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始まりの街ゴスル
睡拳を極めよ!!
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「さて、これが睡拳じゃ。どうじゃ?」
白く長い髭を撫で、若干ドヤ顔をしながら睡月に聞く。
重くのしかかっていた圧も消えていた。
「すごいよ!!これができるようになれば、お金の問題も解消できるよ!!」
かなり興奮気味に叫ぶ。
「ふぉっふぉっふぉっ、そうかそうか。では、早速睡拳を教えてやろう」
塩田は、睡拳について説明を始めた。
「睡拳とはその名の通り、寝ながら戦うなんちゃって拳法じゃ。五感の1つ視覚が使えないため、それを他で補うしかない。ここまでは分かるか?」
コクリと頷く。
「さらに寝ているんじゃ。頭で考えて戦うことはできん。反射的に戦うことになるということじゃ。まあ、これは慣れだから練習あるのみじゃな。他で補うと言っても嗅覚と味覚は使わないがな。」
「聴覚と皮膚触覚を使うってこと?」
「そうじゃ。睡拳を使う上で1番大切な事じゃな。最悪聴覚は使えなくとも皮膚触覚だけでも何とかなる。空気の動きを感じ取って戦うことが1番必要じゃからな」
そう言うと塩田は、小石を取り出す。
「まず立ったまま寝れるか?」
「余裕」
塩田も睡月も寝ようと思えば1秒も経たずに寝れるし、起きたい時に起きれる。
本来はそんなことは出来ないのだが、2人は寝ることに全てをかけるような変わり者だ。
寝ているうちに身につけている。
睡月は立ったまま寝始めた。
「ふむ、第1関門はクリアしているようじゃの」
5秒ほど寝た後睡月は起きる。
たった5秒だけでも寝れるのが睡月だ。
「問題ない?」
「問題ないぞ。次だ、寝ならがら走れるか?」
「余裕」
またすっと寝る睡月。
すると寝ながら走り出した。
「これもクリアしておるのか。教えるのが楽でいいのう」
睡月は学校で寝ながら授業を受けていたが、学校唯一寝れない授業があった。
体育だ。
どうしても体を動かすため、寝ることができなかったのだ。
しかし体育の授業も寝たかった。
そこで考えついたのが「寝ながら体を思うように動かせたら、体育の授業も寝れるんじゃね?」というものだ。
そして睡月はそれを本当に実行した。
今では、寝ながらバスケやバレエボール、ドッヂボールなども寝ながら行えるようになっている。
本当は登下校でも寝たいのだが、さすがに何かあると困るので寝ないで登下校している。
「ふあぁ、これでいい?」
100m程を走って往復してきた。
「すごいのぉ。もうここまでできておるのか」
そう言うと塩田は小石を取り出す。
「最後は寝ながらわしが投げるこの小石を避けるのじゃ。できるか?」
「投げる速さによるかな」
そう言って直ぐに寝る。
「では、最初はゆっくりと投げるかの」
塩田は下投げで、ふんわりと小石を投げた。
このまま行けば睡月に小石は当たる。
睡月はその小石をバックステップをして避けた。
「ほう、避けるのか。では次は少し速めに投げるかの」
塩田は上投げで投げる。
先程投げた小石よりもかなり速い。
睡月は体を少し横にずらして躱す。
「これ、わしが教えることなくね?」
今の一投を避けると思ってなかった塩田は大きく目を見開く。
「ちと、本気で投げてみるか」
どこまで避けれるのか気になった塩田は、さらに速度を上げて投げる。
手首のスナップを効かせた一投だ。
睡月は体を低くして避ける。
「すげぇ。わしガチで教えることなくね?」
更に速く投げる。
避ける。
投げる避ける投げる避ける投げる避ける投げる避ける投げる避ける投げる避ける投げる避ける投げる。
遂に睡月が避けきれなくなった。
小石とは思えない一撃を喰らう。
「まさかこれだけ投げてやっと当たるとは....」
少し肩で息をしながら睡月の才能に驚く。
塩田も同じ事をやれと言われたらできるだろう。
だが、それができるようになったのは、睡拳の修行を始めて30年後の事だ。
自分が30年かけてようやくできるようになった事を、明らかに30年も生きていない少女がやってのけたのだ。
驚くなという方が無理な話だった。
「当たっちゃたかぁ~。やっぱり戦闘とかはやった事ないから難しいか」
一撃貰ったことを寝ながらも察した睡月が目を覚ました。
