異世界性生活!!~巻き込まれ召喚された勇者のスキルが変態すぎた~

秋津紅音

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三章 愛する者への誓い

二十四話 カルマの特訓

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◇ カルマside

 
 蓮君たちが帰り吸血鬼の力に目覚めた翌日、俺はログハウスの前に広がる森林の中に立ち、朝の日差しを浴びながら血を操作している。

 俺の両手の爪から伸ばした血を触手のようにくねらせ、出来るだけ思い描いた通りに動かす練習だ。
 魔物使いとの戦い……いや千の魔物が攻めてくるならもはや戦争だな。ともかくその戦争が始まる期日は四日後とマグラが言いきった。

 勇者でも勝てないという龍との戦いに勝つ方法……それは二つあるとマグラとクロエの治療が終わった後に教えてくれた。

「それらの方法に辿り着けるかどうかはカルマ殿次第じゃ。まぁ一つ目は間違いなく可能じゃろう」

 そして二つ目は才能と努力次第と続けた。そんなこんなで始まった修行だが、予想通り龍に勝つ為に必要な力は吸血鬼の力だった。
 正攻法では勝てないというヒントは貰っていたし、蓮君たちが持たず、俺が持ってる力と言えば淫魔か吸血鬼の力だろう。
 そして戦いに使える力は今のところ吸血鬼の力だけというのもある。

 マグラの説明によると修行は主に5つの段階に分かれるそうだ。その第一段階は『血操魔法と血液生成の使い方を体で覚える』こと。

 これは昨日の内に覚えることが出来た。そもそも鮮血の爪紅を使うと血を伸ばしたり動かしたり出来たので、スキルの中に血操魔法のようなものが含まれていると思われる。

 血液生成も体内の血の流れを意識しながら血液を作り出すイメージを繰り返すと使えるようになった。

「第二段階は『血を操る速度、細かさ、量の強化』ね……ふっ!ほっ!」

 正面の木と木の間を通るように血で出来た五本の短剣を飛ばす。短剣の柄からは細い紐状の血が俺の手に繋がっている。
 投げ飛ばした後、減速させずにカクカクと稲妻のように動かしたり、曲線を描くように動かして木々を避けていく。

 その内の一本がサクッと木に突き刺さってしまった。

「ああーーくっそ……まだ制御が甘いか……」

 一本であれば自由自在と言えるほどに上手く操作できるようになったが、本数が増えるにつれ徐々にコントロールが悪くなる。
 どこまで鍛えればいいかわからないけど、多いに越したことはないと訓練している。

 三十分ほど朝練を続けているとログハウスの方から一人の女性がこちらに向かってくるのが見えた。
 俺と目が合うと彼女は嬉しそうに微笑み、こちらに右手を大きく振りながら口元に左手をやり、大きな声で呼びかけてきた。

「主様ー!朝ご飯が出来ましたよー!」

「ああ、ヘルミーナ!今行くよ!」

 そう、暴走した俺が乱暴に犯してしまったヘルミーナは今、俺たちの世話をしてくれている。

 なんでそんな彼女がここにいるのか……そう思うよな?

