【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

獣王国サベレズと武道大会

予選と借り④

前回のあらすじ

 借りは返してね!!



 楽しみがあると、時間の流れというものは早く感じる。

 あっという間に2週間が過ぎ、アルカンでの予選が始まろうとしていた。

 国王ことユリウス君は頑張ってくれたらしく、出場枠を3枠から5枠に増やす事に成功。

 ちなみに、ユリウス君曰く

｢めっちゃ無理言ったから、これで予選落ちとかやめろよ？いやまじで。何としても予選、本戦優勝してくれ｣

 と結構ガチめに言われた。

 下手するとアルカンの立場が揺らぐほどらしいので、真面目にやろうと思う。

 私だって、この国を不幸にしたいわけじゃないからね。

 毎年予選が行われる場所があるらしく、今はそこへ向かう途中だ。

｢アルカンって武道大会では結果出せてるの？｣

 ふと思った疑問をクリスさんにぶつける。

 アルカンは絶対不可侵中立国だ。

 どっかの馬鹿豚が、アホをやってくれたおかげで一時期は国家存続の危機のようになったが、普段はとても平和な国である。

 ギルドにも私から見たら強そうな人はいなかった。

 いやまぁ、私たち基準の物差しで測ったらそりゃ皆弱いけどさ。

｢それなりに結果は残してるわね。建国以来1、度も負けたことが無い国よ？弱いわけないじゃない｣

 確かにそうだ。

 仮にも負け無しの国だ。

 いくら立地が防衛に恵まれているからって、兵の練度が足りなければ負ける事は必至。

 国を防衛できる最低限の力はあるはずなのだ。

｢最高で本戦3位だったかしらね。結構強いでしょ？｣

 その当時の強さがどのくらいか分からないが、世界3位と考えればかなり強いのだろう。

｢あ、ねぇねぇノアさん｣

 クリスさんとの会話に割って入ってきたマーリン。

 本人はかなりやる気を出しており、この2週間もの凄く入念な準備をしていているのを私は知っている。

 どんだけこの大会に命かけてるんですかねぇこの子。

｢どうした？マーリン｣

｢九頭大蛇ヒュドラって呼んでもいいの？｣

｢ダメに決まってんだろぉぉぉぉ!!｣

 何この子サラッとやばいことしようとしてるんだよ!!

 大会には時の箱庭ツァイトガーデンと呼ばれる、一定時間、一定の範囲を巻き戻すことが出来る失われた古代の技術アーティファクトが使われるらしい。

 1回使うのに物凄くコストがかかる為、予選は準決勝からしか使われないが。

 あのくそデカい九頭大蛇ヒュドラ何て使ったら、巻き戻せる一定範囲を明らかに超えるはずだ。

 だってあの蛇全長100m超えてなかった？さすがにやばいよ。

 後でマーリンだけではなく、他の参加する面々にもよく言い聞かせないといけないかもしれない。

 特にアヴェとか......

 
予約忘れてました。ごめんなさーい