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始まりの街ゴスル
その他の戦い②
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『ランドロス』の面々は発見した敵プレイヤーの死角に入るように迂回しながら近づいていた。
正面からやり合っても勝てるだろうが、先手を取った方が早く戦闘を終われる。
漁夫の利を狙う他プレイヤーからの強襲も考えると早めに戦闘を終わらすことに越したことはない。
「.....ふむ。あのパーティー誰か知ってるか?」
相手パーティーから約50m圏内にある岩場に隠れて情報を集め始めるロト。
人数、装備、役割などなど、作戦を建てる際に必要な情報を集める為、自分のパーティーメンバーに何か知っていることが無いかを聞く。
殆ど一緒にいるが、時間がどうしても合わない日などは個人でレベル上げだったりやりたい事を皆やっている。
ロトが知らない事を知っている可能性があるのだ。
「あたしは知らないなぁ。さほど有名なパーティーじゃないんじゃない?」
「オイラも知らんね。見た感じオイラ達と同じパーティー構成って事しか分からん」
「俺も知らんな」
「わ、私知ってます」
パーティーメンバーが次々と知らないと口にする中、マリアがおずおずと手を挙げながら答える。
「知ってるのか?」
「はい、あの神官の格好をしている女の子。確か一緒にスキル取得する時にいた子です。名前は.....アタクだったはずです」
「何か知ってるスキルはあるか?」
「【火属性】【光属性】【聖属性】の魔法を使えたはずです。レベルまでは分からないですが.....後は特に知ってることは無いです。.....ご、ごめんなさい」
恐縮気味に頭を下げる。
そんなマリアを見ながらロトは手を顎に当てる。
ロトが考え事をする時の癖だ。
「いや、問題ない。元々何か情報があったらいいな程度で聞いたんだ。寧ろマリアが知ってる事に驚いたよ。特に【火属性】の魔法を使えると知れたのは大きい。ヒーラーならまず覚えないスキルだからな」
「今知られている魔法は【火属性】【水属性】【風属性】【土属性】【光属性】【闇属性】【聖属性】の7つだ。結構魔法の取得は大変だからな。3つも取得してるってことはそれなりにやり込んでるプレイヤーだろうな」
どっかの寝ることしか考えていない少女は本を読んで魔法を取得したが、本来魔法の取得はかなり大変だ。
まず魔法を使える師匠を探さないといけない。
そこで発生するクエストをクリアすると魔法を取得できるのだが、それがとても面倒なのだ。
例えば【火属性】を取得する場合、松明でゴブリンを50体倒すといった感じで中々時間がかかるものが多い。
師匠が違うと発生するクエストが違うのだが、難易度はさほど変わらない。
そんな大変なクエストをクリアしてようやく取得出来る魔法スキルを3つ持っているのだ。
それなりにやり込んでいると考えるのが自然だろう。
「ほかのプレイヤーは情報無しか?」
ロトの問いかけに全員頷く。
「よしならヒーラーを先に潰してしまおう。回復役が居なくなれば、かなり楽に戦えるはずだ」
「それな。俺はよくマリアにヒールを掛けてもらってるから分かるが、ヒーラーがパーティーの中心核と言っても過言じゃない。特に消耗戦になった時はな。俺は賛成だ」
「あたしが殺ろう。【ブースト】と【二重ブースト】を使って【炎炎弾】を放つわ。もし、殺りきれなかったら.....」
「オイラが狙撃すればいいって事だね?りょーかい」
皆が自分の役割を決めていく。
しっかりと考えてステータスの振り分けをした彼らは、自分が何をすればいいか分かっているのだ。
「よしその作戦で行こう。なるべく早く、周りに気をつけながらだぞ」
作戦会議が終わり、ガンテツを先頭に動き出す。
相手パーティーは周りを警戒しているがランフが発動した【蜃気楼】によって30秒間見つかることはない。
「【ブースト】【二重ブースト】」
