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一章 辺境の街の女達
十四話 戦う意思を
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食後すぐにクロエさんは立ち上がり別れを告げてくる。
「それじゃ男娼君ご飯ごちそうさまー。機会が会ったらまた会おうねー。あっそうだ、お近づきの印にこれをあげちゃおー」
徐に右腕を何もない空間へ突っ込むクロエさん。俺の目からは彼女の右腕の肘から先が消えてなくなったように見える。ちょっとしたホラーだが、おそらく空間魔法なのだろうアイテムボックスとか羨ましい!
謎空間から右腕を出した彼女はピンッと一枚のコインを俺に向けて山なりに弾く。慌てて落とさないように受け止めると、やはりそれは一枚のコインだった。見たことのない絵柄の金貨の様だが……
「クロエさんからのお守りだよー。ポケットに入れておくと良いことあるかもー」
「こんな金貨見たことないんだけど、他国の金貨とかか?」
「うんにゃ、古代遺跡で見つけた金貨ー」
おい!それプレミアがついたりするんじゃないのか!?
「それって貴重なものじゃないのか?いいの?」
「もちろーん。ちゃんと大事にするんだよー」
そういって手と尻尾をフリフリしながらクロエさんは去っていった。貰った金貨は財布の中へと仕舞っておいた。
その後夕暮れまでウェイター業務をこなし、休憩をとった後ギルドの受付でマリーと話しながら今日の予約客を待つことにした。
「そうだマリー。魔道具を作れる人に心当たりあるかな?」
「魔道具制作ですか?それは商人ギルドの管轄なので私にはちょっとわからないですね」
ふむ……じゃあ今度ジョセフさんのとこに行ってみるかな。え?誰かわからないって?俺をこの街まで連れてきた商人のおっさんだよ。
そこへ今日の予約客のオリビアさんがやってきた。
「カルマ。お待たせ。待った?」
今日のオリビアさんは黒の七分袖のシャツに白いフレアスカート、フレアスカートの腰には黒く幅の広いリボンを緩くとめて、茶色いブーツを履いていた。ライトブラウンのショートヘアでは髪型の自由はあまりないのだろう。髪はいつも通りだが服装は目一杯おしゃれしましたと言わんばかりで。俺に会うために準備してきた、それがとても嬉しく思う。
「オリビア、こんばんは。凄く綺麗だね。とてもよく似合ってるよ」
「ありがとう。普段こんな格好しないから恥ずかしい」
「むぅー。オリビアさん可愛いです……」
カウンターの向こうでマリーが剥れていた。
「マリー行ってくるよ。今度一緒にデートしような」
「……はい。行ってらっしゃいませカルマ様、オリビアさん」
◇
「何処に行くの?宿はもう取ってある」
「まだ少し時間あるよな?悪いんだけど行商人のおっさんの店に行きたいんだがついてきてくれるか?」
「いいよ。カルマの行きたいとこで」
オリビアの手を引きながら街を歩く。時刻は夕暮れ時、詳しい話は明日にするとしてもアポくらいは入れておくべきだろう。オリビアは口数が少なく話下手だが、心は思いやりがあり相手をよく見ているタイプだな。惜しむらくは俺とオリビアの身長差だな。俺が170cmで彼女が178cmくらいかな。彼女の方が、背が高い為に腕を組むと格好がつかない。だが手を繋ぐオリビアは頬を緩めているのでこれはこれでいいのだろう。
ジョセフさんの店で明日朝から来訪することを告げ、了承してもらったところでオリビアが用意してくれた宿へ向かう。夕日は沈み、街灯の光が街を彩りはじめる。大通りから宿へ向かう小道へと入った時、ふとオリビアと繋いだ手と反対の手を握られ強く引っ張られた。
「ぐぅ……ッ!」