「ん?戦闘経験がないのか?」
「そうだよ。戦闘経験なんてないから動き方や技なんて分からないんだ」
「そうか....そうか」
教えることがないと思っていた塩田だが、まだ睡月に教えることがあると思い、思わず笑みがこぼれる。
「ぶっちゃけお主は、睡拳の基礎が出来ている。あとは実戦あるのみじゃ。ほれかかってくるといい。もちろん寝ながらじゃぞ」
「分かったよ。師匠」
「師匠....?」
「?そうだよ。だって私に戦い方を教えてくれるんでしょ?だったらあなたは私の師匠。違う?」
何か変な事言った?と首を傾げる。
「ふぉっふぉっふぉっ。師匠、師匠のぉ....。ええ響きじゃのぉ」
それから数時間後
「ぐふっ!!」
そこには吹き飛ばられていた塩田がいた。
圧倒的ステータス差で叩き潰すのでは意味が無い。
ある程度手加減しているとはいえ、たった数時間で塩田に一撃たたき込める程強くなったのだ。
「ふぉっふぉっふぉっ。若いのはすごいの。もう十分じゃ、起きてよいぞ」
「ふあぁ、終わり?」
眠りから覚めた睡月は、体をほぐす。
「ふぉっふぉっふぉっ。十分じゃ。お主はもう立派な睡拳使いじゃよ」
『クエスト【睡拳の後継者】をクリアしました。スキル【睡拳】を獲得しました。スキル【睡眠回復】を獲得しました』
アナウンスが流れる。
どうやらクエストクリアしたようだった。
早速スキルの効果を見る。
【睡拳】
アクティブスキル
効果:自身が睡眠状態ならステータスを5倍にする。睡眠状態でなくなるとこの効果は発動しない。
獲得条件:クエスト【睡拳の後継者】をクリア
【睡眠回復】
パッシブスキル
効果:自身が睡眠状態ならHPMPを自動回復する。睡眠状態でなくなるとこの効果は発動しない。
獲得条件:合計で50時間寝る。
「やった!!スキルゲット!!」
【睡眠回復】は狙ってなかったが【睡拳】を無事獲得できて喜ぶ。
「ふぉっふぉっふぉっ。睡拳を使って頑張るのじゃぞ」
喜ぶ睡月を見て微笑ましく思う塩田。
「うん!!ありがとう師匠!!」
お礼を言い、ぺこりと頭を下げる。
「ふぉっふぉっふぉっ。ではまたな」
睡月ノア体が光り、気づくと本を読んでいる場所へ戻っていた。
時間を見るとまだ1時間しか経ってなかった。
「あの本の中は時間の進みが違ったのかぁ。もっと寝ればよかった」
相変わらず寝ることばかり考えている睡月だった。
白く長い髭を撫で、若干ドヤ顔をしながら睡月に聞く。
重くのしかかっていた圧も消えていた。
「すごいよ!!これができるようになれば、お金の問題も解消できるよ!!」
かなり興奮気味に叫ぶ。
「ふぉっふぉっふぉっ、そうかそうか。では、早速睡拳を教えてやろう」
塩田は、睡拳について説明を始めた。
「睡拳とはその名の通り、寝ながら戦うなんちゃって拳法じゃ。五感の1つ視覚が使えないため、それを他で補うしかない。ここまでは分かるか?」
コクリと頷く。
「さらに寝ているんじゃ。頭で考えて戦うことはできん。反射的に戦うことになるということじゃ。まあ、これは慣れだから練習あるのみじゃな。他で補うと言っても嗅覚と味覚は使わないがな。」
「聴覚と皮膚触覚を使うってこと?」
「そうじゃ。睡拳を使う上で1番大切な事じゃな。最悪聴覚は使えなくとも皮膚触覚だけでも何とかなる。空気の動きを感じ取って戦うことが1番必要じゃからな」
そう言うと塩田は、小石を取り出す。
「まず立ったまま寝れるか?」
「余裕」
塩田も睡月も寝ようと思えば1秒も経たずに寝れるし、起きたい時に起きれる。
本来はそんなことは出来ないのだが、2人は寝ることに全てをかけるような変わり者だ。
寝ているうちに身につけている。
睡月は立ったまま寝始めた。
「ふむ、第1関門はクリアしているようじゃの」
5秒ほど寝た後睡月は起きる。
たった5秒だけでも寝れるのが睡月だ。
「問題ない?」
「問題ないぞ。次だ、寝ならがら走れるか?」
「余裕」
またすっと寝る睡月。
すると寝ながら走り出した。
「これもクリアしておるのか。教えるのが楽でいいのう」
睡月は学校で寝ながら授業を受けていたが、学校唯一寝れない授業があった。
体育だ。
どうしても体を動かすため、寝ることができなかったのだ。
しかし体育の授業も寝たかった。
そこで考えついたのが「寝ながら体を思うように動かせたら、体育の授業も寝れるんじゃね?」というものだ。
