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第3章
2話 仕事に打ち込む
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前妻の真凛の事は私の心から全て無くなそうとは思っても、良かったことだけは思い出してしまう時があり、その思い出を吹っ切る為にも仕事に打ち込んだ。
また義母と正式にセフレとしての付き合いも始まり、陶芸の師匠の康子先生とも関係は続けていた。
陶芸は生涯の趣味として続けていきたいと思っていたので、休日に朝から出掛けて習い、作業終了後に彼女の手料理を頂きその後、愛を交わしてマンションに帰る生活をしていた。
私が真凛と離婚したことは、風の噂で康子先生の耳にも入っているので、連絡をマメにしてくれるようになっていた。
引っ越してからも自宅の留守番電話に入っているが、休日以外は私もホテルの仕事で忙殺されていたことで、中々返事ができなかった。
返事をしようと思うと夜中になってしまうからだ。
私のような男は、結婚には向かず、叔母や義母や康子先生のような、年上の人妻や離婚経験者などの熟女と付き合うのが、性に合っていると思っていたので当分は結婚は考えずに生活していくつもりだった。
私はこのホテルは大学を卒業して新卒で入社し、研修期間を終えて、メインダイニングの現場に入って修行をし、二十代後半で部門の副料理長になり、三十代に差し掛かると料理長に抜擢され現在に至る。
その昇進は、同期で一番だった。
私の上には料理長がいて、その上が取締役総料理長です。
四百人からの調理師を纏めている偉いお人だ。
たまたま力のある上司の下で修行させて頂いた事で、推薦して頂いたから成れただけで、本当に実力があってなった訳ではない事は自分でも良く理解していた。
職場内では多弁にならず、控えめにしていたが、私も日本男児なのでこのホテルで行く末は取締役総料理長の椅子を虎視眈々と狙っている末端の一人でもあった。
しかし上が詰まっていて、私よりも優秀な同期の面々が中々昇進できないのも確かだった。
老いた権力者たちや、過去の栄光に輝いていた人たちは、そう簡単には居心地の良い、その場所を手放そうとはしないものだ。
醜いまでに執着して、もう引退してもおかしくない、日本の様々な場所にいる、年老いた面々同様に未だに部下たちを蹴落としに掛かっていることは明白だった。
このホテルでトップを目指してはいるが、しかし、その道にもいつかは、終わりが来る。
例え取締役総料理長になれたとしても、後進に道を譲らなくてはならないし、本社では六十歳定年制を敷いていた。
私に残された時間は後、二十ニ年しかない。
管理職になって業績を上げて上司に認められれば、役員として残れるが、そんな椅子は本の少しだ。
社内でスポットライトを浴びた人ほど転げ落ちる人が多かった。
テレビや雑誌にもてはやされて、甘い汁を吸い、そしてその過去の栄光にしがみ付き、醜い年齢の重ね方をした上司を何人も見てきて、このままで行くと、私自身も危ないと痛切に感じていた。
職場内でも調子に乗っている人を私は良く観察していた。
自分がやった業績を会議の席上で声高々に話している同年代の料理長が隣のセクションに居た。
彼と一緒に行動を共にする事があるが、いつも部下を怒鳴り付けていた。
部下の失敗は自分の失敗と捉えなくては、また同じ失敗を繰り返すし成長はない。
部下だって、他のセクションの上司の前で怒鳴られれば、嬉しい人はいない。
真面目さと緻密さが社会人レベルに達していないし、自分が上司からされたからと言っていつまでも徒弟制度時代を彷彿させるようなパワハラ三昧だった。
こういうタイプは良く喋って自慢する。
このセクションの職員から良く愚痴を聞き、私のセクションに異動したいと言って来る人が多かった。
職場は風通しが良くて明るいが一番だ。
さぁ、今日もまた現場だ。
お客様に喜んで頂けて、明るい職場になるよう努めようと決意して出勤した。
つづく
また義母と正式にセフレとしての付き合いも始まり、陶芸の師匠の康子先生とも関係は続けていた。
陶芸は生涯の趣味として続けていきたいと思っていたので、休日に朝から出掛けて習い、作業終了後に彼女の手料理を頂きその後、愛を交わしてマンションに帰る生活をしていた。
私が真凛と離婚したことは、風の噂で康子先生の耳にも入っているので、連絡をマメにしてくれるようになっていた。
引っ越してからも自宅の留守番電話に入っているが、休日以外は私もホテルの仕事で忙殺されていたことで、中々返事ができなかった。
返事をしようと思うと夜中になってしまうからだ。
私のような男は、結婚には向かず、叔母や義母や康子先生のような、年上の人妻や離婚経験者などの熟女と付き合うのが、性に合っていると思っていたので当分は結婚は考えずに生活していくつもりだった。
私はこのホテルは大学を卒業して新卒で入社し、研修期間を終えて、メインダイニングの現場に入って修行をし、二十代後半で部門の副料理長になり、三十代に差し掛かると料理長に抜擢され現在に至る。
その昇進は、同期で一番だった。
私の上には料理長がいて、その上が取締役総料理長です。
四百人からの調理師を纏めている偉いお人だ。
たまたま力のある上司の下で修行させて頂いた事で、推薦して頂いたから成れただけで、本当に実力があってなった訳ではない事は自分でも良く理解していた。
職場内では多弁にならず、控えめにしていたが、私も日本男児なのでこのホテルで行く末は取締役総料理長の椅子を虎視眈々と狙っている末端の一人でもあった。
しかし上が詰まっていて、私よりも優秀な同期の面々が中々昇進できないのも確かだった。
老いた権力者たちや、過去の栄光に輝いていた人たちは、そう簡単には居心地の良い、その場所を手放そうとはしないものだ。
醜いまでに執着して、もう引退してもおかしくない、日本の様々な場所にいる、年老いた面々同様に未だに部下たちを蹴落としに掛かっていることは明白だった。
このホテルでトップを目指してはいるが、しかし、その道にもいつかは、終わりが来る。
例え取締役総料理長になれたとしても、後進に道を譲らなくてはならないし、本社では六十歳定年制を敷いていた。
私に残された時間は後、二十ニ年しかない。
管理職になって業績を上げて上司に認められれば、役員として残れるが、そんな椅子は本の少しだ。
社内でスポットライトを浴びた人ほど転げ落ちる人が多かった。
テレビや雑誌にもてはやされて、甘い汁を吸い、そしてその過去の栄光にしがみ付き、醜い年齢の重ね方をした上司を何人も見てきて、このままで行くと、私自身も危ないと痛切に感じていた。
職場内でも調子に乗っている人を私は良く観察していた。
自分がやった業績を会議の席上で声高々に話している同年代の料理長が隣のセクションに居た。
彼と一緒に行動を共にする事があるが、いつも部下を怒鳴り付けていた。
部下の失敗は自分の失敗と捉えなくては、また同じ失敗を繰り返すし成長はない。
部下だって、他のセクションの上司の前で怒鳴られれば、嬉しい人はいない。
真面目さと緻密さが社会人レベルに達していないし、自分が上司からされたからと言っていつまでも徒弟制度時代を彷彿させるようなパワハラ三昧だった。
こういうタイプは良く喋って自慢する。
このセクションの職員から良く愚痴を聞き、私のセクションに異動したいと言って来る人が多かった。
職場は風通しが良くて明るいが一番だ。
さぁ、今日もまた現場だ。
お客様に喜んで頂けて、明るい職場になるよう努めようと決意して出勤した。
つづく
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