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三章 愛する者への誓い
十四話 淫魔の王 前編 ☆
しおりを挟む◇ ヘルミーナside
私は四十二番目の女、ヘルミーナと申します。いきなりなんだと思いますよね?何が四十二番目だって思いますよね?……察しの良い方はもうお気づきかもしれませんね。
先日、性欲のとても強い男娼さんが来てくれると、マグラ様から連絡を受けました。
私達は我先にと名乗りを上げ、その数総勢四十二名……。順番を決めたとして最後の方になってしまっては、いつ自分の番がくるかなんてわかったものではありません。
誰も譲らない口論にまで発展してしまい、結局くじ引きで決めることになりました。
そして私は、運悪く一番最後……四十二番と書かれたくじを引いてしまったのです。
「四十二番目なんて……何日掛かるというんですか……」
例え一日に数人相手に出来たとしても、私の番が回ってくるまで十日近く掛かってしまうでしょう。そしておそらく……夢魔族の集落に十日も滞在するなんて不可能でしょう。
「奴隷でもない限り、毎日夢魔族に搾り取られるなんて、逃げ出したくもなりますからね……三日……いえ二日も持てばいい方かもしれません……ああ、私も若く濃厚な精を頂きたいです……」
私だけでなく、三十番くらいから後のくじを引いた人達は皆一様に絶望の溜息を吐きました。みんなわかっているのです。自分の番が回ってこないかもしれないことを。
しかしそんな私の絶望は……夕方には綺麗さっぱり消え去ってしまいました。
「ヘルミーナ!あのお客人……カルマ様がもう十七人目まで相手にしてるってさ!私達にもチャンスがあるかも!!」
私と同じく三十八番のくじを引いた運の悪い友人。最初はその子の話が信じられませんでした。
けれど、次々と集落中に伝わるカルマ様の噂。女性を持ち上げて歩きながらSEXをした。指だけで二人同時に潮を吹かせた。見たこともない巨根をしている。射精しながら突き続けもう一度射精した。十五人連続で抱き続けても萎えない絶倫。
聞けば聞く程、期待に胸を躍らせてしまいます。そんな魅力的な人がいるのだろうかという不安も、カルマ様に抱いていただいた人の顔と体から立ち昇る雌の香りに霧散してしまいました。
同じ夢魔族だからこそわかります。全身から立ち昇るあの強烈な雌の匂い。夢魔族があれほどの雌の匂いを放つなんて……本気で感じ、本気で求めたとしか思えません。
私だけでなく周りにいる人達も、当然その匂いに気付いています。そして同じように期待している。自分もあんな風に雌の匂いを撒き散らすことが出来るのだろうかと……。
普段以上に入念に体を洗い、私は眠れない夜を過ごしていました。自分の番号より六番前の人が終わったら、カルマ様の滞在する家で待機するように言われています。なので私の場合は三十六番の人から連絡が来る筈です。
夕食の後、三十番代の人がお相手していると知らせを受けました。いよいよ夜中にでも自分の番が来る……そう思うと落ち着きませんね。
どうにも眠れないので、リビングのソファに座って待つことにします。夜も更けカップの紅茶も空になると、思い浮かぶのは噂の男性に嫌われないかどうかということ……。
夢魔族の中で能力的にも、性癖的にも異端な私を、カルマ様は受け入れてくださるのでしょうか……。
言い知れぬ不安を抱きながら、私は待ち続けました。そしてついに、家の玄関が叩かれその時がやって来ました。
「ヘルミーナさん、起きてますかー?」
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「あ、起きてましたね!ヘルミーナさんの順番ですので、準備してカルマ様の家でお待ちくださいね!もうすっごいですよ!覚悟しておいてくださいね!」
「ええ、ありがとう。足が震えているけれど、大丈夫……?」
「いやーお恥ずかしながら、十五分ほど痙攣しながら意識を失っていたようで……まだ少し震えが残ってますが、歩けるくらいには回復したんですよ……?えへへ♡ 」
「それは……そ、そんなに凄かったの……?」
「やっばいです!♡ あれは化け物ですね!!人間族とは思えません!!♡ あのですね!……ここだけの話なんですけど……!わ、私はおまんことお尻の穴を、同時に弄るのが好きなんですけど……そんなこと伝えてないのに……!カルマ様は私のお尻に指を二本入れながら子宮をズコズコ押し潰すように突いてくれて……あっ♡ 思い出したらまたイキそう……♡ んっ♡ ……ぁあっ♡ 」
嘘でしょう……?今、思い出しただけで絶頂ったの……?
