サレ夫が愛した女性たちの追憶

しらかわからし

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第2章

20話 真凛のレシピ帳

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前の彼の事が書かれていたレシピ帳を見せられた。

真凛はそんな事が書かれていることをすっかり忘れて渡したのだ。

私の真凛の好きなところは料理を本格的に出汁から取って作る姿勢が好きなところで、私もそうだからだった。

帰宅すると、「久々に料理作った」と言ってノルウエーサーモンのホイル焼きとミネストローネスープだった。

パンも手作りで焼かれていて香ばしい匂いがしていた。

今まで私に作ってくれた料理は、まだそんなに日数が経っていないので少ないが、それでも彼女のレシピ帳を見ると多くの料理が記されていた。

アイウエオ順に書かれていて高校時代の優秀さがうかがえるように整理整頓され、料理のイラストまで描かれた美しいレシピ帳だった。

その中に、彼女の前の彼に作ったという記述が書かれていた。

 ※

 トマトソースのパスタ(初めて彼に作ってあげた料理)。
 二十種スパイスポークカレーライス。
 チーズリゾット。
 煮込みハンバーグ。
 ピザ、マルゲリータ(生地から)。
 オムライス。
 茄子とズッキーニのファルシ。
 鮭の包み蒸し。
 ビーフシチュー。
 親子丼。
 なすとみょうがとミニトマトの煮浸し。
 カツ丼。
 トマトソースのジャガイモニョッキ。
 タンドリーチキン。
 お雑煮(お正月はずっと一緒でまったりと過ごした)
 etc

料理教室通っていたし、作るとなったらちゃんと作る自信があるし、彼からは「美味しい」といつも言って貰えたので私はもっと頑張れた。

あとは、ケーキは何種類か作れる。彼とのクリスマスにはブッシュ・ド・ノエル作ったし、あれは会心の出来だった。その後は彼の腕に抱かれてワインを飲んだ。幸せだった。

 ※

真凛がこんな記述をしていた事をスッカリ忘れていたのか、夕食をこしらえてキッチンに行っている時に私はこのレシピ帳を渡されて読んでいたので、この部分が目に入った。

若いとはいえ、お互いに独身で居た訳だから色々あって当然だ。

私は未だここまでの多くの料理を作ってもらってなく、私の方が多く作って上げていた。

食卓に真凛の料理が並べられて二人でワインを飲んでいた時にはレシピ帳を閉じて返しました。

「キチンと整理されていて素晴らしいレシピ帳だよな」

「プロにそう言って貰えると嬉しい。ありがとう」

私は何事もなかったかのように、その夜もいつもと変わらない態度で彼女に接し、一緒に入浴をした後にルーティーンをこなし朝まで眠った。

真凛が兼業主婦業をやれば、独身時代の彼との生活とは違う大変さも出てくる訳で、子供が出来ればまた毎日、子供の為に食事を作るようになる訳で、その時は私も協力してあげようと思っていた。

真凛だってその内、落ち着いたら仕事をするのだろうし、毎日とか無理な訳だけど、コンビニやスーパーの弁当やレトルト料理を作るようになったら、真凛には仕事は辞めさせようと思っていた。

どうしてもやり続けたいと言ったら、私も家事を一緒にやろうと思っていた。

理由は子供には添加物のない安全で家庭的な料理を食べさせたいし、私はそんな子供時代ではなかったので、いつもどちらかの親が子供の傍にいる愛情を掛けた生活をしてやりたいと思っていたからだ。

私たちの今は外食が多いし、真凛に至ってはジャンクフードが大好きだから、その点が心配だった。

つづく
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