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第3章

16話 美容師の恭子さん

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美容室に予約をしたら、その後直ぐに、恭子さんから折り返しの電話が来た。

「逢いたいです」だった。

正直言うと、恭子さんは素敵な女性だけど、「結婚」が付きまとうので、気分的に逢うのが重かった。

しかし美容室は変えたくなかったし、恭子さんは美容師としては技術もあるので、変わらずに行っていた。

そんな訳で美容室に行った後の昼食を一緒にまたあのタイ料理屋で食べた。

「ミキトさんは、好きな食べ物ありますか?」

「強いて言うなら、納豆と豆腐だけど基本的には好きか大好きしかないので。恭子さんは?」

「私は、何を食べるか、よりも誰と食べるか、なのでミキトさんと食べたら何でも好きな食べ物に成っちゃうから」

「そういう答え方も良いね。メモメモメモ」

「ダメですよ、他の女性に使ったら」

「大丈夫ですよ。ご存じのようにこの顔ですから、相手にしてくれるのは、うちのホテルのパートのオバサン連中だけだから」

「それは嘘!」と怖い顔で言った。

「そんな事ないですよ」

「私がミキトさんと、そういう関係に成りたいって言った時に困った顔をしたから他に居るんですよね?」

「本当に特定の人はいないですよ」

「私、ミキトさんに『結婚』という言葉はもう言わないので、これからもお付き合いをして頂きたいのですが」

「それでしたら私もお願いしたいですよ。前の嫁さんとの離婚から、正直言って未だ精神的に癒えてないので、そういう事は考えられないので本当にすみません」

「合コンで様々な男性に逢ったんですけど、全員が私の体目当ての人ばかりでもうガッカリしたんです」

「そんなに多くの人に逢ったんですか?」

「はい、全部で十一人とマッチしたので逢ったのですが……」

「それだけ恭子さんが魅力的だと言う事じゃないですか?」

「そういう事が出来れば誰でも良いんだと思いました。でもミキトさんは今まで、そういう事を言った事もないし、しようともしなかったから」

「私は相手の女性がそういう気がないのにしたらいけないし、そう言う事って自然の成り行きって言うのが一番だと思うんですよね」

「そうですよね。私、ミキトさんに焦っていて、今まですみませんでした。これからはゆっくり私を理解してもらいますから」

「お互いにね。そうしましょう」

「じゃぁ、また私、仕事しますね」

「はい、では、またお互いに時間の空く時に連絡し合いましょう」

「はい、今日はありがとうございました」

そんな訳で恭子さんと復活してしまった。

つづく
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