「そ、そう……私も……いえ、何でもない、私も楽しみにしておくわね」
私も、あの性癖を見破られてしまうのでしょうか……彼は、私の欲望を満たしてくださるのでしょうか。
お風呂には入りましたが疼く体が気になり、お湯を絞ったタオルで一度体を拭いてから、カルマ様の滞在する家へと向かいました。
到着すると四一番の人は既に寝室へと入っているそうで、私はその家のリビングで待機することになりました。
時刻は既に深夜を回り、私がする頃には日の出を迎えるかもしれません。私はリビングで衣服を全て脱ぎ、用意されたベビードールだけを着ました。
男性にこんな扇情的な姿で迫っては、逃げ出されてしまうような格好……。
ですが、カルマ様はこの格好で現れると喜んでくださるそうです。
男性に抱いてもらう為の準備……そんなことをしたのは初めてです。いつもは男性奴隷を無理やり発情させて、薄い精を吸収して渇きを満たして……いえ誤魔化していました。
私達にとって男性の精とは、人間族にとっての水のようなもの。それだけで生きていけるわけではないけれど、ずっと摂取しないと具合を悪くしたり、場合によっては死んでしまうかもしれない……
水も、紅茶も、果汁も、あらゆる水分が無ければ、例え肉や魚といった食材があったとしても生きていけないでしょう。
私達はコップ一杯の濁った水をみんなで分け合うように、僅かな精を吸収して生きてきた。
そして今、極上の甘味さえ感じてしまうような澄んだ水が飲み放題だとすれば……私達は光に群がる蛾のように、吸い寄せられてしまうのでしょう。
いよいよ私の番となり、久しぶりにお腹いっぱい精を注いでもらえる人の下へ、私は向かいます。
寝室へ向かう廊下で、私は否が応でも感じ取ってしまいました……寝室の外、廊下の途中にまで届くその精臭に。
最初は僅かに、しかし一歩進むごとに強くなっていく匂い。その匂いに子宮が震え、膣内に愛液が分泌されていくのがわかってしまいます。
寝室の扉の前に辿り着いたときには、溢れた愛液が太ももに伝ってしまっていました。恥ずかしい……そしてそれ以上に恐ろしい。これを本当に一人の人間族がしたというのですか……?
失礼しますと声をかけ、寝室の扉を開く。すると咽返るような、強烈な雄と雌の匂いが鼻から入り脳まで抜け、ぐらりと床が揺れた気すらしてしまいました。
部屋中に籠る熱気と精臭に足から力が抜け、腰が落ちそうになります。認識が甘かった……廊下に残っていた精臭は雌の匂いであり、雌にマーキングされた雄の残り香だったようです。
本物の雄が放つ匂いに、私の中の雌が傅きそうになります。いっそ跪き頭を垂れてしまえば楽になれるのでしょうか……。
「どうしたの?入っておいで……へぇ、君は最後にしようか……グレース、彼女にも椅子を用意してあげて」
部屋に入るなりカルマ様の指示によって、私は椅子に座って待つことになりました。
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「君は最後に一対一でしようか。グレースもそのときは退室してくれるかな。扉の前に居てくれて構わないから」
「え……あ……あの……」
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私は混乱してしまい上手く言葉が出ませんでした。
「危険はないのですね?……わかりました。カルマ様は一度言いだしたことは曲げてくれませんからね……仕方なくですよ」
「そんなに頑固なつもりはないんだけどな。正しい意見だと思ったら聞き入れているつもりだけど、今回は俺の言うこと聞いてくれ」
そして私は椅子に座った状態で、カルマ様の情事を見せられました――いいえ、魅せられてしまいました。
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それからも執拗に子宮口をつつかれ続け、連続で絶頂の快楽を覚え込ませられ、そのままカルマ様は射精されました。
少なくとも私が見ている間は、ずっと優しくピストンされていた筈なのに、最後は泣きながら射精を懇願する夢魔族に戦慄してしまいます。
ぎゅうっと抱き着き、子宮で長く静かな射精を受け続ける。おまけに射精中に頭まで撫でられるなんて……あれは幸せでしょうね……。
長い射精が終わりカルマ様が体を起こすと、女性は手足を投げ出し、大の字で動かなくなってしまいました。
そして膣から抜かれたおちんぽは……なんですかあれは……!?赤ん坊の腕ですか!?
開かれた女性の股からゴボッとカルマ様のザーメンが溢れるところまではっきりと見てしまいました。凄く濃い、プルプルした塊がとめどなく溢れています……。
もう一人の夢魔族さんを四つん這いにさせ、今し方射精したザーメンが溢れる股間を舐めさせます。夢魔族のお姉さんは喜んで啜り、卑猥な音を立てながら飲み下していました。
そしてその突き出されたお姉さんのお尻に、射精したばかりなのに萎えることのない剛直を突き込まれました。
今度は激しく入り口から奥まで穿り回す強烈なピストン。獣の交尾のようなSEXに、お姉さんは大きな喘ぎ声を上げながらイキ狂っていました。
激しいまま十分も続いたピストンが終わる頃。お姉さんの意識は何度も飛び、気絶と覚醒を繰り返しながらもカルマ様の射精を受け止めたようです。
崩れ落ちるように大の字で脱力する人のお腹に頬を付け突っ伏すお姉さん……こんな光景は初めて見ました。彼は一体何者なんでしょうか。こんなことを四十一人もしてきたというのですか……?
カルマ様の指示で、先に抱かれていた女性二人とグレースさんという夢魔族の方が退室しました。このお方と二人っきりなんて……私はどうなってしまうのでしょうか……。
そしてカルマ様は――空間魔法で仕舞われていたのでしょうか――、二本のロープを取り出されました。
ああ……わかっていらっしゃるのですね。
夢魔族でありながら、男性に組み敷かれ、踏みつけられ、痛みと共に精を受けたがる私の本性を……このお方は受け入れてくださるというのですね。
その為の二人っきりの寝室。私の本能だけでなく、知られたくないという心まで汲んで下さったお方……私は安心感からか、今度こそ跪き頭を垂れながら両手を差し出します。
「カルマ様……どうか、本当の私を満たしてくださいませ……一晩だけでも構いません……どうかイキ死ぬくらいの快楽を……」
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