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第三章 役立たず付与魔術師、魔術学院に通う

第二六話「これから弛まぬ訓練を積み重ねていけば、きっとスキルが応えてくれるだろう」

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 一三六日目~一四七日目。
 迷宮内部を散策する。クロエには相変わらず魔術の勉強を続けてもらうとして、俺はというと新しい食材をブラウニーたちに教えていた。
 挑戦するのは、第一階層で取れる野菜、山菜、茸を料理に使うことである。


 山菜は主に、アケビ(食用油の王様と言われる)、アザミ(山ごぼう)、アシタバ、アズキナ、イタドリ、イワブキ、ウド、赤ミズ、山かんぴょう、カタクリ、行者ニンニク、クサギ、クコの実、クグミ、コシアブラ、シオデ(山のアスパラガスと言われる)、山ニンジン(毒のあるムラサキケマンと間違いやすい)、サルナシ(キウイのような果実を作る)、スベリヒユ、セリ、女ゼンマイ、タカノツメ、たらの芽、つくし、チシマザサの筍、トトキ、トリアシショウマ、クロミノウグイスカグラ、ハマボウフウ、ハリギリ、ハンゴンソウ(反魂草と書く)、フキノトウ、ニリンソウ(毒草のトリカブトに似ている)、マタタビ、ミツバ、自然薯、ジョンナ、山ブドウ、山ワサビ(ホースラディッシュである)、ワラビなどを見つけて採集する。
 ざっくり括って、ほとんどシュウ酸が多く灰汁が強いのでよく煮る必要がある。


 茸は、ヒラタケ、シイタケ、ナラタケ、ぶなしめじ、ムキタケ、コガネタケ、モエギタケ、クリタケ、なめこ、シロナメツムタケ、シロオオハラタケ、フウセンタケなど。


 山菜の一部や茸類は毒性のものと見分けが付きにくい。ひだの有無とか、茎の色とか、夜闇での照り返しなど、見分け方はいくつかあるのだが、素人はあまり難しく考えず、怪しければ捨てるぐらいがちょうどいい。
 その点、ブラウニーたちは人間よりも毒の見分けが得意であった。これなら採集は彼らに任せてもよさそうである。










 ミロク
 Lv:38.11→4.11→13.29
 Sp:2.47→19.85→0.85
≪-≫称号
 ├×(藍色の英雄)
 ├森の王の狩人
 └大罪の討伐者【嫉妬】
≪-≫肉体
 ├免疫力+++
 ├治癒力++++
 ├筋力++++++++
 ├視力++++
 ├聴力++++
 ├嗅覚++
 ├×(味覚) 
 ├触覚
 ├熱源感知++
 ├造血++ 
 ├骨強度++++++ 
 ├×(肺活量)
 ├皮膚強化++++++ 
 └精力増強
≪-≫武術
 ├短剣術++
 ├棍棒術++++++
 ├盾術++
 ├格闘術+++++ 
 ├投擲++++++ 
 ├威圧+++ 
 ├隠密+++++ new
 └×(呼吸法)
≪-≫生産
 ├道具作成+
 ├罠作成++
 ├鑑定+++ new
 ├演奏
 ├清掃
 ├測量++
 ├料理
 ├研磨
 └冶金
≪-≫特殊
 ├暗記
 ├暗算
 ├並列思考+++ 
 ├魔術言語+++++ 
 ├詠唱+++++ 
 ├治癒魔術++++++++ 
 └付与魔術+++++++++




 クロエ
 Lv:73.16(618)→75.16(617)
 Sp:0.61→3.81
 状態変化:腐敗 免疫欠乏 皮膚疾患 呼吸障害 視力× 味覚× 嗅覚×
≪-≫称号
 └大罪の討伐者【嫉妬】
≪-≫肉体
 ├免疫力+++
 ├治癒力+++ 
 ├筋力+++++++ 
 ├視力+++++
 ├嗅覚+++
 ├味覚+++
 ├肺活量+++ 
 ├不死性+++++ 
 └異常耐性(毒+ / 呪術+++)
≪-≫武術
 ├棍棒術+++++ 
 ├投擲++++ 
 ├隠密++++++++ 
 └呼吸法++
≪-≫生産
 ├罠作成+
 ├裁縫+
 └測量
≪-≫特殊
 └吸魂+++++++










 得られたスキルポイントを使って隠密スキルと鑑定スキルを鍛える。
 森の王への警戒を考えると、どうしても隠密スキルは鍛えておきたいスキルだ。


 そもそも第一階層に潜らなければいい、と言われたらそれまでだが、森の階層で得られる食材や薬草類の素材を考えると、放置するのも忍びない。
 もっぱらの理由はもっと美味しい料理を作るための食材採集なのだが、諦めるには惜しいので、こうやって隠密スキルを鍛えながら採集する道を選んでいる。
 まあ、ずっと森の王から逃げ回り続けるわけにもいかない。いつかは立ち向かえるようにならないといけないだろう。食材採集を諦めるよりも、こうやって定期的に森に足を踏み入れて森の王の気配を探るほうが建設的かもしれない。










