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二章 温泉の街ハイクベレイ
五話 辺境伯家へ訪問
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約束の日、俺は下ろし立ての服を身に纏い、マリーと共にいざ決戦の場へと足を進めていた。
今の俺は上等な商人といった感じかな?貴族の煌びやかな服は平民が着ると侮辱になるそうで、上等な布で仕立てられた清潔な服装が貴族に会う平民の礼服になるとマリーに教えてもらった。
二人で貴族街の門を通り一番大きな屋敷へ向かい歩く。門番さんはマリーの顔を知っていたし辺境伯からの招待状もあったので、何の問題もなく通ることが出来た。
辺境伯家にも門番が居たのでその人に紹介状を見せ連絡してもらう。間もなく執事服のお爺さんが出てきて丁寧に挨拶された。
「お初にお目にかかります勇者カルマ殿。おかえりなさいませマリー様。私はフガロ辺境伯に仕える家令のセバスと申します。フガロ様よりカルマ様のお世話を仰せつかっております。御用が御座いましたらお申し付けくださいませ。」
セバスだ!!セバスチャンだと思ったらセバスだった!!名前がめっちゃ憶えやすいな!
「丁寧なご挨拶をいただきありがとうございます。カルマと申します。よろしくお願いします」
「お久しぶりですセバスさん」
「私に敬語は必要ありませんよカルマ様。フガロ様は急な知らせがあり少々忙しくしておいでですので、応接室にご案内致しますのでお待ちいただけますでしょうか」
「わかりまし……わかった。案内してください……目上の人に敬語を使わないのは難しいですね」
これが日本人の気質だろうか……まぁ緩い職場だったからサラリーマンのような正しい敬語かどうか怪しいものだけど。
「ご苦労をおかけしてしまうのでしたら敬語のままでも構いません。ご案内致しますどうぞこちらへ」
大きな屋敷の吹き抜けのエントランスホールから大きな階段で二階へ上り、廊下を歩きしばらく進む。どれだけ部屋があるんだ……そんなに部屋数が必要なのだろうか。セバスさんが一つの扉の前で止まりノックした。ノック?
「カルマ様とマリー様がいらっしゃいました。入室してもよろしいですか?」
「どうぞ、入ってもらってください」
中へ案内されると、マリーと同じくピンク髪の三十代くらいの女性となぜかグレースがいた。壁際にはメイドさんが一人控えていた。グレースなんでいんの!?お前魔人族だろ!辺境伯の家に魔人族が出入りしてますけどここの警備どうなってんの!?
「お母様お久しぶりです。グレースさんはどうしてここに?」
「まぁマリー何年振りかしら、貴方ったら全然帰ってきてくれないのだから……綺麗になったわね。恋の力かしら?」
「お母様!恥ずかしいことを言わないでください!」
「あらあら赤くなっちゃってまだまだ女としては未熟ね。それより紹介してくださらないの?」
「申し遅れました、マリーさんと結婚を前提にお付き合いさせて頂いておりますカルマと申します。至らぬ点もございますがよろしくお願いします」
「私はマリーの母のエマ=エスタですわ。どうぞマナーなど気にせず空いてる席に座ってくださいな」
失礼しますと席に着く。セバスさんが紅茶を俺とマリーに入れてくれた。エマさんとグレースは揃ってニコニコとしつつ黙って待っていた。不安になるんですけど?なにこの空間。
「……それでグレースはどうしてここに?」
耐えられずに一番不安なところを聞いてしまった。
「私も辺境伯に呼ばれましたのよ?今朝急にでしたけど」
「グレースを呼んだ理由でもあるけれど今朝飛竜便で王城から書状が届きましてね、主人はその対応で朝から忙しくされていますの。ですので私から説明いたしますわね」
そうしてエマさんが教えてくれたのは今このアルフリード王国には隣国から皇帝と皇女が来ていて辺境に立ち寄った後、隣国のグレイベル皇国へ戻り、温泉宿で二泊三日の休暇を過ごしてから皇国の王城へ戻る予定だそうで、飛竜便を使うため移動時間は非常に短い。三日後にはここへ来て一泊してから出発するらしい。
「その際、皇帝と皇女は男娼を連れ立って温泉旅行を楽しみたいそうでグレースに相談しようと思ったのですわ」