射程に入る1歩手前でリノリノがスキルを発動。
火力が上がるスキルだ。
そして相手パーティーの側面に位置を取り、魔法を発動する。
「【炎炎弾】!!」
人の頭ほどある銃弾の様な形をした炎の塊が、ヒーラーを撃ち抜く。
ヒーラーは即死だったようで、膝から崩れ落ちるとポリゴンになって消えていった。
「なっ?!」
次に驚き、ヒーラーの方を向いて固まったプレイヤーの首と胴体が離れる。
「驚く前に周りを見るべきだな。お前はタンクなんながら」
ロトは捨て台詞を吐くとすぐさま杖を持った魔法使いに向かって突撃する。
「【ウォーターボール】!!」
流石の相手プレイヤーもただただ殺られる訳では無く、魔法を撃って反撃してきた。
「【カバーシャウト】」
ロトに水の弾が当たる寸前でガンテツが【カバーシャウト】を使い瞬間移動。
ロトを攻撃から攻撃から守った。
「助かる」
「さっさとやっちまえ」
ロトは礼を言いつつ魔法使いから距離を詰めると、心臓を貫いた。
魔法使いもヒーラーと同じく即死だったようで膝から崩れ落ちるとポリゴンになって消えていく。
「残りは.....」
「オイラとリノリノが仕留めたよ~」
残りのプレイヤーと戦闘しようと剣を構えたロトだったが、既にランフとリノリノによって仕留められていた。
「これで5ポイントか....順位が出ないからどのぐらい稼げばいいか分からないな」
「まっ、気楽に行きましょ?多分日付が変われば途中経過が出るでしょ」
リノリノの言葉に、それもそうだなと言葉を返すと『ランドロス』は他のプレイヤーを探しに歩き始めた。
スキル解説
【蜃気楼】
アクティブスキル クールタイム10分
効果:30秒間姿を消す。音や匂いは消せないので注意。
【ブースト】
アクティブスキル クールタイム30秒 消費MP10
効果:自身のINTを50%上昇させる。
【二重ブースト】
アクティブスキル クールタイム50秒 消費MP15
効果:自身のINTを100%上昇させる。
【炎炎弾】
【火属性】魔法レベル3で使用可能。
詠唱時間16秒 クールタイム50秒 消費MP12
相手に火属性のダメージと貫通ダメージを与える。
正面からやり合っても勝てるだろうが、先手を取った方が早く戦闘を終われる。
漁夫の利を狙う他プレイヤーからの強襲も考えると早めに戦闘を終わらすことに越したことはない。
「.....ふむ。あのパーティー誰か知ってるか?」
相手パーティーから約50m圏内にある岩場に隠れて情報を集め始めるロト。
人数、装備、役割などなど、作戦を建てる際に必要な情報を集める為、自分のパーティーメンバーに何か知っていることが無いかを聞く。
殆ど一緒にいるが、時間がどうしても合わない日などは個人でレベル上げだったりやりたい事を皆やっている。
ロトが知らない事を知っている可能性があるのだ。
「あたしは知らないなぁ。さほど有名なパーティーじゃないんじゃない?」
「オイラも知らんね。見た感じオイラ達と同じパーティー構成って事しか分からん」
「俺も知らんな」
「わ、私知ってます」
パーティーメンバーが次々と知らないと口にする中、マリアがおずおずと手を挙げながら答える。
「知ってるのか?」
「はい、あの神官の格好をしている女の子。確か一緒にスキル取得する時にいた子です。名前は.....アタクだったはずです」
「何か知ってるスキルはあるか?」
「【火属性】【光属性】【聖属性】の魔法を使えたはずです。レベルまでは分からないですが.....後は特に知ってることは無いです。.....ご、ごめんなさい」
恐縮気味に頭を下げる。
そんなマリアを見ながらロトは手を顎に当てる。
ロトが考え事をする時の癖だ。
「いや、問題ない。元々何か情報があったらいいな程度で聞いたんだ。寧ろマリアが知ってる事に驚いたよ。特に【火属性】の魔法を使えると知れたのは大きい。ヒーラーならまず覚えないスキルだからな」
「今知られている魔法は【火属性】【水属性】【風属性】【土属性】【光属性】【闇属性】【聖属性】の7つだ。結構魔法の取得は大変だからな。3つも取得してるってことはそれなりにやり込んでるプレイヤーだろうな」