そして睡月はそれを本当に実行した。
今では、寝ながらバスケやバレエボール、ドッヂボールなども寝ながら行えるようになっている。
本当は登下校でも寝たいのだが、さすがに何かあると困るので寝ないで登下校している。
「ふあぁ、これでいい?」
100m程を走って往復してきた。
「すごいのぉ。もうここまでできておるのか」
そう言うと塩田は小石を取り出す。
「最後は寝ながらわしが投げるこの小石を避けるのじゃ。できるか?」
「投げる速さによるかな」
そう言って直ぐに寝る。
「では、最初はゆっくりと投げるかの」
塩田は下投げで、ふんわりと小石を投げた。
このまま行けば睡月に小石は当たる。
睡月はその小石をバックステップをして避けた。
「ほう、避けるのか。では次は少し速めに投げるかの」
塩田は上投げで投げる。
先程投げた小石よりもかなり速い。
睡月は体を少し横にずらして躱す。
「これ、わしが教えることなくね?」
今の一投を避けると思ってなかった塩田は大きく目を見開く。
「ちと、本気で投げてみるか」
どこまで避けれるのか気になった塩田は、さらに速度を上げて投げる。
手首のスナップを効かせた一投だ。
睡月は体を低くして避ける。
「すげぇ。わしガチで教えることなくね?」
更に速く投げる。
避ける。
投げる避ける投げる避ける投げる避ける投げる避ける投げる避ける投げる避ける投げる避ける投げる。
遂に睡月が避けきれなくなった。
小石とは思えない一撃を喰らう。
「まさかこれだけ投げてやっと当たるとは....」
少し肩で息をしながら睡月の才能に驚く。
塩田も同じ事をやれと言われたらできるだろう。
だが、それができるようになったのは、睡拳の修行を始めて30年後の事だ。
自分が30年かけてようやくできるようになった事を、明らかに30年も生きていない少女がやってのけたのだ。
驚くなという方が無理な話だった。
「当たっちゃたかぁ~。やっぱり戦闘とかはやった事ないから難しいか」
一撃貰ったことを寝ながらも察した睡月が目を覚ました。
「ん?戦闘経験がないのか?」
「そうだよ。戦闘経験なんてないから動き方や技なんて分からないんだ」
「そうか....そうか」
教えることがないと思っていた塩田だが、まだ睡月に教えることがあると思い、思わず笑みがこぼれる。
「ぶっちゃけお主は、睡拳の基礎が出来ている。あとは実戦あるのみじゃ。ほれかかってくるといい。もちろん寝ながらじゃぞ」
「分かったよ。師匠」
「師匠....?」
「?そうだよ。だって私に戦い方を教えてくれるんでしょ?だったらあなたは私の師匠。違う?」
何か変な事言った?と首を傾げる。
「ふぉっふぉっふぉっ。師匠、師匠のぉ....。ええ響きじゃのぉ」
それから数時間後
「ぐふっ!!」
そこには吹き飛ばられていた塩田がいた。
圧倒的ステータス差で叩き潰すのでは意味が無い。
ある程度手加減しているとはいえ、たった数時間で塩田に一撃たたき込める程強くなったのだ。
「ふぉっふぉっふぉっ。若いのはすごいの。もう十分じゃ、起きてよいぞ」
「ふあぁ、終わり?」
眠りから覚めた睡月は、体をほぐす。
「ふぉっふぉっふぉっ。十分じゃ。お主はもう立派な睡拳使いじゃよ」
『クエスト【睡拳の後継者】をクリアしました。スキル【睡拳】を獲得しました。スキル【睡眠回復】を獲得しました』
アナウンスが流れる。
どうやらクエストクリアしたようだった。
早速スキルの効果を見る。
【睡拳】
アクティブスキル
効果:自身が睡眠状態ならステータスを5倍にする。睡眠状態でなくなるとこの効果は発動しない。
獲得条件:クエスト【睡拳の後継者】をクリア
【睡眠回復】
パッシブスキル
効果:自身が睡眠状態ならHPMPを自動回復する。睡眠状態でなくなるとこの効果は発動しない。
獲得条件:合計で50時間寝る。
「やった!!スキルゲット!!」
【睡眠回復】は狙ってなかったが【睡拳】を無事獲得できて喜ぶ。
「ふぉっふぉっふぉっ。睡拳を使って頑張るのじゃぞ」
喜ぶ睡月を見て微笑ましく思う塩田。
「うん!!ありがとう師匠!!」
お礼を言い、ぺこりと頭を下げる。
「ふぉっふぉっふぉっ。ではまたな」
睡月ノア体が光り、気づくと本を読んでいる場所へ戻っていた。
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