異世界性生活!!~巻き込まれ召喚された勇者のスキルが変態すぎた~

秋津紅音

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三章 愛する者への誓い

二十一話 吸血鬼の力

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 私達は家の前に場所を移し向かい合う。この右目は実に便利だな……だが狐娘はともかく真祖の小娘は厄介だな。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

クロエ=ミューラー Lv173 18歳 狐獣人

B90 W63 H83 経験人数1人

HP 21100/21000
MP 28100/28100

スキル 剣術・双剣術・火魔法・雷魔法・転移魔法・空間魔法・結界魔法・回復魔法・生活魔法 

称号 剣帝 賢者 竜殺し 英雄 フェラニスト オナニー中毒者

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

マグラ=フォン=ノスフェラトゥ Lv287 98歳 吸血鬼族

B78 W57 H77 経験人数0人

HP  92200/92200
MP  74000/74300

スキル 不老・予知・千里眼・血操魔法・血液生成・転移魔法・火魔法・風魔法

称号 魔王 真祖 賢者 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 やはり真祖の小娘は手こずりそうだ。

「血気盛んな奴じゃのぅ……そんなに殺り合いたいのか大人しくしてくれるなら、我らは話をするのも吝かでは……」

 ビュンッと空気を裂き、血の鞭がマグラの顔に向かって行く。

 だがそこに狐娘が結界を張り、鞭と結界がぶつかり合い弾かれてしまった。

「いけないんだー。人が話してるときに不意打ちするなんてー」

 ボロボロと崩れ去る結界の向こう側……魔王の隣に寄り添う狐娘。
 あの結界……それなりの強度は持っているようだな。

「どうやら……懲らしめてやらんといかんようじゃの……!」

 魔王が右手を私に向ける。つき出した腕全体から血が噴き出し、十本の杭となって四方八方から私に向かって伸びてくる。

 左手から溢れる血を引っ込めて、全てを右手に集中させる。
 右手の爪から溢れ出た血が手から肘まで覆い、作り出したのは一本の大剣。

 幅は30cmほど、長さおよそ2mの大剣を生成し、後ろに飛びのきながら横薙ぎに振りぬく。

――ガギンッ!!ガギンッ!!

 回避した上で私に当たるものだけを優先して斬り裂こうとしたが、思いの外硬い……弾くことしか出来なかった。

「ふむ……流石は魔王ということか」

「よそ見してていいのー?」

 転移だろうか、突如後ろから二本の短剣を振りぬいて斬りかかってきた狐娘。
 私は大剣を持たない方……ただの左腕を差し出す。
 
「良いのか?この男の体を斬ってしまって」

――ザシュッ……!

「仕方ないよー。ちょっとくらいなら不可抗力かなー」

「……ほう」

 斬り裂かれた左腕から大量の血が溢れ出る。痛みはない。

 溢れ出た血が地面に触れる直前に、ピタリと動きを止める。巻き戻すように血が腕まで昇り左腕を覆っていく。
 血液生成と血操けっそう魔法で増血し、溢れ出た血を操り全身を血で覆った。

 出来上がったのは血で出来た全身鎧フルプレートアーマー。細く全身を膜が覆うように包まれている。

「赤黒くって……なんか不気味かなー」

 再度狐娘が斬りかかってくる。視界の端では魔王も血の杭を束ね、一本の槍として伸ばしてくるのが見えた。

 それらに対して私は無造作に魔王に向かって歩くことで応えた。

「なっ……!?」

「ふええー!?」

 魔王の血の槍は私の鎧に弾かれ、背後から迫る狐娘は私の背中から狐娘の顔に向けて伸びた棘を辛うじて短剣で迎撃して距離を取った。
 下がりながらも狐娘が短剣を投げるが、新たに鎧から伸びる棘に弾かれる。

 この鎧の後方2m以内に入ったものは自動的に迎撃するようになっている。

「転移!……ふぅー近づけないんですけどー」

「それに予想以上に強度があるようじゃな……」

 挟み撃ちを諦めたのか転移で魔王の下へと飛び、こちらを警戒する二人……。

「もう来ないのか?ならこちらから行くぞ……」

 地を蹴り一瞬で狐娘まで距離を詰め力任せに大剣を振りぬいた。

「くっ……結界!!」

 バリバリバリと硬質の物が砕け散る音。硬いが大したことはないな。

 血操魔法は当然だが血液生成も発動し続けている。徐々に大きくなっていく大剣はそれだけ威力も上がる。

 一歩引きながらさらに結界を三重に張ったようだが一撃で全てを砕け散らす。目の前には頼みの綱の結界を消し飛ばされた狐娘。

「詰みだ――」

――ゴォッ!!

