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第六幕 子供の皮を被った羊の物語
11頁
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ミランがその孤児院を訪ねたのは、翌日の昼のことだった。
「そっか、あんたがミランか……」
クラッセという名の娘は、残念そうな顔で、これまでの経緯を話してくれた。
曰く、『理由もなく傭兵に絡まれていたクラッセ』を、セカイが助けてくれたらしい。
「みんなも懐いてたし、もうちょっと、いっしょにいたかったんだけどな。何も黙って出てかなくてもいいのに……」
「お嬢様は一人で?」
「ええ……ほらレギー、マキを苛めないの」
「ひと足違いか」
ミランは、ほぞを噛んだ。
「ねえ、あんた、セカイの何?」
「え……」
クラッセが、探るような目でミランを観察している。
「私はお嬢様の……従者のようなものだ」
「ふうん」
「何か問題でもあるのか?」
「べっつに」
どうやら食事の支度ができたらしい。
フーリーがクラッセを呼んでいる。
「あんたさ、良かったらいっしょに食べてかない?」
「私が?」
「セカイの話も聞きたいし」
「しかし……」
「なんかさ、最近よく、一人分多く作っちゃうんだよね。なんでかなあ……」
クラッセは首を捻った。
その手に、破れて途中までしかない絵本を持ったまま。
(第六幕 完)
「そっか、あんたがミランか……」
クラッセという名の娘は、残念そうな顔で、これまでの経緯を話してくれた。
曰く、『理由もなく傭兵に絡まれていたクラッセ』を、セカイが助けてくれたらしい。
「みんなも懐いてたし、もうちょっと、いっしょにいたかったんだけどな。何も黙って出てかなくてもいいのに……」
「お嬢様は一人で?」
「ええ……ほらレギー、マキを苛めないの」
「ひと足違いか」
ミランは、ほぞを噛んだ。
「ねえ、あんた、セカイの何?」
「え……」
クラッセが、探るような目でミランを観察している。
「私はお嬢様の……従者のようなものだ」
「ふうん」
「何か問題でもあるのか?」
「べっつに」
どうやら食事の支度ができたらしい。
フーリーがクラッセを呼んでいる。
「あんたさ、良かったらいっしょに食べてかない?」
「私が?」
「セカイの話も聞きたいし」
「しかし……」
「なんかさ、最近よく、一人分多く作っちゃうんだよね。なんでかなあ……」
クラッセは首を捻った。
その手に、破れて途中までしかない絵本を持ったまま。
(第六幕 完)
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