異世界性生活!!~巻き込まれ召喚された勇者のスキルが変態すぎた~

秋津紅音

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二章 温泉の街ハイクベレイ

二話 勇者の動向 

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◇ 葵side

 私の名前は藤堂葵とうどうあおい。藤堂流居合術という剣術道場の師範代の娘。幼少の頃から木刀を振る事を教えられ、中学の入学祝いに真剣の日本刀をプレゼントするような家の娘だ。

 厳しい家庭に思う人は多いと思うけど、私はそれほど気にしてはいなかった。私自身が刀を振るうことを苦だと思わなかったのが大きな理由だろう。

 幼稚園で来栖蓮くるすれん君と久遠紗希くどうさきちゃんと出会った。幼稚園の頃のことはあまり覚えていないけど蓮君と紗希ちゃんと一緒に遊んで、一緒にお昼寝したりしてたのだろう、蓮君に悪戯されたり、紗希ちゃんとおままごとで喧嘩したりした記憶も断片的にある。でも総じて楽しい思い出だ。

 同じ小学校に入学して、クラスが一緒だったり別れたりしたけれど、私たちは昼休みを一緒に過ごしたりする仲を続けた。少し気弱だが優しく気遣いが出来る蓮君と、更に輪をかけて優しく思いやりの塊のような紗希。残念ながら放課後は家で修業があるので私は学校以外ではあまり遊んだりは出来なかったけれど、優しい友人がいる環境に毎日が充実していた。

 中学に入る頃には私たちは親友と呼べる関係になっていたが、そこに転校生がやってきた。後の私の彼氏になる森野淳史もりのあつしだ。ただの転校生ではなく彼は私の許嫁として私達の住む街へとやってきた。双天古武流そうてんこぶりゅうという流派の道場の次男で私の父と森野の父は懇意にしていた。森野は入り婿として私の家に居候することになった。そして彼は本物の天才だった。うちに婿入りすることに文句一つ言わず、藤堂流居合術を瞬く間に覚えていった。成長期特有の吸収力も相まって中学の三年間で私の十年の努力は覆された。

 悔しかった。認めたくなかった。父も周りの門下生も皆が森野を認めていたが、私だけは彼を認めたくなかった。彼を認めてしまうと自分の努力が無駄だったと認めてしまうから。

 蓮君と紗希ちゃんとも森野は仲良くなり私達は四人で行動することが多くなった。私と森野が剣を握るからと蓮君も剣道部に入部した。私達の木刀や模造刀や真剣でやる修業とは違う、竹刀での学生剣道部だが、蓮君も中々の才能があったようだ。私は技術と経験で刀を振るい、森野は天性の勘と洞察力で刀を振るい、蓮君は高い身体操作能力と動体視力で剣を振るった。

 紗希ちゃんは蓮君に恋慕していたのもあり剣道部のマネージャーをしていた。献身的な彼女らしかった。

 私達は高校生になり森野の才能も実力も少しずつ認められるようになっていた。いや、私はもうその頃には諦めていたのかもしれない。森野には勝てない。どんなに努力しても森野には私の刃は届かないと。

 私と森野は藤堂流居合術皆伝となり、修業の量が減り放課後には許嫁としてデートをしたりするようになった。森野は多少強引なところもあるけれどいい男だった。私は好きではなかったけれど。

 休日のデートで彼は私をラブホテルに誘った。高校生なのに入れないでしょうと断ったが私服だった為だろうか私達はホテルに入れてしまった。

 ――そして私は嫌いな男に抱かれた。

 普段から運動をしていた為か血は出なかったけど思ってたより痛かった。木刀で打たれるのとは違う、お腹の内側からくる痛みは中々堪えるのに苦労した。

 ファーストキスよりも先に挿入する最低男。前戯も短く下手くそだ、自分で触る方が気持ちいい。お腹の中に入ってくる異物感に顔を顰めそうになる。女性は好きでもない男に抱かれても感じないと友達が話してるのを聞いたことがあるけれど本当だったんだ。

 ゴム越しに中で果てた後、思い出したかのように私のファーストキスを奪っていった森野に殺意すら覚える。きっとこの時から私は『森野嫌い』から『男嫌い』に変わったんだと思う。

 異世界に召喚され、王城で武器や防具を選ぶ際、私と蓮君と森野は迷わず剣を持った。紗季ちゃんは魔力のステータスが高かったので魔法の杖を選んだ。

 刀はなくて一番近い細身の片手剣を選んだ。刀よりは重いけれどステータスのおかげで重さは気にならなくなった。けど居合術の使えない私は正直に言って一番弱かった。人間相手に刀を振り続けた私では魔物相手に片手剣では十全に力を発揮できずにいた。

 なのに蓮君と森野は持ち前の動体視力と勘で魔物を相手に互角以上に戦えていた。驚いたことに紗希ちゃんには攻撃魔法全般が使える才能があり後衛として非常に優秀だった。

 後、夜にベッドで紗希ちゃんと話し合ったけど、私と紗希ちゃんはこの世界に来てから性欲が強くなっていた。何というかお腹の下の方が疼くのだ。オナニーの回数が増えた……こんな事してる場合じゃないのに。その代わり森野からSEXに誘われることが無くなった。男性は性欲が弱まってるのかな?だとしたらこの世界は意外と住み心地のいい世界かもしれない。

 ダンジョンでの修行の帰り、アラクネの群れに襲われたとき私と蓮君は紗希ちゃんを守るように動いた。森野の事は意識の外にあったけど、彼は私より強いから放っておいて大丈夫だと思っていた。

