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1章 かみさまのいうとおり
5話 違和感
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「ふああ、ようやく着いたわ」
語尾に少し疲労感を漂わせながら、彼女は呟いた。
「魔法解除!」
そう唱えると、彼女の背中についていた美しいフォルムの翼は、微小な煌めきと共に粉々に消え去った。
「さてと。堕天使の私を呼び出すなんて首長は何を考えておられるのかしら?」
思ったことをぶつぶつ呟きながら彼女は大聖堂の入口へと歩き始めた。
──大きくて分厚そうな扉
この扉を見る度に私は毎回そう思う。
──ドンドン
音が大きく振動するのが叩く手越しに伝わってくるが、あまり心地の良いものではない。
「はい、どちら様でしょう?」
間も無く、重厚な扉の向こうから受付らしき者のくぐもった声が聞こえてきた。
「あら、その声はクアトね。良かったわ、知ってる子で♪」
「その声はゾエアね♪久し振りじゃない。待ってて。今開けるわ」
──ゴゴゴゴゴ
地響きに似た轟音をたてて、重厚な鉄の塊が、鎖のじゃらつく音と共に上へ巻き上げられていく。
そしてその向こうから、同じく純白の衣を羽織った天使が顔を覗かせた、やいなや、駆け出してきて私にムギュっと抱きついた。
「元気にしてた?」
「えぇ。あなたも息災なようでなによりだわ。ところで、今日は何の用かしら?」
「あら、聞いてなかったかしら?首長様が私をお呼びになったのよ」
どうやらクアトには初耳だったらしく、キョトンとした顔でこちらを見つめている。
「・・・でも少し妙よね。下界との行き来で疲れてるあなたを、いきなり呼び出すなんて」
「確かに・・・そう言われればおかしい所が無いわけでも無いわね。まぁ、それほど重大な事なんでしょう」
私は知己との会話をそこで切り上げて、大聖堂の中へと足を踏み込んだ。
語尾に少し疲労感を漂わせながら、彼女は呟いた。
「魔法解除!」
そう唱えると、彼女の背中についていた美しいフォルムの翼は、微小な煌めきと共に粉々に消え去った。
「さてと。堕天使の私を呼び出すなんて首長は何を考えておられるのかしら?」
思ったことをぶつぶつ呟きながら彼女は大聖堂の入口へと歩き始めた。
──大きくて分厚そうな扉
この扉を見る度に私は毎回そう思う。
──ドンドン
音が大きく振動するのが叩く手越しに伝わってくるが、あまり心地の良いものではない。
「はい、どちら様でしょう?」
間も無く、重厚な扉の向こうから受付らしき者のくぐもった声が聞こえてきた。
「あら、その声はクアトね。良かったわ、知ってる子で♪」
「その声はゾエアね♪久し振りじゃない。待ってて。今開けるわ」
──ゴゴゴゴゴ
地響きに似た轟音をたてて、重厚な鉄の塊が、鎖のじゃらつく音と共に上へ巻き上げられていく。
そしてその向こうから、同じく純白の衣を羽織った天使が顔を覗かせた、やいなや、駆け出してきて私にムギュっと抱きついた。
「元気にしてた?」
「えぇ。あなたも息災なようでなによりだわ。ところで、今日は何の用かしら?」
「あら、聞いてなかったかしら?首長様が私をお呼びになったのよ」
どうやらクアトには初耳だったらしく、キョトンとした顔でこちらを見つめている。
「・・・でも少し妙よね。下界との行き来で疲れてるあなたを、いきなり呼び出すなんて」
「確かに・・・そう言われればおかしい所が無いわけでも無いわね。まぁ、それほど重大な事なんでしょう」
私は知己との会話をそこで切り上げて、大聖堂の中へと足を踏み込んだ。
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