苦し気な声が聞こえた。そちらに目を向けるとオリビアが腹を抑えて地面に倒れており、足を振りぬいた女が一人、オリビアを挟むように反対側にも一人いた。引かれた腕が後ろ手に捻られ拘束される。
「オリビア!!」
「あんたら……なんのつもり……ッ!!」
「動くんじゃないよ!この男の腕を折っちまうよ!!」
「ぐぅうっ……ッ!いってぇ……!!」
メキメキと音が聞こえるほどにさらに捻られる。
「カルマ!……ぐるる……何が目的?」
「こいつは男娼のクセに冒険者ばっかり相手にして、私達には抱くチャンスもないじゃない!しかも娼館よりも安くてサービスもいいんだろう!!?あんたたちばっかりいい思いしやがって、私達にも回してもらうよ!」
そうか、こいつら冒険者じゃないのか……俺を予約できなくて、それで冒険者を妬んだのか。
「カルマを放せ……!」
オリビアが飛び起きて、力強く踏み出そうと腰を落とすが……
「動くなって言ってんだよ!あんたが抵抗しなきゃこいつにゃ傷つけたりしないよ!」
「ぐるるぅ……カルマ……」
「あんたら!そいつを畳んじまいな。さっさとこの男を連れていくよ!」
「ぐっ!!……がぁっ……!!」
女二人がオリビアを殴り蹴る。普通は魔物と戦わないとLvが上がらないからオリビアとのLv差はかなりある。実際解析してみれば、こいつら全員Lv1だ。それでも一方的に無抵抗の相手を攻撃し続ければ殺すことだって出来る。
地に倒れ、服も頬も血と土で汚れてしまうオリビアを見つめることしか出来ず、歯が折れんばかりに食いしばる。何か出来ないか。俺に出来ることはないのかと思考を巡らせているとオリビアと目が合う。その目が語っている。動くなと、自分がどうなってもいいから、お前は抵抗するんじゃないと、そう語っていた。
……悔しい。
悔しい、悔しい、悔しい!!
何も出来ず女性に守られるのが悔しい。
Lvが上がっても抵抗すら出来ない自分が悔しい。
俺には、戦う力がないのが悔しい。
でも、それでも目の前で俺の女が痛めつけられて、黙ってみていられるほど腐っちゃいねぇよオリビア……
「オリビアッ!!……戦え!!!――性感度操作!」
「あんたなにをっ!んむっ……!」
捻られた腕が悲鳴をあげるのも無視して振り向き女の口を塞ぐ。腕が解放されて体の自由が戻る。反対の手で後頭部を掴みキスから逃れられないようにする。同時に性感度操作で感度をMAXまであげてやる。Lv2なので+200%、感度三倍でディープキスを味わえ!
「んむっ♡ちゅる♡ぷはぁ♡んんん♡ちゅっ♡」
捻られていた腕も、まだ痺れているがそんなこと構ってられるかと女の股に突っ込み、ズボンの上からクリがある辺りを強引に擦り上げる。
「んんんっ♡ちゅばっ……♡あんた……♡ひぐぅううう♡」
汚い声だ。汚らわしい声だ。興奮もしない。聞きたくもない。別に不細工ってわけじゃない、そこそこ可愛い顔をしているが、この女には一切発情する気も起きない。ちらりと横目でオリビアを見れば、たったこれだけの時間で女二人を気絶させてこちらの様子を窺っていた。
ならもう続ける必要もない。性感度を0%に落とし、女を強引に突き飛ばす。
「オリビア……ごめんな……無事か?」
いつも下げているショルダーバッグから回復ポーションをオリビアに飲ませようと差し出すが、彼女に抱き着かれ、それは叶わなかった。
「カルマ……ごめんなさい。ごめんなさい。」
俺の頬に冷たい感触を感じた。オリビアが泣きながら許しを乞うていた。再び女三人に怒りが湧き出るが、今はオリビアの方が優先だろう。突き飛ばした女は意識があるが、唖然としていて動く気配はなかった。人質もなしにオリビアとタイマンなんてもう出来ないだろう、無視でいい。
「行こう。オリビア、宿はもう近いんだろう?」
口を切り腕や足に痣が見える。服でわからないが腹も相当蹴られていたはずだ。でもオリビアのHPは半分も減っていなかった。それが見た目の不安を少し和らげてくれていた。