 俺はクロエとマグラと二人の付き添いで修行を始めたんだが……そこにはひとつ問題があった。

「そう、それは飯!!」

「主様?急にどうされたのですか?」

「うん、気にしないで。呼びに来てくれてありがとうな、行こうか」

 マグラは魔王であり食事など一度も作ったことがないらしい……まぁそこまでは良かった。予想の範囲内だ。

 しかし問題はクロエだった。一人で魔の森で夜を過ごすと聞いていたからてっきり自炊していると思っていたのだが……彼女は壊滅的に料理が下手だった。

 どのくらいかと言うと、料理をしていたらいつの間にか毒薬を作っていたくらいやばい。

「なら俺が料理をしようと言えば、俺は寝る時以外ずっと修行していろと止められ、代わりにヘルミーナが連れてこられたというわけだな」

「主様?先程から誰に話しかけているのです?」

「うん、気にしないで。今日も綺麗なお尻だねヘルミーナ」

「あんっ……♡ だめですよぉ……♡ 朝食が冷めてしまいますから……んっ♡ あっ♡ 夜まで我慢してください……♡ 」

 隣を歩くヘルミーナのお尻をギュムッと握ってやると彼女はすぐに甘い声を上げる。
 彼女にはあの夜、シリコンボール付きの極悪なちんぽで強引なSEXをしてしまった。

 嫌われ、恨まれ、蔑まれても仕方ないと覚悟していたが、ここへ連れてこられ、俺と対面した彼女の第一声は予想外のものだった。

「主様……私は主様にガバガバになるまで犯されてしまいましたね。目が覚めてからずっと……おまんこが開いたままのような気がします……もう他の男性では一生満足できないでしょう……な、の、で、責任♡ 取ってくださいね♡ ……愛人でも妾でも構いませんのでっ♡ 」

 多少強引ではあったが彼女自身が『側室にすることが責任を取る』というのなら、彼女も側室として迎え入れること異論はない――

 ――まぁオレ・・がしたことの責任はが取らないとな。



 朝食の席でマグラに今日の修行の予定を聞く。テーブルには四人。俺の向かいにマグラ、その隣がクロエ、俺の隣がヘルミーナだ。

 パンとウインナーとスクランブルエッグ。本当はモーニングコーヒーが欲しいところだが飲み物は紅茶だ。この世界は好きだがコーヒー豆も米もないのが辛いな。
 いや、何処かにはあると信じたい……!一般的でないだけで存在すると信じたい……っ!

 そんな俺の心の中の決意もなんのその。マグラが今日の修行予定を教えてくれる。

「それで今日の予定じゃが、まずはカルマ殿がどの程度血を扱えるようになったか確認からじゃな……次の段階に進むかはそれ次第じゃ」

 ということで食後、俺とマグラはログハウス前の原っぱで向かい合った。

「まずは血操魔法の確認じゃ。カルマ殿は鮮血の爪紅と同時発動で構わんよ」

 マグラは右手の手のひらを上にして自身の鳩尾の前に持っていった。その手の中心から湧き水のように血が溢れ出す。

 血液生成のスキルは体内の血を増やすスキルだ。
 だからあれは空中から生み出されているわけではなく――手のひらの毛細血管に流れてくる血を操作して、皮膚を突き破って体外に出していると思われる。

 マグラは溢れる血を手のひらの上で球体にする。そこそこ大きい、バスケットボールくらいの大きさだ。血液生成がなければ貧血になりそうだな。

 俺も真似をして右手の五本の爪から紐状に伸ばした血を手のひらの上で球体にする。大体同じくらいの物を用意した。

「まずは速度と正確さの確認じゃ」

 そう言ってマグラは血の球体から一本の杭を10m程離れた木に向かって素早く伸ばす。
 軽々と木を貫通させ、瞬時に手元に戻す。それを五回繰り返した。出来上がったのは5cm程の穴が開いた五本の木々。一本につきひとつの穴が開いている。

