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チュートリアル

武器と防具は枕とパジャマ!!

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 睡月の前には、いくつもの武器が並んでいる。

 短剣、長剣、大剣、斧、弓、杖、本、槍、小盾、大盾の10種類だ。

「武器の初期装備この中から選んでね!!選んだ装備によって組み合わせれる武器が変わってくるから気をつけてね!!」

 武器の装備は2つまで出来るが、組み合わせができる武器とできない武器が存在する。

 例えば、短剣と小盾の組み合わせはできるが、大剣と大盾の組み合わせはできない、というふうに合わせて装備できる武器の組み合わせがあるのだ。

 「.....ねぇ、枕はない?」

 初期武器を見ていた睡月がアスルに聞く。

 睡月がこのゲームを始めた理由は寝るためだ、どこでも寝れる様な物が睡月は欲しかった。

「は?」

 思わず素で返すアスル。

 睡月はお構いなしにさっき言った言葉を繰り返す。

「枕はない?初期武器で」

「....君ィ、話聞いてた?ここから選べって.....え?枕の初期武器がある?なんでさ?はぁ?深夜テンションで作ったけど消すの勿体なくて残してた?小学生じゃないんだからさぁ....」

 睡月に言葉を返そうとしたアスルが急に独り言を始める。

 睡月は独り言が終わるまで待った。

「えっと....あるみたい」

  少し疲れた顔をしたアスルが枕をだした。

 「色が選べるみたいだけどどうする?」

「黒で」

 睡月がそう答えると、枕は黒色に変わった。

「はい、これが枕の初期武器だよ。自分の装備はメニューの装備欄から効果が確認できるから」

 そう言って睡月にまくらを渡す。

「ありがと。えぇと、アイテムボックスから枕を選択して、装備っと」

 早速睡月は、枕を装備した。

 長方形で黒色、中には羽毛が入っているのかフカフカな感触だ。

「ふふっ、フカフカだ。気持ちよく寝れそうだよ」

 ギュッと枕を抱きしめながら、今度は装備欄を開き、自分の装備の効果を確認する。

『黒色の枕』
HP+2 STR+3     耐久値 なし
 運営の人達が深夜テンションで作った武器。フカフカで心地いい眠りが出来ると思うぞ!!初期装備で『パジャマセット』もあるからそっちも装備してくれると嬉しいな!!

(マジで深夜テンションで作ったんだ...フカフカだからいいけど)

 説明文を読んでそんなことを思う睡月。

 実は運営側の人が「3徹目で眠いんだよ!!間接的抗議として、枕とパジャマを実装してやる!!」と深夜テンションで作ったところ、これを見た主任が「いいね!!これ。隠し装備として実装しちゃっていいよ」とOKをだしてしまい実装された装備であるのだが、睡月が知る由もない。

「耐久値って?」

『黒色の枕』の効果を見た睡月が質問をする。

「耐久値って言うのは、そのまんまの意味さ!!武器や防具には耐久値が設定されていて、使っていくたびに耐久値が減っていくのさ!!そして耐久値が0になるとその装備は壊れてしまうから注意だよ!!耐久値は修理することで回復するし、壊れた装備も修理すればまた使えるから安心してね!!」

「耐久値なしっていうのは?」

「そのまんまさ!!耐久値がないから壊れることがないんだよ!!初期装備が壊れても困るだでしょ?序盤なんて武器や防具を買うお金なんてあまりないんだからさ!!ちなみに、初期装備の他にも耐久値がない装備はあるから探してみてね!!」

 なるほど、と睡月は納得する。

 どうしてもRPG系のゲームだと始めた頃の所持金は少ない。

 武器や防具だけではなく回復アイテムなども必要になるのに序盤で装備にお金を回せる余裕はないだろう。

「武器はもう1つ装備できるけど、どれにするんだい?」

 睡月は装備欄を確認する。

 どうやら枕を装備することで、大剣と大盾、斧と杖そして槍が装備出来なくなっていた。

(装備できるのは、短剣、長剣、弓、本、小盾か....)

 少し考えた後睡月は短剣を手に取った。

「この短剣にするよ」

『初心者の短剣』
STR+4     耐久値 なし
初心者用の短剣。

 装備効果を見て説明文があっさりしてるなと思いつつ、睡月は腰に短剣を装備する。

「次は防具だね!!....と言ってももう決まってそうだけど」

 アスルの手には、『パジャマセット』が握られていた。

「そうだよ!!....色は変えれる?」

 アスルが持っている『パジャマセット』は、白色だ。

 できれば、白色は嫌だった。

「変えれるよ!!何色がいいの?」

「黒で!!」

 睡月は、アスルの質問に間髪入れずに答える。

「....君は黒が好きなんだね~」

「黒は夜を連想させるからね。眠たくなる」

 アスルから渡された『パジャマセット』を装備する。

 少しダボッとしたズボンと、ファスナーが着いたこちらもダボッとした上着だ。

 靴は黒の運動靴で、頭には黒のアイマスク、夜に街を歩いたら不審者として通報されそうな服装だ。

 睡月はあまり気にした様子を見せず、装備の効果を確認する。

『パジャマセット(頭)』
HP+2 DEX+3     耐久値 なし
運営が深夜テンションで作った防具。安らかな眠りをあなたへ提供!!初期装備に『○○色の枕』もあるからそっちも装備してくれると嬉しいな!!

『パジャマセット(体)』
HP+1VIT+4     耐久値なし
運営が深夜テンションで作った防具。安らかな眠りをあなたへ提供!!初期装備に『○○色の枕』もあるからそっちも装備してくれると嬉しいな!!

『パジャマセット(足)』
MP+1MND+4     耐久値なし
運営が深夜テンションで作った防具。安らかな眠りをあなたへ提供!!初期装備に『○○色の枕』もあるからそっちも装備してくれると嬉しいな!!

『パジャマセット(靴)』
MP+2AGI+4     耐久値なし
運営が深夜テンションで作った防具。安らかな眠りをあなたへ提供!!初期装備欄 に『○○色の枕』もあるからそっちも装備してくれると嬉しいな!!

 睡月は、やっぱり説明が少し凝ってるな、と思いながら確認を終える。

「さて、これでゲームの世界に行けるよ!!ここで一旦ログアウトできるけど、どうする?」

 睡月が、防具の効果を読み終えるのを待ってからアスルは質問する。

「このままゲームを続けるよ」

「了解!!それじゃぁ、ゲームの世界へ行ってらっしゃい!!」

 睡月のアバターが崩れていき、ゲーム世界へ転送される。

「.....あ、マップについて説明し忘れた」

 睡月がいなくなった空間で、アスルの声が寂しく響いた。
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