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悩み 3※
しおりを挟む晴仁さんと仲がいいみたいだけど、緒里にこんな一面があるって知ったらどうなるんだろうね?
うるさい。
強引で過激、それって緒里の本性でしょ?
違う、俺はそんな人間じゃない。
隠さなくていいんだよ、素の自分を。封じ込めておくと苦しいでしょ?
おまえと一緒にするな。
俺を拒否しないでよ。本当の自分を晒せるのは俺の前でだけでしょ?
本当の自分?本当の自分ってなんだ?今だって本当の自分だ。
違うよ。本当の緒里はもっと自己中で、向こう見ずで、人を手のひらで転がすのが大好きな俺の分身みたいな存在だよ。
違う!俺はそんな最低な人間じゃない!
ずっと隠し続けるの?晴仁さんの前でも?
…………
それってなんて言うか知ってる?騙してるって言うんだよ。
違う、騙してなんかない!
晴仁さんが大嫌いな嘘つきさんだよ。
違う……違う……!
……緒里?
来るな!!
緒里。
うるさい!来るなって言ってるだろ!!
「緒里!」
「っ?!」
バッと目を覚ますと、バクバクと鳴る心臓を押さえる。
やけにベタベタとする髪をかきあげようとすると、額は汗でべっしょりとしていた。
「ゆ、夢……?」
「大丈夫か?うなされてたぞ」
黒永先輩が心配そうに覗き込んでくる。
ぼんやりとする頭をフル回転し、状況を把握する。
ああ、黒永先輩と部屋に帰って……それからお風呂のお湯が溜まるのを待ってる間にソファーで寝落ちしたんだ。
「……大丈夫です、変な夢見てただけなので」
深刻そうな表情の黒永先輩に俺は笑いかける。
「汗が酷いぞ」
「ですね…………お風呂入ろうかな」
「そうだな、入ろう」
「はい、入ってきますね……………入ろう?!」
聞き間違えかと思い、黒永先輩の顔をまじまじと見る。
「ああ、入ろうって言った」
ニッコリと笑ってますけども…………え?
それってつまり…………
「い、一緒にお風呂に入るんですか?」
「ああ」
しっかりと頷く黒永先輩が見えたけど、見間違いであって欲しい。
「いやいや、それは……」
俺が困る。多分鼻血大量噴射して天に召される。
「嫌なのか?」
黒永先輩が俺の手を握る。
あれ?なんでだろう、黒永先輩の頭にシュントしたわんちゃんの垂れたお耳が見える……
こんなのを見て断れる人なんているのだろうか。
いるわけないよね。
「一緒に入りましょう」
「ああ」
俺は黒永先輩によって脱衣所まで連行された。
制服を豪快に脱いでいく目の前の美男子に思わず目が行ってしまう。
前にチラリと見たことがあったけど、やっぱり先輩の体、程よく筋肉がついてて美しすぎるんだが……
そしてなんかすごい滑らかそう……
釘付けになっていると、黒永先輩がベルトを外し始めていることに気がついてハッとする。
これは直視しちゃいけないやつ!
俺はぐるりと方向転換すると、亀のようなスピードで自分の服を脱ぎ始める。
しかし、背後から聞こえてくる音に全神経が集中してしまう。
あ、今ファスナー下ろした。これはスラックスを脱いだな……で、今パンツ下ろしたな……
「緒里?」
「はい?!」
突然声をかけられてビクリとする。
「先に入ってる」
「しょ、承知いたしました……」
「ふっ」
ああ、もう、笑われたじゃん!顔が熱い!
背後で黒永先輩がお風呂場に入っていく音が聞こえると、ようやく肩の力が抜けた。
ダメだこりゃ、めっちゃ緊張する。
恋人フィルターがかかってるからなのか、先輩のポテンシャルが凄すぎるからなのか、同じ男であるはずなのに異性の体を見てしまったような感覚になる。
思考は停止。手元はもたもた。
そんな状況で俺は頑張って着ていた服を全部脱ぎ切った。
「ふぅー」
深呼吸をする。
息子よ、どうか誤作動だけはしないでくれ……!
