サレ夫が愛した女性たちの追憶

しらかわからし

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第3章

3話 行き付けの美容師の恭子さん

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休日に美容室で髪をカットしてもらい帰りに昼食の時間になっていた。

店の隣で営業しているタイ料理屋の前で、何を食べようかとメニューとにらめっこして何気に横を見た。

幽霊のように立っていた人がいて見た途端に、「あ~、びっくりした!」と叫ぶと、先ほど私の髪を切ってくれた担当の恭子さんだった。

恭子さんは深田恭子さんにそっくりとまでは言わないけど、タレントになってもおかしくない程の美しく三十二歳で身長も百七十センチを超えていてボンキュボンの女性だった。

「何にするんですか?」

「私はタイカレーです。ここのは本当に美味しいですよ」と言ったので私も「じゃぁ、それにしよう」と言って一緒に店内に入って行った。

同じテーブルに座り、「先ほどはありがとうございました」と言うと、「何を改まって」と言って笑った顔がまた眩しかった。

その後は注文して料理を待っている間、世間話をしていた。

私は何を話したら良いか分からなかったので、綺麗なネイルをしていたので褒めると、「自分でやっているんです」と言った。

細かいデザインだったので利き手は自分で出来たにしても逆は出来ないのではないかと思っていたので、「器用ですね」と言った。

「右手が利き手だったんですが、骨折した時に左手で色々するようになったら、左手でも細かい作業が出来るようになったんです」と屈託のない笑顔で言いその顔がまた可愛かった。

(相変わらず美人だな)と思いながら話しを聞いていた。

どうせ昼食を取るなら、一人で食べるよりも美人さんと一緒に楽しい会話をしながら食べる方が断然、美味しい。

相変わらず恭子さんのおしゃべりはとても楽しくて、テンポもぴったりで、本当に素敵な女性だなと思いながらだった。

そしたら何と、恭子さんから、「お店だとお客さんと個人的な付き合いをしたらダメなので、出来なかったんですけど、久留実野さんと個人的にお付き合いが出来たらと思っているので、後でご連絡しても良いですか?」と言われた。

私は夢か幻かと思っていたけど二つ返事で、「はい」と答えた。

その後に「電話番号、わかりますか?」と訊くと、「はい、お店のカルテに書いてあるので」と言った。

タイカレーが美味しいと聞いていたけど、恭子さんからそんな事を言われたので、私はそのカレーの味を全く覚えていないほど舞い上がっていた。

恭子さんの分まで支払って店を出ると、千円を出していて、「はい」と言って渡されそうになったが、「いいですよ」と言った。

「えっ、ご馳走して下さるのですか?」と言って、払う気満々だったのがうかがえて、「やっぱり、この人は、まともな子だ」と思ってそれも嬉しかった。

女性とご一緒して、叔母や義母や康子先生以外の女性には全て私がご馳走しているけど、「当たり前」という顔をされると、ムカ付くが、例え払う気が無くてもこの行動をしてくれるだけで嬉しいものだ。

その足で私は康子先生のアトリエに向かい、作業をしてその晩は先生と夕食に行き、帰って来て情交をしてまたマンションに帰った。

充実した独身生活をしていて、私自身はこの生活で満足していた。

つづく
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