 しかし速いな……矢のような速さだ。時速だと150kmくらいだろうか。

「カルマ殿も同じようにやってもらうのじゃ。ただし我より細い杭で木に触れないようにやるのじゃぞ」

 マグラは立っていた足元に印をつけそこに俺を立たせた。身長の差の分穴まで真っすぐではないが真似は出来そうだ。

「了解……師匠」

「し、師匠!?」

「教えを乞うなら先生か師匠じゃないか?」

「う……うむ!そう呼びたいなら好きにすればいいのじゃ?」

 なんで疑問形なんだよ。

 初めて言われたのか少し頬を染めたマグラは見た目の幼さも相まって、可愛らしい少女という言葉がぴったりだな。

 挙動不審なマグラは置いといて俺は言われた通り木の穴に向けて細めにした杭を伸ばす。最初は失敗するかと思ったが、五回とも穴に触れずに通すことが出来た。

 だが――

「――遅いな」

「うむ、最初はその程度じゃろう。徐々に速くなるように練習すればよいのじゃ」

 言われた通り何度も何度も血の杭を伸ばして練習していく。

「カルマ殿の朝練を見たが、五本同時に操るのは我でも難しいのじゃ。全ての動きを把握し、別々に動かすのは頭が痛くなるからあまりオススメしないのじゃ」

「そうなのか……」

 まぁ脳の処理が間に合わなくなって制御が甘くなるのはわかる。

「制御無視でがむしゃらに振り回したりする分には構わんが、精密に操作するなら三本までにするのがよいじゃろう」

 そんな話をしながらニ十分。俺の杭を伸ばす速度も大分上がってきた。最初が時速60km程度だとすると今は時速100km程かな。

「うむ。そろそろ次に行ってもよいじゃろう。精密操作と速度は今後も練習して徐々に速くしていけばよいのじゃ」

「了解、師匠。次は何をすればいいんだ?」

 するとマグラは右手を横に出し、手のひらの上の球体を皿のように広げた。

「まるでマトのようだな?」

「カルマ殿の血の杭でこのマトを撃ち抜いてみるのじゃ」

 指示に従い杭を伸ばしマトの中心を射抜いた。大した抵抗もなく貫通した杭を手元に戻す。

「ん……?なにがしたいんだ?」

「そう焦るでない、ただの確認じゃ。血の強度というのはその者の素質に左右されるのじゃ。これは我の血よりもカルマ殿の血の方が硬い――つまり強度が高いということじゃな」

 お?それって俺の吸血鬼の力が優秀ってことかな?

「しかしそれは“素質”であって血の強度は別に強化することも可能じゃ。もう一度やってみるといい」

 一度球体に戻ったマグラの血が再びマトに形状を変える。同じように杭を伸ばすが今度はキィィィンッと甲高い音を立て止まってしまった。先端は1ミリも刺さっていない。

「なっ……!?」

「これが次の段階……“血の凝縮”じゃ」

 マグラは両手の上にバスケットボールサイズの球を作り出した。何をするのかと思えば右手の球体がみるみるうちに縮んでいく。
 最終的に野球ボールサイズまで縮んだ右手の球体。左手にはバスケットボールサイズのままの血の球体。

「それは、左右どちらも同じ血の量ということか……?」

「そうじゃ、我とクロエ殿と戦った時の記憶はあるかの?」

「ああ、そういえばあの時……」

「そう、あの時我は凝縮した血で戦っておったが打ち負けてしもうた。……悔しいがな」

 そっぽを向き口を尖らせる彼女は年相応の子供っぽさがあった。

「じゃあ……あの時の俺は凝縮もして戦っていたと……?」

「そうじゃ吸血鬼同士の血のぶつけ合いは〝素質”と〝凝縮”を合わせた最終的な強度で打ち勝つしかないのじゃ。そして希少な金属武具や……龍の鱗を斬るなら“凝縮”の習得が必須じゃ」

 龍に勝つ……早くもその段階がきたか。

 マグラが剣を作り出し俺に向ける。

「我の凝縮した血で作った剣を折ってみよ。言っておくが我の剣より龍の鱗の方が硬いぞ?」

 ニヤリと不敵に笑うマグラに俺の口角も自然と上がっていく。同じく血の剣を作り出し凝縮を意識する。

 圧力をかけ、血を圧縮していくイメージ――

 正眼に構えられたマグラの剣に向けて横薙ぎの一撃を放つーーっ!!

 バキッ!っと盛大な音を立て砕け散ったのは俺の剣だった。マグラの剣は欠けてすらいない。

「おや、先程とほとんど硬さが変わっておらんぞ?さてはカルマ殿は凝縮が苦手かの?」

 余裕たっぷりの涼しい顔で皮肉を言うマグラーー

「――ははっ上等だ……すぐにへし折ってやるよ……!」


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