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獣王国サベレズと武道大会

アヴェとフェイロン

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前回のあらすじ

 ごめんリリー、見てなかった。



 リリーの試合が終わり、次はアヴェの番だ。

 ちなみにリリーには、めっちゃ謝っておいた。

 少し怒っていたが、まぁ許してくれただろう。というか、許してくれないと、私泣いちゃう。

 もちろん悪いのは、私なんだけどさ。

「それでは、行ってきます」

「頑張ってなー」

 アヴェを見送り、闘技場を見つめる。

 対戦相手は、魔国の冒険者らしい。

『さぁ!!どんどん参りましょう!!第16試合!!魔国代表『悪魔の皇帝』フェイロン選手対アルカン代表『狂犬』アヴェ選手!!この2人がどのような試合を見せてくれるのか、私楽しみであります!!』

 実況の紹介に湧き上がる歓声を聞き、アヴェは鬱陶しそうに耳を伏せる。

 煩いよな。分かる分かる。

 対戦相手であるフェイロンは額から角が2本出ており、以下にも魔族という感じだ。

 なんと言うか、服がピッチピチすぎませんかねぇ。

 フェイロンは、ムキムキのマッチョメンなおっさんで、歓声に向かってボディービルダーのようなポーズを取っている。

 キャラが濃い。

「よろしく頼むよ、可愛い子犬さん。この私を楽しませておくれ」

「喚くなよ、蛆虫。その犬に頭を垂れるのは、お前だと言うことを解らせて差し上げましょう」

 毎度恒例の煽りあいをする。

 なんかアヴェちゃん口悪くない?いや、よくよく思い出したら、前の試合の時も口悪かったかな。

『それでは、試合開始ィィィィィ!!』

 実況が試合開始の合図をする。

「それでは行かせてもら────ごぶぅ!!」

 試合が始まった瞬間に、アヴェがフェイロンの顎を打ち上げる。

 かなり手加減したようで、地面から足が30cm程打ち上がっていた。

「おぶ、べし、あぐ、ぶべ、のば、はべ、たわらば、あべし、のばらぁ!!」

 その後、アヴェはまるで格ゲーのコンボをするかのように、連続で殴り、蹴り飛ばす。

 あまりに鮮やかなコンボに、思わず見とれてしまう程だ。

 コンボ数にして10コンボ、フェイロンは完全にダウンした。

『しょ、勝負ありぃ!!勝者、アルカン代表『狂犬』アヴェ選手!!瞬殺です!!』

「「「「「「「「ワァァァァァァ!!」」」」」」」」

 湧き上がる歓声に顔を顰めながら、アヴェは舞台を降りる。

 華麗なコンボを決めて勝つのは新鮮だったようで、観客たちはしばらく騒いでいた。

「なぁ、イン。もしかして格ゲーの話をアヴェに最近した?」

(ふはははは!!バレましたな!!最近アヴェ殿のブームは、格ゲーの技を再現することですぞ!!)

 まぁ、本人が楽しそうならいいや.......
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