら終わりだけど、兄弟だから俺が何をしても俺たちの縁は切れないじゃん?そう思うと晴仁さんにも勝てた気がするんだよね~」

 無邪気な笑顔でとんでもないことを言う。

 「やめろ、張り合うところがおかしいんだよ。おまえもさっさと彼氏でも作って兄離れしろ」

 「う~ん、考えとく」

 悪いな東、おまえの恋路はなかなかにハードなものとなったぞ。

 「じゃあまた会いに来るからね~ばいば~い」

 ブンブンと手を振って部屋を出ていく悠里に軽く手を振ってペンを手に取る。

 さてと、さっさと反省文を書き上げて試験勉強でもしますか……

 結局黒永先輩とのペア学習の残りの期間はここで過ごすことになったし、教えてくれる人もいないから1人で頑張るしかないな……

 先輩のことを思い浮かべた瞬間に胸がチクリと痛む。

 さっき悠里が冗談で俺と先輩が別れたらの話をしてたけど、正直笑えない。

 多分先輩は俺が性格を隠してたことに怒ってるし、なんとなくだけど、自分からは会いに来てはくれない気がする。

 早くここから出て先輩に謝りたい。

 まっさらな原稿用紙にペン先を当てる。

 1つ1つ片付けよう。とりあえずは反省文、それから試験勉強に本番の試験。

 先輩に会えるまで、やることは山積みだ。

 ペンを動かす。

 ……えーーと興味がそそる反省文……とりあえずタイトルでも付けとく?

 タイトルは…………『尻拭いをして10数年、人を殴って恋人に捨てられそうなんだが?』にでもしとくか…………

 ………………うん、つまんなそ!
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