 横薙ぎの一撃を放つ……がギリギリのところで二本の短剣で受けて吹き飛ぶ。狐娘は大きな木に背中を強打し木をへし折りながら崩れ落ちた。

「我を忘れるなよ……生まれたての小僧っ子がっ!!」

 大剣を振りぬいた姿勢の私に向けて飛び込んできたのは、身の丈の倍はあるだろう大鎌を持った魔王。血で作られた大鎌は禍々しいオーラを放っている。

 私は大剣を振りぬいた状態で身動きが取れないと判断したか。

 瞬時に右手の大剣を解除し血を回収、左手に移して大剣を生やす・・・

 魔王の大鎌が空間を裂くように振り抜かれる。私も左手の大剣を振り抜いた。

――バキンッ!!!!

「……馬鹿な……ッ!!」

 大鎌が砕け散り右腕を斬り飛ばされた魔王が地に崩れ落ちる。地に膝を突き私を見上げ信じられないものを見る目を向けてくる。

「血の強度で負けたことが信じられないか?それとも血操作の速さが信じられないか?真祖の魔王よ」

「……ありえぬ……目覚めたばかりの小僧に後れを取るなど……」

 私は魔王の首に大剣を当てる。

「私の力の源は真祖の君よりもさらに古い魔王のモノだ。さらにこの肉体には勇者の称号もある。吸血鬼としても魔王としても、相性の悪い相手と言えるだろう」

「……まさか、これほどの力を内に秘めているとは予想外じゃったのう……」

 覚悟を決めたのか瞳を閉じる魔王。狐娘は歯を食いしばりながらこちらの様子を見守っている。背中を強打した所為でまだ動けないようだ。

 私は魔王の首から大剣を引いた。

「勘違いするな。私は久しぶりに体を動かしたかっただけだ。私にお前たちを殺す気はない。……私の中で必死に叫び続けている奴もいることだしな」

「……お主は、今のが肩慣らしだと……?……それにカルマ殿の意識が……」

「そうだが?それよりよく聞け持ち主よ、淫魔は私が吸収しておいてやる、私の力を使いこなせるようになってみせろ……この体の持ち主に死なれると面倒だからな。お前たちなら十分だろう。こやつを鍛える役目……任せたぞ」

 私は左腕の傷口を血を固めて止める。そして意識を本来の持ち主へと返す。

「……ぐっ……マグラ!クロエ!……大丈夫かっ!?」

「お主……カルマ殿か……あやつは……」

「自分から俺に主導権を移してきた……感じだな」

 あいつが目覚めた瞬間分かった。あれは強すぎる。力がどうとかじゃなく、存在自体が大きすぎる……それこそイヴのような存在感だった。

「あいつが目が覚めた瞬間……堪えるとか、抗うとか考える間もなく抑え込まれちまった……すまない……それより!マグラ、右腕がっ!」

 マグラの右腕は今も切断されている。血操魔法のおかげか血は止まっているが治療は出来るのだろうか。

「ああ、これなら大丈夫じゃ」

 右腕の切断面から血が溢れ腕や手の形を作った。数秒経って表面の血が弾け飛ぶように飛び散るとマグラの腕は元通りになっていた……すげぇ……作り直したのか。

「……あやつの存在は我等にも予想外じゃった。抵抗出来なかったのも想像に難くないのじゃ……」

「男娼君……無事で良かったー……あっ、髪の色が変わってるー」

 クロエは自身に回復魔法を掛けながら近づいてきた。クロエは深い傷などはなさそうだ……いや、あいつはそれも込みで手加減していたのかもしれない。

「クロエもすまなかった……」

「気にしなくていいよー♪あれは今の男娼君に制御出来るものじゃないと思うしー」

 そういえば、髪の色とか言っていたな。俺は腕輪から手鏡を取り出して自分の顔を見てみる。すると前髪の左端がひと房、白髪に変わっていた。

「……いつでも乗っ取れる……いや、目が覚めた証拠かな」

「じゃが……カルマ殿に予想以上の力が秘められていることがわかったのは僥倖じゃ。龍との戦いも最悪あやつが出てきて納めてくれるじゃろうが……お主も奴もそれを望まんじゃろう?」

「……そうだな、俺が死ぬのが困るなら最悪ギリギリになったら助けてくれるかもしれないけど、俺は俺のままであの街を守りたいよ」

「ならば強くなるしかあるまい。吸血鬼の力、使いこなしてみせよ」

「クロエも手伝うー♪男娼君、頑張ろーねー♪」

 あいつの戦いを見て、力の使い方はなんとなくわかった。俺の血が真祖であるマグラに勝るほどの強度があることもわかった。後は俺がそれを使いこなせるかどうかだな……。

「ああ……二人ともよろしく頼む……!」

 俺は二人に頭を下げた後、自分のステータスを確認する。

 そこにはやはり、あいつが使っていたスキルが増えていた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

カルマ Lv103

HP 26250/27400
MP   925/ 1110

筋力  105
魔力   72
耐久  424
俊敏  152
運    60

スキル 言語理解・生殖器操作Lv3・性支配能力Lv5・解析の右目・魅了の左目・鮮血の爪紅・血操魔法・血液生成・???

称号 女の敵 性獣 巻き込まれ勇者 愛人 性の技術者 淫魔の王

◇◆◇◆◇◆◇◆◇


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