上 下
82 / 177
第2章

25話 結婚に向けて目に見えて動き出す

しおりを挟む
仕事を終えて帰宅した。

「私のママから電話があって、『先生のご両親と顔合わせはどうするの?』って訊かれて困って、『未だ、その話しをしていない』って嘘ついちゃった」

「そっか」

「でも、何もしないなら、何もしない理由を説明しなきゃいけないじゃない?」

「急に仕事で行けなくなったって言えばいいから、顔合わせをしたいなら、普通にセッティングをして両親たちを呼ぶよ。その日は叔父夫婦にも仲人として来てもらってさ。でも、私は急に仕事で行かれなくなるというシナリオかな」

「うん」

「実際に料理長だから土日祝日は絶対に休めないし、平日の休日でもホテルに呼ばれて行かなくてはいけない時もあるし、当日は真凛も出席をしなくてもいいし、どうしてもと言われたら、出席するようにすればいいんじゃないのかな?」

「それが一番、スムーズだよね」

「両親同士の顔合わせなんだから、私がいなくても、うちの両親が既に大好きになっている真凛さえいればさ」

「そんなに私の事を先生のご両親は思って下さっているのかな?」

「あの態度だよ。今まで見た事なかったからさ。で、夜に俺も真凛とご両親に合流して食事をすればいいと思っているんだけど」

「うん」

「俺は真凛のご両親や従姉たちと仲良くできればそれでいいからさ」

「それがいいよね」

「その方向で行こうよ」

「でも、結納の代わりに、顔合わせの食事会をするんだよねぇ。本当なら、そこで二人の結婚をそれぞれの両親が認めて、正式に婚約ってことになるんだろうけど、私たちにはこれが精いっぱいだよね」

「そうだな」

「幸いにも、お互いの両親が祝福してくれているんだし、あまり贅沢を言っても仕方ないよね」

「真凛、悪いな」

「気にしないで」

 ※

その晩に二人で食事をしていると、また真凛の母親から電話があった。

義母は「久留実野さんのご実家へ行ったでしょ?ご両親はどういう人だったの?」

真凛「うちと同じ感じだったよ。『二人で好きなようにしなさい』って言って、あとはパパの職業とか会社を訊かれたよ」

真凛「お祝いの話で、引越しなどで、色々なお金が掛かるだろうからお祝い金をくれる事とか、きちんと用意してくれて、お金は銀行振込みでしてくれるって。それも私の口座に振り込むってお義父様が言っていたよ」

真凛は一人娘なので親としても可愛くて仕方ないと言った感じだった。

義母「それで、結婚式の予定とか、新婚旅行はどうするの?」

真凛「結婚式はするけど、新婚旅行まではまだそこまで考えてないなー?」

義母「それじゃ、結婚式もしないとか言い出しそうじゃないの!結婚式ぐらいしなさいよ!」

真凛「ママの頼みとあらば、仕方ない、やりましょう!」と、真凛は恩に着せた言い方をしていた。

いよいよ結婚に向けて私たちは目に見えるように動き出す事になった。

つづく
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...