「こいつら……。もっと痛い目にあわせないと許せない」
「やめろ。それよりオリビアの治療が先だ。行くぞ」
少し強引に手を引く。宿の場所は知らないが、とりあえず進む方向くらいは覚えている。
途中でオリビアに道案内を変わり宿に入る。宿屋の店主は大丈夫かと心配してくれたがポーション持ってるから大丈夫だと断り、鍵を受け取って、さっさと部屋に向かわせてもらった。
オリビアをベッドに座らせポーションを飲ませようとするが、彼女は動かなかった。後悔だろうか、まだ女達への怒りを燻ぶらせているのだろうか。仕方ないので口移しで飲ませることにした。オリビアが、俺とのデートの為に用意してくれたであろう服は土で汚れ、所々がほつれていた。
「んっ……ごく……ごく……ちゅ♡」
回復ポーションはランクによって回復量が違うのでオリビアの減ったHPが全快するものを選んで飲ませた。さすがは高級ポーション。汚れは消えないが傷や痣はすっと消えていった。もう一本、安物のポーションを取り出し俺も飲む。腕の痺れが消えHPが全快した。
さて、後は心の傷の方だな。残念だがポーションじゃ心は直せない。なら俺がやるしかないだろう。俺はそっとオリビアを抱きしめ頭を撫でる。
「それじゃ男娼君ご飯ごちそうさまー。機会が会ったらまた会おうねー。あっそうだ、お近づきの印にこれをあげちゃおー」
徐に右腕を何もない空間へ突っ込むクロエさん。俺の目からは彼女の右腕の肘から先が消えてなくなったように見える。ちょっとしたホラーだが、おそらく空間魔法なのだろうアイテムボックスとか羨ましい!
謎空間から右腕を出した彼女はピンッと一枚のコインを俺に向けて山なりに弾く。慌てて落とさないように受け止めると、やはりそれは一枚のコインだった。見たことのない絵柄の金貨の様だが……
「クロエさんからのお守りだよー。ポケットに入れておくと良いことあるかもー」
「こんな金貨見たことないんだけど、他国の金貨とかか?」
「うんにゃ、古代遺跡で見つけた金貨ー」
おい!それプレミアがついたりするんじゃないのか!?
「それって貴重なものじゃないのか?いいの?」
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その後夕暮れまでウェイター業務をこなし、休憩をとった後ギルドの受付でマリーと話しながら今日の予約客を待つことにした。
「そうだマリー。魔道具を作れる人に心当たりあるかな?」
「魔道具制作ですか?それは商人ギルドの管轄なので私にはちょっとわからないですね」
ふむ……じゃあ今度ジョセフさんのとこに行ってみるかな。え?誰かわからないって?俺をこの街まで連れてきた商人のおっさんだよ。
そこへ今日の予約客のオリビアさんがやってきた。
「カルマ。お待たせ。待った?」
今日のオリビアさんは黒の七分袖のシャツに白いフレアスカート、フレアスカートの腰には黒く幅の広いリボンを緩くとめて、茶色いブーツを履いていた。ライトブラウンのショートヘアでは髪型の自由はあまりないのだろう。髪はいつも通りだが服装は目一杯おしゃれしましたと言わんばかりで。俺に会うために準備してきた、それがとても嬉しく思う。
「オリビア、こんばんは。凄く綺麗だね。とてもよく似合ってるよ」
「ありがとう。普段こんな格好しないから恥ずかしい」
「むぅー。オリビアさん可愛いです……」
カウンターの向こうでマリーが剥れていた。
「マリー行ってくるよ。今度一緒にデートしような」
「……はい。行ってらっしゃいませカルマ様、オリビアさん」
◇
「何処に行くの?宿はもう取ってある」
「まだ少し時間あるよな?悪いんだけど行商人のおっさんの店に行きたいんだがついてきてくれるか?」