どっかの寝ることしか考えていない少女は本を読んで魔法を取得したが、本来魔法の取得はかなり大変だ。
まず魔法を使える師匠を探さないといけない。
そこで発生するクエストをクリアすると魔法を取得できるのだが、それがとても面倒なのだ。
例えば【火属性】を取得する場合、松明でゴブリンを50体倒すといった感じで中々時間がかかるものが多い。
師匠が違うと発生するクエストが違うのだが、難易度はさほど変わらない。
そんな大変なクエストをクリアしてようやく取得出来る魔法スキルを3つ持っているのだ。
それなりにやり込んでいると考えるのが自然だろう。
「ほかのプレイヤーは情報無しか?」
ロトの問いかけに全員頷く。
「よしならヒーラーを先に潰してしまおう。回復役が居なくなれば、かなり楽に戦えるはずだ」
「それな。俺はよくマリアにヒールを掛けてもらってるから分かるが、ヒーラーがパーティーの中心核と言っても過言じゃない。特に消耗戦になった時はな。俺は賛成だ」
「あたしが殺ろう。【ブースト】と【二重ブースト】を使って【炎炎弾】を放つわ。もし、殺りきれなかったら.....」
「オイラが狙撃すればいいって事だね?りょーかい」
皆が自分の役割を決めていく。
しっかりと考えてステータスの振り分けをした彼らは、自分が何をすればいいか分かっているのだ。
「よしその作戦で行こう。なるべく早く、周りに気をつけながらだぞ」
作戦会議が終わり、ガンテツを先頭に動き出す。
相手パーティーは周りを警戒しているがランフが発動した【蜃気楼】によって30秒間見つかることはない。
「【ブースト】【二重ブースト】」
射程に入る1歩手前でリノリノがスキルを発動。
火力が上がるスキルだ。
そして相手パーティーの側面に位置を取り、魔法を発動する。
「【炎炎弾】!!」
人の頭ほどある銃弾の様な形をした炎の塊が、ヒーラーを撃ち抜く。
ヒーラーは即死だったようで、膝から崩れ落ちるとポリゴンになって消えていった。
「なっ?!」
次に驚き、ヒーラーの方を向いて固まったプレイヤーの首と胴体が離れる。
「驚く前に周りを見るべきだな。お前はタンクなんながら」
ロトは捨て台詞を吐くとすぐさま杖を持った魔法使いに向かって突撃する。
「【ウォーターボール】!!」
流石の相手プレイヤーもただただ殺られる訳では無く、魔法を撃って反撃してきた。
「【カバーシャウト】」
ロトに水の弾が当たる寸前でガンテツが【カバーシャウト】を使い瞬間移動。
ロトを攻撃から攻撃から守った。
「助かる」
「さっさとやっちまえ」
ロトは礼を言いつつ魔法使いから距離を詰めると、心臓を貫いた。
魔法使いもヒーラーと同じく即死だったようで膝から崩れ落ちるとポリゴンになって消えていく。
「残りは.....」
「オイラとリノリノが仕留めたよ~」
残りのプレイヤーと戦闘しようと剣を構えたロトだったが、既にランフとリノリノによって仕留められていた。
「これで5ポイントか....順位が出ないからどのぐらい稼げばいいか分からないな」
「まっ、気楽に行きましょ?多分日付が変われば途中経過が出るでしょ」
リノリノの言葉に、それもそうだなと言葉を返すと『ランドロス』は他のプレイヤーを探しに歩き始めた。
スキル解説
【蜃気楼】
アクティブスキル クールタイム10分
効果:30秒間姿を消す。音や匂いは消せないので注意。
【ブースト】
アクティブスキル クールタイム30秒 消費MP10
効果:自身のINTを50%上昇させる。
【二重ブースト】
アクティブスキル クールタイム50秒 消費MP15
効果:自身のINTを100%上昇させる。
【炎炎弾】
【火属性】魔法レベル3で使用可能。
詠唱時間16秒 クールタイム50秒 消費MP12
相手に火属性のダメージと貫通ダメージを与える。
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