【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

獣王国サベレズと武道大会

ノアとアヴェ(本戦)④

前回のあらすじ

 なんかアヴェめっちゃ強いんだけど。



 詠唱が終わり、完全最強アヴェができてしまった以上、私は防御魔術を展開しなければならないのだが、それすらもかき消されてしまう。

 正直手詰まりだ。

 今私にできることは、西部劇の決闘のごとくアヴェが10歩目を踏み出した瞬間にこちらの拳銃を抜くこと、ただ1つ。

｢｢............｣｣

 お互いに沈黙の中、遂に拳銃は抜かれる。

｢ぐっ!!｣

 とてつもない速さで放たれたアヴェの拳を、かろうじてガードする。

 体制が崩れていなかったら、そのままカウンターを打ち込めたが、アヴェの強制停止ステイによって止められていた私はどうしようもない。

 吹き飛ばされた私は、受身を取りながら壁に叩きつけられると、アヴェは追撃の一撃を放ってくる。

｢これで最後｣

 またしても見えない攻撃だ。

 しかし、アヴェはこれで最後と言った。

 もしかして、5発までという制限がある？だとしたらなんのために？

 その答えは、私が考えつかないようなとんでもない事だった。

｢五神復讐女神降臨｣

｢おいおいおいおい........まじかよ｣

 天から降臨するは五体の女神。

 アヴェの奴、魔術で神を呼び出しやがった!!

 本物ではなく、擬似的な魔術で構成された女神だが、間違いなく神としての力を持っているのがわかる。

 しかも、その五体全てが上位神だ。

 ヤバイなんてもんじゃない。

｢憤怒の復讐神アレークトー。殺人の復讐神ティーシポネー。偽証の復讐神メガイラ。傲慢の復讐神メネシス。嫉妬の復讐神ヘーラー。私の持てる最高戦力です。どうです？ご主人様。これに勝てますか？｣

｢だいぶヤバいかも........｣

 アヴェがご丁寧に女神たちの紹介をしてくれるが、私はそれどころではない。

 勝てる勝てないで言えば、まず間違いなく勝てるだろう。

 だが、問題は勝つ為の手段がどれも使えない点だ。

 3つ程勝てる手段はあるが、2つはアヴェを殺してしまう。

 時間が巻戻ろうと、アヴェは生き返ることなく死んでしまうので却下。

 残る一つは、効果範囲が広すぎて観客すらも巻き込んでしまう。

 ある意味縛りプレイだ。

 今使える限界まで魔法や魔術を使って、何とかこの状況を打破しなくてはならないが、その案が思いつかない。

 正直、絶対神ゼウスと殺りあった時よりもやばいかもしれないな........



復讐者アヴェンジャー:自身の体力が1割以下、尚且つ魔力が5割以下になった時に発動可能。5発の不可避段を撃ち込んだ後、五神復讐女神を降臨させることが出来る。女神は撃ち込んだ5箇所にデバフをかける。更に女神は戦闘に参加可能。必要ステータス全ステータス1700万以上。