「私とエマは結構長い付き合いなんですよカルマ様。それにエマよかったわね、貴女……というか辺境伯家は非常についてるわ」
「あら、どういうことかしら?」
「こちらにいるカルマ様が、もしかしたらその皇族方のお相手をして下さるかもしれないわ。四日後出発で二泊三日なら……こちらに戻るのは八日から九日後よね」
「なるほど、それなら俺の契約期間中だと……そういう話だな?」
「ええ、どうかしら?前に話したうちの新人も一人つけるわ。新人教育も同時にしてくれるならお店からも謝礼を出しますわ」
「俺は一日当たり王金貨12枚稼ぐつもりだったんだが……」
エマさんが口を半開きで固まる。すぐに我に返り手で覆い隠した。
「……それは本気で言ってますの?」
「え?ええ本当にそれくらい稼ぐつもりですが……」
「エマ、カルマ様は規格外です。それくらいやってのけるだけの実力があります」
エマさんの目が獲物を見つけたような目に変わる。あー、マリーのお母さんは流石に手を出す気がなかったんだが向こうからやってきそうだな。
「面白そうだから私とマリーも温泉についていこうかしら?……これは少しフガロ様に相談しないといけませんわね」
その時コンコンとノックの音が響く。セバスが扉を開き招き入れたのはアッシュグレーの短髪を綺麗に撫でそろえた細身だがしっかりとした体格の男性。俺は真っ先に立ち上がると全員立ち上がったので恐らく正解だったようだ。
「お待たせしたお客人方。私がフガロ=エスタ。アルフリード王より辺境伯の爵位を拝命している。さぁどうぞ座ってくれ」
マリーとグレースが視線を向けてきたので一歩前に出て頭を下げ挨拶をする。
「初めましてフガロ辺境伯殿。マリーさんと結婚を前提にお付き合いさせて頂いております。カルマと申します。以後お見知りおきを」
じっと俺の目を見つめる辺境伯。これはあれだな、視線を逸らしたら負けだ。睨まないように気を付けながら見つめ返す。7秒ほどで痺れを切らしたのは俺でも辺境伯でもなくエマさんだった。
「あなた。いい加減それくらいにしてください。カルマさんが困ってますよ」
「ふむ……君のことは色々と聞いている。マリーを幸せにすると私に誓うか?」
俺は隣にいるマリーの右手を左手で握る。すかさずマリーが左手も添えてくれる。心強いな。
「いいえ辺境伯には誓いません、その誓いならマリーさんと付き合うときにマリーさんに誓いました。お義父さん、私はマリーさんと一緒に二人で幸せになりますよ」
「ふっ……ふはは……いい男を捕まえたようだなマリー」
「お父様……それも違いますよ。カルマ様が私を捕まえてくれたのです」
「そうか……そうか。カルマ君、酒は飲めるかね?」
「ええ。嗜む程度ですが……」
「マリーが生まれた年はいいワインが出回ってね。25年モノだ。後で一緒に呑もう」
「……お・と・う・さ・ま?」
マリーから黒いオーラが立ち昇っていた。女性に年齢の話はタブーです辺境伯。それよりマリーさん握られた手が痛いです。潰されるっ!
マリーを宥め、改めてみんなで席に着くと俺は辺境伯に質問をする。先程の会話で気になったことがあるからだ。
「先程私の事を色々聞いているとおっしゃってましたが、いったい誰からかお聞きしても?」
「もちろん君につけた監視からだ。王より私の領地に勇者を一人送るという書状が届き、すぐに手配した。君が街に入った時からずっと監視を付けていたとも」
さも当たり前のように言われてしまった……まぁ召喚直後に辺境送りなんて要注意人物だもんな。そりゃ監視するわ。
「まぁ納得ですね……しかし私の行動すべてを把握されているなら、よくマリーさんとの仲を認めてくれましたね」
「ふははっ、巻き込まれたと聞いたときはどれほどのものかと思ったが、魔王と邂逅し生きて帰ってきた上に、魔王に召喚された勇者などと知ってしまっては無下には出来んよ。それに君は勘違いしていそうだが、異世界からの勇者は辺境伯以上、公爵以下の地位を持っておるのだ。本来なら君の方が私より偉いのだぞ?」
そんなことまで知ってるのか?転移で誘拐されたのに、いやまさかグレースが監視?グレースは魔王から俺を監視するように言われてたんだよな?ダブルスパイってやつ?いや、魔王は千里眼でグレースを見れるんだから二重スパイはばれるよな。知ってて放置してる可能性も、あの場にはクロエもいたが彼女が?……だめだわかんねぇや。