そう言い聞かせながら俺はついに黒永先輩のいるお風呂場に入っていった。
湯気が立ち込めるお風呂場の中は視界がやや悪いが、それでも近づけば相手の隅々まではっきりと見ることができる。
俺はそこに踏み込んだ瞬間、目を向ける方向を間違えてしまった。
先輩はこちらに背を向けているから安心だ。問題はその目の前にある、全身が映るほどの大きな鏡。
そこにばっちりと映っていました。
え?でかくね?
あれってお休みモードだよね?
入って一番に鏡越しに目にしてしまった黒永先輩のご子息に敬意を表さずにはいられない。
「緒里」
シャワーヘッドを持って体にお湯をかけていた先輩は俺に気が付くと、「おいで」と手招きする。
恥ずかしさもありつつおずおずと近づくと、突然唇に軽くキスをされた。
「先輩?!」
これって俺への試練ですか?!俺の息子が試されたますか?!
口を隠してドギマギとしていると、先輩は愛し気な視線で俺を見つめてくる。
「可愛い」
「……だとしてもすっぽんぽんでキスはアウトですよ……」
「なんで?」
なんで?そんなの勃つからに決まってるでしょ??
……って言えたらどんなにいいか!!
言葉に詰まって口をパクパクとさせることしかできない。
「もう1回してもいいか?」
俺を壁側にじりじりと追い詰めながらそう問いかける先輩は、拒否をさせる気がなさそうだ。
「ひっ」
壁に背中やらお尻やらが付き、その冷たさに思わず変な声が出る。
「冷たいか?」
先輩は自分の手を俺の背中に当てて、壁につかないようにしてくれた。
……が、好きな人の手がダイレクトに地肌に触れていることの方が俺には問題だった。
「せ、先輩……手……」
「大丈夫だ、気にするな」
違うそうじゃなーーーーい!!
「緒里」
俺がうろたえている間にも、黒永先輩は着々とキスをするための準備を進めていた。
顎の下に手があてがわれ、少し上向きのところでキープされる。
嘘だろ……こんな状況でもっとキスとかしたら俺の俺が……!
脳内では警告が出ているものの、先輩から注がれる視線で体は従順になってしまう。
あ、来る……
そう思ったときには俺の唇はすでに先輩のものによって塞がれていた。
最初は軽く触れるように。
それからついばむように。
なんで唇同士が触れる動作だけでこんなにも体がしびれるような感覚がするんだろう。
幸福感に満ちたキスに浸っていると、下唇を軽く噛まれる。
こ、これって……
合ってるのかな?と思いながら恐る恐る口を少し開くと、その隙間をこじ開けるようにして熱いものが入ってきた。
「んふっ……」
先輩の舌が……
舌同士が絡みあったり、上あごを撫でられたりと、まるで口内を侵略されているような感覚だ。
俺の背中に当てていたはずの先輩の手もいつの間にか俺の後頭部に移動してきており、逃がすまいと固定されている。
「んん」
ダメだ、下半身がムズムズする……!!
触りたい……!!
そっと手を伸ばそうとすると、思わぬことに先輩にその手を掴まれる。
ばれてらぁ……恥ずかしすぎる!!
その間も俺の口はひっきりなしに犯され続けている。
唇を甘噛みされ、舌を入れては口中を撫でられ、終いには舌を吸われた。
「はあ、はあ、はあ……」
口の端からよだれが垂れる感覚がするが、そこまで意識がついていかない。
黒永先輩は熱っぽい視線を俺に送りながら頬を撫でてくる。
「緒里、これ、どうする?」
これ……?
何だろうと思って先輩の視線をたどって見ると、そこには立派にそびえ立つ先輩のご子息が……
こ、これが稼働モード……
そのサイズのなんたるや、見た者を尻込みさせてしまいそうなほどだ。
性欲がありますかなんて愚問だったな……
「緒里のも……」
はい、存じております。
さっきから触るの我慢してたのでね!!
