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第5章: 卒業への軌跡 - それぞれの道へ

話23:卒業式前日

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卒業式前日、椎名はなんの連絡も受け取っていない。心の中には不安と焦燥が渦巻き、いたたまれない気持ちで日々を過ごしていた。明日は卒業式だが、奏が本当に来るのかどうか、椎名には分からない。奏からはっきりとした連絡がないまま、彼女の不安は募るばかりだった。

卒業式を前にして、椎名の心はただひとつの願いで満たされていた。それは、「いつまでも待つ」ということだけだった。彼女は奏と過ごした時間を振り返り、その愛おしい思い出にしがみついていた。

椎名が不安と焦燥で心を乱されていると、電話が鳴った。電話の向こうから香奈の声が聞こえた。「もしもし、椎名?心配してたよ。最近連絡がなくて」香奈の声に安心感が込み上げ、椎名は「ごめん、気分が落ち着かなくて」と返答する。

香奈は穏やかな口調で続ける。「せっかくだから、外に出ない?気分転換になるかもしれないよ」その言葉に、椎名はしばし考え、そして「うん、いいかも」と返事をする。一瞬ためらいがあったが、家を出ることを決意する。

奏と会ってから、椎名はずっと外に出ていなかった。久しぶりの外はまぶしく、自分がずっと閉じこもっていたことに気付く。香奈との待ち合わせ場所である駅前のカフェで、椎名と香奈は再び会うことになった。

カフェの中は穏やかな雰囲気で、香奈の笑顔が椎名の心を和ませた。「最近、どうしてたの?」香奈が尋ねる。椎名はため息をつきながら、「奏とのことがあって、あんまり外に出てなかった」と答える。香奈は理解を示しつつも、心配そうな表情を見せる。「もう大丈夫?」すると椎名は微笑みながら、「うん、大丈夫。今日は気分転換になるよ」と答えた。

椎名と奏はカフェで明日の卒業式について話していた。奏は少し疲れた様子で、明るい笑顔が見られなかったが、椎名は彼女がそばにいることに安心を感じていた。

その時、香奈が椎名に向かって言った。「奏はちゃんと卒業式に来るよね。」香奈の声に、椎名は自信なさげに答えた。「たぶん・・・」。明日にならないとわからない、ただそれだけだった。

香奈との会話で少し気持ちが晴れた椎名は、別れを告げて自宅に戻る道すがら、心が少し穏やかになっていくのを感じた。明日の卒業式の準備を始め、制服を整え、心を整えて眠りにつく。

香奈のおかげで、椎名の心は少し安らぎを得た。しかし、深い心の奥底にはまだ不安が残っていた。明日の卒業式に奏が参加するのかどうか、そのことが心配でならなかった。

夜中に目が覚めた椎名は、時計を見ると深夜2時だった。急に目が覚め、スマートフォンを手に取る。香奈との楽しい思い出を刻んだ写真を眺めながら、奏のことを思い巡らす。

椎名は奏を想いながら自分を慰め始める。「奏…明日会えるよね…」と口にするが、心の奥底では不安が漂っていた。そのまま深く吐息をつきながら、自らの感情に身を任せる。

快楽に包まれながら、「奏…奏…会いたい…」と呟く。そして、絶頂を迎えた後、眠りに落ちた。

そして、卒業式の朝を迎える。
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