「は……?失礼しました。しかし辺境伯以上の地位とは本当ですか?」
「うむ、事実だ。公爵家は王族の血筋だから実質勇者は王族のすぐ下の地位なのだ。まぁカルマ君は私の娘と結婚するのだ。お互いもっとラフに話したいものだな」
「それは……では嫁の父親として話させてください」
座ったまま辺境伯に軽く会釈をする。辺境伯はうんうんと頷いていた。
「しかしお義父さんは魔王の事をどれほどご存じなのですか?」
「クロエ君から聞き知った程度だが……この国、いやアルフリード王は彼女に生かされていると思っているよ。本気で三種族を滅ぼす気があるなら彼女一人で我々は抗うことも出来ずに死ぬのだから」
「しかし数年に一度戦争も起きていると聞いたことがありますが……」
「魔人族も一枚岩ではないということだ。魔王は攻めるつもりはなくとも暴走する者はいるということだな」
「……なるほど」
少々重い空気を感じたのかエマさんが話を変えてくれた。
「あなた皇帝の話ですが、私の方からみなさんにお話しさせて頂きました。その上で今回の温泉は私とマリーも同行しようかと思います」
「は?……いやいやマリーはまだしもお前は行く必要は……」
「あら?私も温泉に浸かりたいですわ。それに街で噂の男娼。とてもとても興味がありますから」
「えっと……すみません。マリーのお母さんで辺境伯の奥さんを抱くのは流石に……」
「カルマさんはこんな年増はお嫌かしら?」
ムギュっとマリー譲り、いや母だからマリーに譲ったのか?とにかく胸の下で体を抱く仕草をされると胸がムギュってなってドレスの谷間が凄まじい。マリーと同じくらいの大きさだがマリーより柔らかそうだ。だ、だめだ……視線が外せない……っ!マリーさん痛いです!脇腹をつねらないで!
「お母様!カルマ様を誘惑なさらないでください!カルマ様もデレデレして!!」
「失礼しました。しかしそのようなことは辺境伯がお許しにならないのでは?」
「構わんぞ。たまにグレースのところから男娼を呼んで楽しんでおるようだからの」
聞けば貴族として発情薬も使い子を残す義務が済めば大体男は女性を抱くのも億劫になるそうで、しかし女性側はやはり性欲が強いので男娼や奴隷で性欲を解消するらしい。もちろん妊娠すれば家を追われてしまうので避妊はするそうだ。
「では四日後から五日間ほどの予定で予約しておきますので、同行者は皇帝と皇女、エマさんとマリーと護衛の騎士ですかね?」
「ふむあちらも護衛の騎士と侍女がおるだろう。エマやマリーの護衛に騎士を出したいところだが私も近々王都へ向かわなければならんし、魔の森の間引きにも騎士が必要でな、冒険者の護衛で構わんかね?」
「実力者であればもちろん構いません。むしろ冒険者の方が知り合いも多いので安心できるかもしれませんね」
「ではカルマ殿側の護衛はマリーに選ばせよう。任せるぞBランク以上を三人程で構わん。後はエマの侍女も同行させる」
皇国からの二人と護衛と侍女、俺とマリーとエマさんにこちらの護衛と侍女一人。十人以上の大所帯になりそうだ。
「わかりました、龍の尾の皆さんに声をかけてみますね」
「それから報酬だな、マリーは除外するとして、エマと付き添いの侍女を一度抱くたびに金貨三十枚でどうかな?」
その言葉に壁際のメイドさんが顔を赤くし軽く会釈した。彼女が付き添うのかな。
「わかりました。グレースのお店以上の好条件ですがよろしいのですか?」
「凄腕の男娼を三日間貸し切りだからなそれ以上の報酬もありうる。それに出来高なら例え高額になってもそれだけ君が頑張ったということだ。それならこちらも心地よく支払えるというものだよ」
辺境伯は続けてグレースとグレースの店から出す男娼の料金の話を進めていく。
忙しくなってきたな、明日からグレースの店で三日間働いて四日目からは皇帝達と旅行ね。グレースの用意した家には夕食後案内されてそのまま寝れるようにしてあるそうだ。夜から新居に住むというのも珍しい話だな。
「それと最後の話だ。勇者の最新情報を入手したから共有しておこう」
辺境伯は最後に一番厄介な話を持ってきたようだ。
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