猫被りも程々に。

ぬい

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March

02※

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職員室から図書室の鍵を借りて入ると俺はすぐ様お目当ての本を手に取った。

内容的には1、2時間真面目に読み込めば覚えられそうな程度で、早速近くの椅子に座って本を開く。窓の外は卒業式ということもあって騒がしい。

楽しそうな声をBGMに本を読み続けて1時間程度。
一旦休憩がてら窓を開けて外を覗いた。下にいる生徒はもう疎らだったが、皆誰かを探している様子でキョロキョロと周りを見渡している。

「支倉先輩いたー?」
「いなーい」
「どこにいるんだろ」

どうやらみんな探しているのは会長らしい。
あれだけ必死に探しているので恐らく親衛隊の子達だろう。言われてみれば見たことあるような気がするし、ないような気もする。

そんなどうでもいいことを考えていると不意に図書室の扉が開いた。鍵閉めておけば良かったなんて思いながら、音の方向に視線を映す。

「…会長」
「やっぱりここか」
「いいんですか。下にいる生徒血眼になって探してますけど」
「ほんとだ」

タイムリーなことに入ってきた人物は会長で少し窓の外を覗くなり、窓とカーテンを閉める。陽の光で明るかった部屋は少し暗くなり、先程まで聞こえていた会話はほんの微かにしか聞こえなくなった。

「母さん大丈夫だった?」
「はい。落ち込むどころか息子の成長を喜んでましたよ」
「…どういうこと?」

余程気掛かりだったのかすぐに紫さんについて尋ねられ、食事の件も含めてあの時した会話を掻い摘んで話すと全て聞き終わった会長は「よかった」と一言。安心したような表情で近くの椅子に座った。

「いつもあんな感じだったんですか」
「大体はね。でも今日は祖母がいないだけマシだったかな」
「そうですか…」

話によれば会長のお祖母さんは今体調があまり良くないらしい。今日も来る予定ではあったが、前日に体調が悪くなって来れなかったそうだ。
その話に本来なら心配する場面なんだろうが、俺は少し安堵してしまった。

会長の隣の席に座って再び机の上にあったテーブルマナーの本を手に取り、ページを捲ると会長の頭が肩に乗っかる。柔らかい髪の毛が頬を擽った。

「疲れました?」
「うん、疲れた」

集中出来そうにないので本を閉じて優しく頭を撫でる。暫くはその状態だったが、乗せていた頭を上げて顔を寄せられたのを合図にゆっくりと唇を合わせた。

「ん、…」
 
舌を絡めたまま、耳を撫でられると身体が後ろに退いてしまう。室内に響く卑猥な水音にこれ以上はやばいと肩を軽く押し返すと身体はあっさりと離れた。

「ねえ、最後にしてみたかったことあるんだけど」
「なん、ですか…」
「今からここでしない?」

軽く乱れた息を整えている間、真剣な顔でそんなことを言われて戸惑う。お互い今まで人がいる校内ではあまり触れないようにしていて、放課後以外でキスしたのも今日が初めて。いくら最後だとはいえこんな状況でセックスなんて出来るはずがない。

「…正気ですか?」
「正気」
「ん、…っ、」

まだいいと言ってないのに再びキスをされる。今度は肩を押し返しても離れなかった。頭を抑えた状態で歯列をなぞられ、上顎辺りを舌で擽られると身体が火照る。

「ん、…ン…ふ、ぅ…っ」

いくら抵抗しても俺がその気になるまでやめてくれそうにない。
頭を抑えていない方の手は太腿を優しく撫でながら内腿の際どい位置まで手が滑り込んできて、唇を離す頃には完全に性器が勃ってしまっていた。

「どうする?」
「…するな、ら……司書室の中…がいい、です」

乱れた息を整えるために肩を揺らして答えると会長は微笑んで俺の手を握り締める。

それからはカウンターの上にあった鍵を取って司書室へと移動した。

「ぁ゛っ…も…っ、奥、や、…だ…っ、! 」
「声出ちゃうもんね」
「…ん゛、~…ぅ、っ、…」

あれから軽く前戯を済ませた後。
ゴムをつけた性器を奥まで突っ込まれ、何度も激しく突かれていた。ソファーまで移動する余裕もなく、扉の近くの壁で後ろから押さえつけられたまま。床には我慢汁が垂れている。

「…っ、ぁ゛…っ、…は…っ、」

汚れるからと着ていたワイシャツ以外の服は脱がされ、ネクタイと一緒にソファーの上に転がっていた。前の空いたワイシャツの隙間から乳首を優しく爪で引っ掻かれると我慢汁がぽたぽたと床に落ちる。

暫く激しく律動し、何とか抑えめな声を漏らしているとふと図書室の扉が開く音がした。

「あれ、図書室開いてる」
「ほんとだ」

その声に図書室の鍵を閉めてなかったことを思い出し、一気に顔が青ざめる。そういえば司書室の鍵も閉めた記憶がない。

「凌さん、ここの鍵、閉めました…?」
「あー閉めてないかも」

会長の呑気な答えに熱帯びていた身体が一気に冷えていく。回らない頭で今の状況について考え、とりあえず一旦離れようと身体を動かした。すると腰を掴んでいた手でお腹を撫でられ、身体を密着するように引き寄せられる。

