サレ夫が愛した女性たちの追憶

しらかわからし

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第3章

18話 たまにはゆっくり一人の時間

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仕事も充実していて、昨年の真凛との離婚から、恭子さんとのデート、京香や義母の人妻、更にはアラ還の康子先生との今までにないモテキの人生を歩んで、ちょっと疲れていた時期だった。
 
かといってもう自宅に誰かを呼ぶのは嫌なので、自分を見詰め直すのと、あの赤井支配人が京香にしたセクハラ行為?いやレイプ未遂事件をどうするかなどを考えていて、ちょっと休憩していた。
 
この連休は誰とも会わずに良い天気だったので一人で叔母と以前に行った東北の離島、久遠島に何のアテもなく行った。

日頃の一人旅のキャンプは奥多摩の野営地でやっていたが連休だったので、以前から気になっていた島に行った。
 
只、こちらを選んだのは失敗だった。

それが分かったのが、フェリーに乗ってからの事で、波を超える度にジェットコースターなんじゃないかと思うほどの高低差があって、気持ち悪くなるほどの揺れだった。

そして久遠島の港に着くと、宿泊客の送迎で、大漁旗が振られ数台の民宿の車が待っていた。

宿泊先を決めないでフェリーに乗ってしまったので、旅行案内所で宿泊先を聞くと、そこの係の人が「漁火さんがいいですよ」と紹介された。

地図を渡されてその民宿に行くと、快く一泊させて頂ける事になった。

一泊二食付きで五千円だった。

そしてこの島の観光地、つまり見どころを聞いたが、車がないといけない場所ばかりで、近隣の徒歩で行ける場所を案内された。

寺、神社、小中学校、資料館、島唯一の酒屋と食料品店、そして天然温泉に行っただけで、風が強かったので部屋に帰って来てテレビを見ていました。

番組もNHKとあと、二局しかなく、つまらない番組ばかりでした。

何にもすることがなく、部屋から外の景色を見ていると、オヤジさんが下から呼ばれたのです。

「食堂さ来て下さい」と。

暇を持て余していたので、お言葉に甘えて降りて行くと、オヤジさんとその母親らしき女性の二人が優しい顔をして出迎えてくれました。

この島の民宿の木造で、三メートルほどの路地を挟んで母屋と宿泊部屋が前後にあって、私の宿泊部屋は海が見える二階の部屋で、その部屋がこの民宿で一番の部屋だった。

そんなわけ、この日の宿泊客は私だけだった。

そしてお茶とお菓子を頂きながら、オヤジさんと話しをしていると、私の職場の話や家族関係や趣味を訊かれ話せる事は話した。

オヤジさんは私が帝王ホテルの料理長と言うことに一番、驚かれていた。

夕食の時間の前に入浴をしてその後の夕食では豪勢な料理で、島で取れた魚介類や野菜で全十七品が出てきて、更にはご飯が最高に美味しかった。

食事が終わって、またオヤジさんと女将さんと雑談をして、その後は部屋に帰ってテレビを見た後に就寝した。

何もない島だったが、方言のあるオヤジさんと女将さんの優しい言葉が心を癒され和んだ。

朝、起きて朝食を頂いている時に、フェリー乗り場から「海上時化の為、午前の便は欠航します」の有線放送があった。

テレビの天気予報を見ていると、オヤジさんが「等圧線の幅細ぐで三本あったらフェリー動がねぐなっから」と教えてくれた。

仕方なくまた部屋に帰ってテレビを見ていると、オヤジさんが呼びに来てくれて、「冬のこの島では海釣りぐらいすかする事がねがら島案内すっから」と言ってくれて、車で一時間ほど巡ってくれた。

島の裏側のもう一つの街、いや小さな部落というのですか、そこに行き、灯台を見るために長い坂道を上がった。

車中ではオヤジさんの歳を聞いたら私より一回り上で、今は消防団の団長をやっているとのことだった。

昼になってフェリーが出航する内線放送があり、女将さんが昼食でサービスのうどんを作ってくれて食べて、オヤジさんがサービスで強力な酔い止めをくれた。

その後の私は、連休の休みが取れると、この民宿に一人で行き泊まっていた。

オヤジさんと女将さんの優しい方言が癒されるからで、夏の期間だけ行った。

理由は海が時化る時が滅多に来ない台風の時ぐらいだったからで、一番の理由が民宿の書入れだったので、手伝いに行っていた。

つづく
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