「触っていいか?」
そう聞きながらも既に手は伸びてきている。
「んっ……」
先輩の手の熱が直に俺のものに伝わり、思わず声が漏れる。
「緒里可愛い……」
そう言いながら先輩は俺のものを手で包んで上下に擦り、もう片方の手で耳を揉んでくる。
「やっ……せ、んぱ……い……」
自分の荒ぶった呼吸と上ずった声が羞恥心を一層煽るが、それでもこの持て余した熱を放つために黒永先輩を呼び続ける。
「せん……ぱいっ…………せ、ん………ぱ……」
「緒里?」
俺は体から力が抜けるのに耐えながら、先輩の堅くなったそれに手を伸ばそうとする。
しかし……
「待って」
先輩に手首を掴まれて阻止されてしまった。
「なんで……?」
見ると、先輩の顔は普段の無表情から打って変わって「雄」のものへのなっていた。
顔から首にかけて赤くなっているが、それは恥ずかしくてそうなっているのではなく、何かを我慢するために力を入れて赤くなっているのだと分かる。
「緒里が触るとすぐに果てる気がする」
そう言って困ったように笑う黒永先輩に心から愛しさを感じてギュッと抱きしめる。
「緒里?」
肌が密着するし、あそこもお互いのが当たってるしで落ち着かないが、心はなんだかぽかぽかとする。
「一緒にがいいです」
「……」
あ、これは照れてるな。
照れるときは大抵無言になるし、今は心臓がバクバクと言ってるのが聞こえる。
「分かった」
意を決したかのように先輩は自分のものと俺のものを一緒に握る。
「これ……裏同士が当たりますね」
「そんな笑顔で言うなっ……」
まだ動かしてもいないのに黒永先輩は既に耐え切れないとでもいうような表情になる。
この人……エロ……
まじまじと顔を見てると、突然手が上下に動く。
「んぁっ」
やべっ!変な声出た!
急いで口を塞ごうとするとその一歩手前で先輩の唇が触れる。
ああ、これはダメ……!!俺には刺激が強すぎる……!!
手を動かす度にくちゅくちゅと卑猥な音がお風呂場に響く。
裏筋は刺激し合い、竿は擦られ、亀頭は撫でられ……
休む間もなく責められ続けるそこはすでにぐちょぐちょだ。
もうムリ……!
もうムリ………!!!
「んんんっ!」
全身が勝手にビクビクするのを制御できないまま、俺は果ててしまった。
そのすぐ後に先輩も一瞬力むと、俺とほぼ同時に果てる。
勢いよく飛んだ2人の精液は、混ざり合ってそこら中に飛び散り、自分たちのお腹にもべっとりと付く。
「はあ、はあ、す、すごかった……」
「……」
アホのような感想を口にする俺と、俺のお腹に飛んだものを見つめる黒永先輩。
「ははっ」
「……?」
突然こみあげてくる笑いが我慢できずにいると、先輩はキョトンとした顔で俺を見つめてきた。
「なんか、終わった後の反応がいかにも初心者っぽいですよね、俺たち」
そう言うと先輩はふっと笑う。
「じゃあ熟練者はどんな反応をするんだ?」
「んー、キスでもするんじゃないですか?」
俺は軽くかかとを上げると、隙だらけな先輩の唇に軽くキスをした。
「こんな感じとか?」
「……待ってくれ、そんなことをされたら……」
先輩のご子息がまた起立しそうになっているのを見て俺は慌ててシャンプーを手に取る。
「シ、シャワーを始めましょうか!」
「そうだな……これからも時間はあるし」
「そうそう、時間はあるし……」
先輩から向けられる視線が痛い。
まさかあんなに淡泊そうな黒永先輩がこういう時はちゃんと男の子になるなんて……いや、正直に言うと性欲強めなのでは……
そろそろお尻の出番が来るのではないかと思わずにはいられない俺であったとさ……
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