竜剣《タルカ》

チゲン

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第二幕 女たちの饗宴

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 伝説は伝えている。
 およそ千年前。
 タルカという名の呪術師がいた。
 彼は竜鱗を使って、竜そのものを自在に操る呪術をみだした。これにより、脅威きょういの対象でしかなかった竜は、強力な戦の道具と化した。
 ところがそのタルカが、突如、人類に牙をいた。
 最強と謳われた五色……緑・赤・黒・白・青の竜を従え、地上の全ての国家と文明を破壊し始めたのだ。
 呪術師たちも、己れの竜を従え、戦った。だがタルカの呪術と、五色の竜の圧倒的な力の前に、次々と倒れていった。
 人類は滅びを迎えようとしていた。
 しかし。
 最愛の恋人の裏切りによって、タルカは命を奪われた。
 これで戦が終わると、誰もが胸を撫で下ろした。
 だが、そうはいかなかった。
 主を失ったことで、五色の竜が束縛そくばくから解放されてしまった。
 自由の身となった五色の竜は、支配されていた鬱憤うっぷんを晴らすかのように暴走した。
 山は崩れ、空は燃え、海は大地を呑んだ。
 呪術師と竜は、命を振り絞ってあらがった。
 そして、全ての竜が五色の竜の体に食らいつき、壮絶な相打ちとなって戦は終わった。
 この戦いで、呪術師と竜は絶滅した。当時の高度な呪術も失われた。伝わっているのは、せいぜいが効果の薄い祈祷や呪詛じゅそたぐいだけだ。
 竜剣術も、その残された数少ない呪術のひとつである。なぜ、人類や竜を破滅に追い込んだ男の名がかんされたのかは不明だが。
 そしてセカイの父リベアンが所持していた竜剣こそ、五色の竜のひとつ、赤竜の竜鱗で拵えたと伝えられる『赤の竜剣』だった。
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