人間の女の子に恋をした妖怪（あやかし）が人間社会で成功し自他共に幸福になる物語

第二章

第13話 風俗店とクラブのお姉さん方の名前

　龍児も店では本名の龍児を名乗ってない。

　お姉さん方も源氏名という昔からある名前の付け方をしていた。

　美奈子も本名とは違っていた。

　源氏名というのは、風俗店やクラブ、キャバレーなどでお姉さん方が使う名前のことなんだが、元々は源氏物語の巻の名前から通り名を取ったという説もあって、中々風流なものらしい。

　まぁ色々な名前で、龍児から見ても、「お姉さん、その名前とお顔が合ってないんじゃない？」と思うような名前を付けている人も居れば、自分の漢字の名前をひらがなにして付けている人もいたりして、龍児の名前もどちらかと言えば龍児だったら「りゅうじ」っていう源氏名になるのかな？

　外国のお姉さんは自分の名前をカタカナにしているお姉さんもいる。

　うちの美奈子は「名字と名前」があった。

　クラブのお姉さん方は全員「名字と名前」で呼ばれる時は名前で呼んでいた。

　美奈子の名刺は客が作ってくれたみたいで羽を持つ昇り龍が印刷されていて格好良かった。

「その龍って僕の事かな？」って訊いた事があったんだけど、ニヤッと笑っただけで教えてくれなかった。

　　※

　ちなみに麗うららの源氏名は「麗香」と書いて「れいか」だった。この頃の彼女は品の悪い下衆な客ばかりが彼女を指名してきていた。

　客との接待をした後の麗の体には縄で縛られたり、鞭で叩かれたりした痕があり、次の客を取れないような事が度々起こっていた。

　龍児は心配していたので、その後はそのような事が起こらないようにそのような客が来た場合には麗との時間中客は腹痛を起こして、ずっとトイレに入っているように魔術を掛けた。

　それでも麗の報酬は満額、入るからだ。龍児はチェリーボーイを卒業させてくれた麗の事は心配でいられなかったかし、愛してやまなかった。

　そんな日々を送っていた麗は寂しくなると龍児を部屋に呼んで、ジュースやお菓子を与えて話をしていた。

　そんな時に麗は龍児に初恋の人の話しをしてくれて、その彼の事が忘れられないと言い、涙を流しながら訴え、性依存症になったのも今まで出会った男性には感じた事のなかった彼のベッドテクニックの凄さからだと言った。

　龍児はいつかは麗と交わる時が来ると思っていたし、このまま放っておくことができない女性だとも思っていた。

　龍児の若気の至りとは言え、自分の所為で人生を棒に振らしてしまった事に彼は強く反省をしていた。

　つづく