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第2章
27話 倦怠期の話し
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夕食時に「倦怠期って言葉があるよね?」と唐突に真凛が。
「うん」と私。
「実際、私の前の彼氏とは倦怠期を経験したんだ」
「そっか」
「でも、先生との間で倦怠期はなかったよね?」
「あぁ」
「まだ再会して、先生と付き合って一年だからというのもあるけれど、早ければ三ヶ月とか半年とか一年で倦怠期になったりするんだよね」
「そうなんだ」
「思い返せば、一か月に一回の割で倦怠期になってまた復帰して……みたいなことも有ったんだ」
「そうなんだ」
「それが普通だと私は思っていたんだけど、先生とはそんなことは全くなくて。確かに、再会して付き合い始めた頃は中々逢えなかったけど、その後は、週に三日くらい会っていた時期とくらべたら、『会いたい』とか『好き』という気持ちは激しくないけど、その気持ち自体は変わらずにいる気がするんだよね」
「そうだったし、俺もそうだよ」
「以前、私が一か月に一回の割で倦怠期していた頃、ある友達は『十年付き合っているけど全然飽きない』って言ったんだ。『えー? そんな訳ないでしょー?』と思ったけど、今ならその意味が何となく、分かった気がしたんだ」
「そっか」
「でもね、私はその時は気が付かなくて、その同棲をずっと続けてしまった。倦怠期が来る同棲はダメなんじゃないかと今は思えるんだよね。倦怠期を乗り越えても、やっぱり倦怠期が来る。それはいつまでも輪廻する事が分かったんだ」
「そっか。何事も経験だな」
「その友達に、『どうしたら早く結婚できるのかな?』と訊いた時に、『妥協しないことだよ』と言われてね。『妥協ってなんだろう?』って思って、その時の私は分からなかったんだ」
「そっか」
「先生と再会して付き合いだして、やっとその意味が分かった気がするんだよね。高望みするとか、ランクを落とさないとかいう意味の妥協ではなくて、『自分に合う人』かどうかという意味で妥協しないということだったのでは?とね」
「そっか」
「『結婚』に憧れて『結婚』したいからとズルズル付き合っても仕方ない。ただ好きなだけで片思いを続けても仕方ないという意味だったんだ」
「そうだな」
「本人がそういう意味で言ったかどうかは分からないんだけど、私の経験ではそうなのかな?ってね。でも、自分と合うかどうかは、自分に合う人に会わなければ、わからなかったりするもんね。会っていても何年も気付かない人もいたりしてね。先生と出会えて本当に私は幸せなんだ」
「俺も真凛に再会できて本当に良かったよ。そしてその話しを聞かせてくれてありがとうな!」
「先生は本当に心が広いよね。今までの人とはこんな話しが出来なかったから」
「俺の事もそうなんだけど、真凛の過去もひっくるめて俺はお前の事が好きで、愛していて、一緒に結婚生活を営みたいと思っているから、過去がどうあれ、そんな事は関係ないと思っているからさ。敢えて言うなら、その真凛の過去の彼氏にお前を大人の女性に育ててくれてありがとうって言いたいぐらいだよ」
「先生は本当に凄い旦那様だね。ありがとう。私も先生を愛していますし愛し続けます」
「こちらこそ、こんなブサメンだけど、末永く宜しく頼むよ」
「うん、任して、私はブサメンの薄ら禿の野獣の扱いは上手だからさ。鞭でビシビシとね!なんちゃって!?」
「と、言う事は、真凛が自分で美女だと思っていると言う事だぞ?」
「そんな事ないよ。自分が美人だとは今までも思った事は一回もないよ」
「本当かよ?」
「本当だよ。普通ぐらいと思っているよ」
「と、言う事は、俺は普通以下だよな?」
「ご想像にお任せします」と言って舌を出して笑った。
「チッキショー!」と小梅太夫さんばりに言うと真凛は爆笑した。
つづく
「うん」と私。
「実際、私の前の彼氏とは倦怠期を経験したんだ」
「そっか」
「でも、先生との間で倦怠期はなかったよね?」
「あぁ」
「まだ再会して、先生と付き合って一年だからというのもあるけれど、早ければ三ヶ月とか半年とか一年で倦怠期になったりするんだよね」
「そうなんだ」
「思い返せば、一か月に一回の割で倦怠期になってまた復帰して……みたいなことも有ったんだ」
「そうなんだ」
「それが普通だと私は思っていたんだけど、先生とはそんなことは全くなくて。確かに、再会して付き合い始めた頃は中々逢えなかったけど、その後は、週に三日くらい会っていた時期とくらべたら、『会いたい』とか『好き』という気持ちは激しくないけど、その気持ち自体は変わらずにいる気がするんだよね」
「そうだったし、俺もそうだよ」
「以前、私が一か月に一回の割で倦怠期していた頃、ある友達は『十年付き合っているけど全然飽きない』って言ったんだ。『えー? そんな訳ないでしょー?』と思ったけど、今ならその意味が何となく、分かった気がしたんだ」
「そっか」
「でもね、私はその時は気が付かなくて、その同棲をずっと続けてしまった。倦怠期が来る同棲はダメなんじゃないかと今は思えるんだよね。倦怠期を乗り越えても、やっぱり倦怠期が来る。それはいつまでも輪廻する事が分かったんだ」
「そっか。何事も経験だな」
「その友達に、『どうしたら早く結婚できるのかな?』と訊いた時に、『妥協しないことだよ』と言われてね。『妥協ってなんだろう?』って思って、その時の私は分からなかったんだ」
「そっか」
「先生と再会して付き合いだして、やっとその意味が分かった気がするんだよね。高望みするとか、ランクを落とさないとかいう意味の妥協ではなくて、『自分に合う人』かどうかという意味で妥協しないということだったのでは?とね」
「そっか」
「『結婚』に憧れて『結婚』したいからとズルズル付き合っても仕方ない。ただ好きなだけで片思いを続けても仕方ないという意味だったんだ」
「そうだな」
「本人がそういう意味で言ったかどうかは分からないんだけど、私の経験ではそうなのかな?ってね。でも、自分と合うかどうかは、自分に合う人に会わなければ、わからなかったりするもんね。会っていても何年も気付かない人もいたりしてね。先生と出会えて本当に私は幸せなんだ」
「俺も真凛に再会できて本当に良かったよ。そしてその話しを聞かせてくれてありがとうな!」
「先生は本当に心が広いよね。今までの人とはこんな話しが出来なかったから」
「俺の事もそうなんだけど、真凛の過去もひっくるめて俺はお前の事が好きで、愛していて、一緒に結婚生活を営みたいと思っているから、過去がどうあれ、そんな事は関係ないと思っているからさ。敢えて言うなら、その真凛の過去の彼氏にお前を大人の女性に育ててくれてありがとうって言いたいぐらいだよ」
「先生は本当に凄い旦那様だね。ありがとう。私も先生を愛していますし愛し続けます」
「こちらこそ、こんなブサメンだけど、末永く宜しく頼むよ」
「うん、任して、私はブサメンの薄ら禿の野獣の扱いは上手だからさ。鞭でビシビシとね!なんちゃって!?」
「と、言う事は、真凛が自分で美女だと思っていると言う事だぞ?」
「そんな事ないよ。自分が美人だとは今までも思った事は一回もないよ」
「本当かよ?」
「本当だよ。普通ぐらいと思っているよ」
「と、言う事は、俺は普通以下だよな?」
「ご想像にお任せします」と言って舌を出して笑った。
「チッキショー!」と小梅太夫さんばりに言うと真凛は爆笑した。
つづく
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