 アラクネは下半身が蜘蛛で上半身が女性だと日本人なら思うだろう。私も最初はそう思った。けど私達が出会ったアラクネは蜘蛛ではなくサソリとかロブスターのような下半身をしていた。甲殻類特有の硬い足を四本同時にあらゆる角度で薙ぎ払ったり、突き刺してきた。剣は弾かれ、その手ごたえに手が痺れた。騎士が私達を逃がそうと動き撤退する最中、森野の振り下ろした片手剣がアラクネの足に止められ砕け散るのが見えた。一瞬の動揺を見逃さず両手を足で串刺しにされ糸でぐるぐる巻きにされていく森野。凄い速さで糸が繭になりそうなほど巻かれ顔まで巻かれる直前、泣いている森野と目が合った。

 それが私が見た森野の生きている最後の姿だった。

 蓮君と紗希ちゃんは私を慰めようとしてくれたが、私の心は全く痛んでいなかった。私は壊れてしまったのだろうか?わからない。

 玉鋼はなくても、なんちゃってでもいいから私は刀の特徴を伝え鍛冶師に刀を打ってもらった。柄と鞘は私が拵えた。鍔はなく、柄と鞘は木製だから仕込み刀みたいになったが目釘もあるし、柄巻もしてあるので少々見た目は変だが自信作でありとても手に馴染む。ミスリル製の刀は魔力を通すと切れ味と剛性と靭性も上がるようになっていて騎士の持つ剣を居合で切り飛ばすことが可能になった。

 蓮君と紗希ちゃんは私が守るんだという意思と覚悟で私は毎日刀を振るう。私は仲間を失いたくない・・・・・・・・・から。


◇ 紗希side

 最近蓮君と葵ちゃんの様子がおかしい。やっぱり森野君の事を引きずっているのかな……魔物は怖いし魔族はきっともっと怖いんだろう。でもこれ以上仲間を失いたくないから私はもっと戦えるようになりたいし、蓮君と葵ちゃんの心の支えにもなってあげたい。

 葵ちゃんは森野君の死を乗り越えるように毎日毎日王城の訓練所で刀を振り続けているけど、私には忘れたくて刀を振っているように見えてしまう。

 蓮君も一緒になって剣を振っている。明日から五日間、私達は二つ隣の町まで行き魔物のたくさんいる山に挑む。二人の訓練を見ながら私は魔力を練る。体内の魔力を練り上げ手や足に集中させる魔法使いの基本訓練らしい。二人が頑張っているんだ。私は私にできることをしなくちゃ!

 夕方お風呂を頂き、葵ちゃんと寛いでいると蓮君がやってきた。同じくお風呂上がりのはずの彼の体からお姫様の使う香水の匂いがした――私の胸がズキリと痛んだ。

 なんで……私達付き合ってるんだよね?キスもえっちも前は蓮君からしてくれたのに最近はしてくれなくなった。二人っきりで話すことすらない。なのに内緒でお姫様と会ってたの?

 怖いよ蓮君……蓮君の心はもう私に向いてくれないのかな……。

 この世界に来る前は週末デートしたり、お互いの家で一緒に課題をしたりと毎週末一緒にいたし、二週間に一回くらいどちらかの部屋でえっちもしてたのに……私はなんだか最近変になってるんだよ?何でもない食事中とか歩いてるときとかに急にお腹の下の方がキュゥウって苦しくなって凄くムラムラするんだよ。なんで蓮君が私を気持ちよくしてくれないのかな。

 日本に居た時は自慰なんてしたことなかったのに、こっちに来てからは二日に一度は自慰をしてる。一度では足りないときもある。自分の指は寂しいな、蓮君に触れてほしい。

 お姫様と何を話していたか聞けないまま私達は山にいる魔物を倒すため馬車に揺られている。馬車と言っても荷馬車の荷台に乗っている状態だ。お姫様達は箱馬車?っていう座席付きの馬車を用意すると言ってくれたけど私達が断った。今回も騎士が付き添ってくれているが、私達全員が希望したため同中の魔物は全部私達で倒しているからだ。

「あ、この先にまた魔物が二体いるよ!蓮君、葵ちゃん」

「うん、わかった!紗希、僕と葵の二人でやれる……よね?紗希は魔法の発動準備だけして待機してて!」

「「了解!」」

 私の感知魔法で1km先にいる魔物の魔石を感知して蓮君と葵ちゃんに伝える。200mくらいまで近づいてから馬車の荷台から二人が飛び出し走り出す。もう!魔法はそんな遠くまで届かないのにサポート頼まないで!

 私も慌てて後ろを走ってついていくけど二人が速過ぎる。私が魔法の射程に入る頃には蓮君が虎のような魔物の胴体を真っ二つに、葵ちゃんが首を切り落としていた。

 馬車に戻りながら反省会だからね!私が拗ねたような顔で両手を腰に当てて戻ってくる二人を待っていると二人ともばつが悪い顔で謝ってくる。

「「ごめんなさい」」

「もう……張り切ってるのはいいことだけど、二人とも安全を忘れちゃダメだよ?」

「あぁ、紗希ごめんな」

「紗希ちゃんごめんね」

「うん!よろしい!二人とも怪我はない?」

 そんな風に私達はパーティでの戦闘はまだまだ未熟だけどゆっくりだけど着実に強くなっていった。
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