サレ夫が愛した女性たちの追憶

しらかわからし

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第2章

34話 真凛の同棲をしていた元彼からの手紙と返信を見せられて

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帰宅して夕食を共にしてその後、晩酌をしていたら、真凛が「これ」と言って二通の手紙を見せてくれた。

 ※

 真凛、元気か? 
真凛が「他に好きな人ができたから、私がいなくても大丈夫だよね!?」と勝手なことを言って俺の前から消えてから、もう一年が経ったんだね。月日が流れるのは早いものです。
この手紙を書いたのは、昨日、真凛と共通の友達と会ってお前の話題が出たから、久々に思ったままの自分の気持ちを書いてみようと思ったので。

 驚かせちゃったかな?
今思うと、俺らの恋愛、いや同棲って酷かったと思います。あの頃の俺は嫉妬深くて、社内の男性と良く話す真凛にいつも文句を言っていたけれどお前は全く動じないで平気だったよな。

 あ、そうそう、真凛からしてみれば俺は初恋の相手って言ったよな。まだラブラブで毎日のようにセックスをしていた頃、お前は俺に「私ね、男って顔で決まるとは思わないんだよね」といつも言っていたよな。良かれと思って言ってくれていた言葉だったと思うけど、人を傷付ける辺りは、自他ともに認めている美人の真凛らしいなといつも思っていたんだ。今もその性格は治ってないのかな?自慢じゃないけど俺は皆にイケメンだって言われているけどな。

 色々書いたけど、俺は真凛が大好きだし、今でも縒りを戻したいとも思っているんだ。実は俺、結婚した妻と別れて今、独身になったんだ。だからと言う訳ではないけど、もう一度、真凛と一緒になれたらと思って手紙を書きました。

 もし、真凛に今、最愛の人がいないのであれば連絡下さい。あの頃に戻って一緒に幸せになりませんか?

 では。

                              ○年〇月〇日

                                         竜也

 ※

真凛の返信の手紙には私と結婚する事が書かれていて、もう二度と会う事はないとも記されていた。

「真凛の過去もひっくるめて好きなんだから、わざわざ、このような手紙を見せてくれなくても良いからさ」と私。

「私は先生に嘘を吐きたくないから。それにヤキモチを妬かせたくて見せた訳じゃないからね」

「あぁ。『嘘を吐きたくないから』と言う、その気持ちは有難く受け取るよ」

「うん。ありがとう」

「でもこの彼の手紙を見ても俺は何の感情も湧かなかったと言うのが本心だし、俺の場合は、完全に別れた女性に未練タラタラの手紙は書かないからな。この彼の気持ちは理解できなかったよ」

「先生とは性格が全く違うから」

「これだったら、お前と同棲している時に前妻と離婚して求婚した方が良かったんじゃないかと思ったし、お前がこの手紙を俺に見せた気持ちも正直言うと理解できなかったんだ」

「ごめんなさい。彼は半グレをやっていて反社の道に入って親分から預けられた会社の社長だから幼稚なんだよね」

「世の中には色んな人がいるし、夫婦でも育って来た環境が違うから仕方ないよ。お互い様なんだけど、こういう事もさ、全て理解して許し合って結婚生活を営むんだからさ。俺も理解して許してもらいながらさ」

「本当に夫婦ってそうだよね。許し合いなんだよね」

「だな」

つづく
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