「ちょ、何して…」
「静かに」
「…っ…」

ゆっくりと上に這い、乳首を軽く摘まれると嫌でも中のものを締め付けてしまう。抵抗したくても身体に力が入らない。

先程のような激しい動きではなくぐりぐりと奥に押し込まれ、じんわりとした快感に壁に頭を押し付けて耐えた。必死に歯を食いしばるが、隙間から微かに声が漏れる。

「…、ぅ、…っ」
「……締めつけすご」
「っ…ぁ゛、…は…っ!」

少し荒くなった会長の声と共に優しく摘んでいた乳首を引っ張られると思わず甘ったるい声が出てしまった。

想像以上にはっきりと響いた声に外にいた生徒も気がついたのか「今何か聞こえなかった?」という会話が耳に届く。

「全然聞こえなかったけど」
「いや、絶対こっちの方で聞こえたって」
「まじかよ」

だんだん近付いてくる足音に心臓の音がうるさい。危機的状況なのに快感で頭の中がドロドロで何も考えられなかった。だって今も会長のが中に入ったままで、乳首だって摘まれたまま。優しく人差し指と親指で捻られて、我慢汁が糸を引いている。

扉付近をうろうろと歩き回る足音はいよいよ扉の前で止まってドアノブが下に動いた瞬間。一気に頭が真っ白になった。

「~~~…ッ、!」

開くと思われた扉は開かず、ガチャガチャとドアノブが上下するだけ。そこでようやく会長に騙されたことに気が付く。

「鍵閉まってるから気のせいじゃね?」
「なんだー」

一通り探索して、気が済んだのかあっさりと生徒は図書室から出ていく。再び静けさの戻った図書室で俺は安心しすぎて思わず泣いた。今まで生きてきてここまで安心したことは無いだろう。

「見られると思ったら興奮した?」
「ちが、…っ、ぁ゛、」
「違わないでしょ」
「ん゛ぅ、はぁ゛…アっ、」

性器を優しく握られ、鈴口を親指で刺激される。どうやら先程あんな状況だったにも関わらず、達してしまったらしい。床はいつの間にか自分が出した精液で汚れていた。

「ん、んン゛っ…ぅ…っ、!」

そのまま止まっていた腰が再び動き始め、後ろに振り向くように顎を掴まれてキスをされる。
舌を絡められると混ざり合った唾液が顎に伝って、少し萎えていた性器はすっかり硬くなっていた。

「ん、っ、…、ぁ゛~~…っ、 !」

何度も何度も腰を打ち付けられ、最終的には倒れそうな身体を会長に支えられるような体勢で身体を震わせた後。会長も達した様でゆっくりと中のものを引き抜かれた。

それからは手早く後処理をして、軽く掃除を済ませるともうすっかり空はオレンジ色。
あれだけ居た人はほぼ居なくなっていた。

ワイシャツのボタンを閉めて、ズボンを履き、ベルトを閉めている最中。ネクタイを手に取った所でワイシャツ姿の会長に突然話し掛けられた。

「こっちきて」
「なんですか」
  
手招きされ、大人しく近くに向かうと手に持っていた自分の赤いネクタイを俺に結んだ。そしてボタンのないブレザーも羽織らされる。全く訳が分からない。

「それあげる」
「…はい?」

予想外な言葉に俺は思わず聞き返した。確かに思い出がてらワイシャツのボタンくらいは貰えないかなとは思っていたが、まさかネクタイとブレザーを渡されると思わなかった。

「普通ボタンじゃないんですか」
「そっちの方がオカズにしやすいかなと思って」
「…そんな配慮いらねーよ」

その理由に一瞬納得しかけてしまって、誤魔化すように最初に着ていた自分のベストとブレザーとネクタイを手に取る。全くそんなこと考えていなかったのに会長の発言のせいでいつか本当にオカズにしてしまいそうだ。余計なこと教えやがって。

鞄を手に取って立ち上がり、忘れ物はないか最終チェックしている最中。机の上に出しっぱなしのテーブルマナーの本が目に入った。

「あ」
「なに?」
「…テーブルマナーのこと忘れてた…」 

時刻は17時。食事の約束は19時なので時間が全然ない。少しは覚えたが、まだ完璧と言えない状態で助けを求めて会長見つめると「帰ったら教えてあげるよ」と言って図書室の鍵を手に取った。

そして約束の時間の19時。

「…湊くん随分疲れてるみたいだけど、大丈夫…?」
「大丈夫です。めちゃくちゃ元気です」

ギリギリまでスパルタで叩き込まれ、精神的にボロボロ。でもスパルタ教育の甲斐あって無事なんとか4人での食事を乗り切る事が出来たのであった。


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