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第2章

21話-1 不倫の話し

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先日、真凛の実家に結婚の挨拶に行った時に義母が、「久留実野さんは長男だから将来的にはご実家の方に戻る予定はあるのかしら?」と訊いてきた。

「いえ、そのつもりは全くありません」と私が即答した。

その時に私は、義母にはピロートークで詳しい家族関係の話をしていたから義母はわざと訊いてきたのも分かっていた。

しかし義父にはしていなかったので、「実は私は親兄弟とはあまり接点がないのです。それに両親から物凄く可愛がられたという思い出もないですし、私よりも弟二人の方が可愛がられていたのを良く見ていたので、私が家を継ぐよりも弟たちに継いでもらいたいと思っていると思っているんです」と、そんな話しをしたら義父はほっとした顔をしていた。

「ただ私は青いかもしれないのですが、現在のホテルの総料理長の椅子を目指していますので」と伝えた。

「男はそのぐらいの野望を持っていた方が頼もしいから私は応援するよ。それからご両親から愛情を受けた育て方をされてこなかったんだろうから、その分、私が愛情を掛けるから」と言ってくれた。

この言葉の裏には、将来、私と真凛と両親と同居するシナリオがこの家族の中で出来ていたからだった。

この時には私は知らないことだった。

もう既に私の次弟は、父親の資金で建設会社を起業し末弟も一緒に勤務していて二人とも既に結婚していて次弟は子供もいた。

だからこそ次弟や末弟が実家の跡を継ぐと思っていたし、そのような話しは私の耳には殆ど入ってはきていなかった。

楽しい事は全て私以外の家族でやっていて、楽しくない事だけ私の耳に入れるそんな家族だった。

 ※

夕食時に真凛と不倫の話しになった。

「恋愛ではスリルを求めるか?とか癒しを求めるか? 」

「俺は男だからスリルも良いけど、結婚相手とは癒しが一番だよ」と言った。

「恋愛には色々だけど、私も癒しを感じる恋愛がいい、不倫ではないけど、一回、先生を裏切って、先生に悲しい思いをさせたからもうしないし、誤解しないで訊いてほしいんだけど、こういっては何だけど、先生はそれほどハンサムではないけど男らしくて頼りになって優しいから私の中では今は先生が一番だから」

「誤解はしないけど、結構、グサッと来るような事を平気で言うよな?」この話しは未だ二人の時に言うから良いが、実家で両親や従姉の前で言われるのは、少々堪えていた。

「ごめんね」

「俺の中でも真凛が一番だからいいんじゃない?」

「難しい事は分からないけど、不倫した人がいて嫌な目に遭った事があるので、自分は結婚したら絶対にしたくないなぁと思っているんだ」

「そっか」

「前の彼と住んでいた時に、もう二年以上前の話しなんだけど、彼の知り合い同士が不倫していたんだ」

「ほお」

女性は話を聞いて上げればそれで満足だからだった。

つづく
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