 一四八日目~一五九日目。
 第一階層を歩いて、再び適当な山を見繕って、火を入れる作業を行う。
 本音を言えば、もっと大掛かりに荒らし回って、魔物を全て駆除し尽くして安全な階層に作り上げたかったぐらいだが、それは流石に気が引けた。
 森も山も自然の恵み、全てを壊すのは気が進まない。


 昔の農業だが、まだ草本の新芽が出ない時期に、野山の枯れ草を焼く野焼き・山焼きという手法がある。主には、木本植物を減らして草本植物を育てる環境に変えるための手法だが、有機物を焼いて無機塩類へと変えることで新たに出る若草のための肥料としたり、ダニなどの害虫を焼き殺す目的もある。


 木は生命のシンボルであり、有用な材質であるが、薬用・食用の用途に乏しく、生い茂るとどうしても地面の植物に日の光が当たることを妨げてしまう。木の子、すなわち茸の生育には向いているが、何事も過ぎたるは及ばざるが如し、健康な山を作るには間伐作業などが欠かせない。


 俺にはそんな山の手入れをする暇はないので、どうしてもやることが雑になる。つまりは火入れ。後は文字通り、野となれ山となれと言うわけだ。


 恵みは山だけではない。
 上流部の流れを無理矢理に変えて水無川にした跡地にも足を運び、川底を転がっている石を拾い上げる。
 晶洞石や白雲母、翡翠に玉髄、紅廉石に緑廉石。魔鉱石もたまに拾える。宝石類は質の悪いものがほとんどだが、ちょっとした魔術の触媒には十分使える。


(クロエが今まさに魔術の勉強をしているから、ちょうど都合がよかった。これで宝石を使って魔法陣を構築する練習ができる)










 ミロク
 Lv:13.29→3.29→19.68
 Sp:0.85→33.51→0.51
≪-≫称号
 ├×(藍色の英雄)
 ├森の王の狩人
 └大罪の討伐者【嫉妬】
≪-≫肉体
 ├免疫力+++
 ├治癒力++++
 ├筋力_max new
 ├視力++++
 ├聴力++++
 ├嗅覚++
 ├味覚+ new 
 ├触覚+ new
 ├熱源感知++
 ├造血++ 
 ├骨強度++++++ 
 ├×(肺活量)
 ├皮膚強化++++++ 
 └精力増強
≪-≫武術
 ├短剣術++
 ├棍棒術++++++
 ├盾術++
 ├格闘術+++++ 
 ├投擲++++++ 
 ├威圧+++ 
 ├隠密+++++
 └×(呼吸法)
≪-≫生産
 ├道具作成+
 ├罠作成++
 ├鑑定+++ 
 ├演奏
 ├清掃
 ├測量++
 ├料理
 ├研磨
 ├冶金
 └運搬 new
≪-≫特殊
 ├暗記
 ├暗算
 ├並列思考+++ 
 ├魔術言語+++++ 
 ├詠唱+++++ 
 ├治癒魔術++++++++ 
 └付与魔術_max new




 クロエ
 Lv:75.16(617)→75.16(594)
 Sp:3.81→4.81
 状態変化:腐敗 免疫欠乏 皮膚疾患 呼吸障害 視力× 味覚× 嗅覚×
≪-≫称号
 └大罪の討伐者【嫉妬】
≪-≫肉体
 ├免疫力+++
 ├治癒力+++ 
 ├筋力+++++++ 
 ├視力+++++
 ├嗅覚+++
 ├味覚+++
 ├肺活量+++ 
 ├不死性+++++ 
 └異常耐性(毒+ / 呪術+++)
≪-≫武術
 ├棍棒術+++++ 
 ├投擲++++ 
 ├隠密++++++++ 
 └呼吸法++
≪-≫生産
 ├罠作成+
 ├裁縫+
 └測量
≪-≫特殊
 └吸魂+++++++










 ちなみに、今回得られたスキルポイントで筋力スキルと付与魔術スキルの強化を行ったら、とうとう最大値に到達したのでmax表記が付いた。
 解説するとこれは、技能を極めて人類の最高峰に到達したというより、その技能における才能が最大化された、という意味合いになる。そのため、たとえば俺より筋肉が鍛え上げられている人間はざらに存在する。


 しかし、これから弛まぬ訓練を積み重ねていけば、きっとスキルが応えてくれるだろう。


(俺はまだ、付与魔術を諦めていないぞ。こいつが俺の人生を変えてくれたんだから)


 クネシヤ魔術院に向かう理由の一つ、それは俺の付与魔術の可能性の開拓。
 レヴィアタン討伐のときにも思ったが、己の決定力不足はいつか向き合わないといけない自身の課題であった。

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