「いいよ。カルマの行きたいとこで」
オリビアの手を引きながら街を歩く。時刻は夕暮れ時、詳しい話は明日にするとしてもアポくらいは入れておくべきだろう。オリビアは口数が少なく話下手だが、心は思いやりがあり相手をよく見ているタイプだな。惜しむらくは俺とオリビアの身長差だな。俺が170cmで彼女が178cmくらいかな。彼女の方が、背が高い為に腕を組むと格好がつかない。だが手を繋ぐオリビアは頬を緩めているのでこれはこれでいいのだろう。
ジョセフさんの店で明日朝から来訪することを告げ、了承してもらったところでオリビアが用意してくれた宿へ向かう。夕日は沈み、街灯の光が街を彩りはじめる。大通りから宿へ向かう小道へと入った時、ふとオリビアと繋いだ手と反対の手を握られ強く引っ張られた。
「ぐぅ……ッ!」
苦し気な声が聞こえた。そちらに目を向けるとオリビアが腹を抑えて地面に倒れており、足を振りぬいた女が一人、オリビアを挟むように反対側にも一人いた。引かれた腕が後ろ手に捻られ拘束される。
「オリビア!!」
「あんたら……なんのつもり……ッ!!」
「動くんじゃないよ!この男の腕を折っちまうよ!!」
「ぐぅうっ……ッ!いってぇ……!!」
メキメキと音が聞こえるほどにさらに捻られる。
「カルマ!……ぐるる……何が目的?」
「こいつは男娼のクセに冒険者ばっかり相手にして、私達には抱くチャンスもないじゃない!しかも娼館よりも安くてサービスもいいんだろう!!?あんたたちばっかりいい思いしやがって、私達にも回してもらうよ!」
そうか、こいつら冒険者じゃないのか……俺を予約できなくて、それで冒険者を妬んだのか。
「カルマを放せ……!」
オリビアが飛び起きて、力強く踏み出そうと腰を落とすが……
「動くなって言ってんだよ!あんたが抵抗しなきゃこいつにゃ傷つけたりしないよ!」
「ぐるるぅ……カルマ……」
「あんたら!そいつを畳んじまいな。さっさとこの男を連れていくよ!」
「ぐっ!!……がぁっ……!!」
女二人がオリビアを殴り蹴る。普通は魔物と戦わないとLvが上がらないからオリビアとのLv差はかなりある。実際解析してみれば、こいつら全員Lv1だ。それでも一方的に無抵抗の相手を攻撃し続ければ殺すことだって出来る。
地に倒れ、服も頬も血と土で汚れてしまうオリビアを見つめることしか出来ず、歯が折れんばかりに食いしばる。何か出来ないか。俺に出来ることはないのかと思考を巡らせているとオリビアと目が合う。その目が語っている。動くなと、自分がどうなってもいいから、お前は抵抗するんじゃないと、そう語っていた。
……悔しい。
悔しい、悔しい、悔しい!!
何も出来ず女性に守られるのが悔しい。
Lvが上がっても抵抗すら出来ない自分が悔しい。
俺には、戦う力がないのが悔しい。
でも、それでも目の前で俺の女が痛めつけられて、黙ってみていられるほど腐っちゃいねぇよオリビア……
「オリビアッ!!……戦え!!!――性感度操作!」
「あんたなにをっ!んむっ……!」
捻られた腕が悲鳴をあげるのも無視して振り向き女の口を塞ぐ。腕が解放されて体の自由が戻る。反対の手で後頭部を掴みキスから逃れられないようにする。同時に性感度操作で感度をMAXまであげてやる。Lv2なので+200%、感度三倍でディープキスを味わえ!
「んむっ♡ちゅる♡ぷはぁ♡んんん♡ちゅっ♡」
捻られていた腕も、まだ痺れているがそんなこと構ってられるかと女の股に突っ込み、ズボンの上からクリがある辺りを強引に擦り上げる。
「んんんっ♡ちゅばっ……♡あんた……♡ひぐぅううう♡」
汚い声だ。汚らわしい声だ。興奮もしない。聞きたくもない。別に不細工ってわけじゃない、そこそこ可愛い顔をしているが、この女には一切発情する気も起きない。ちらりと横目でオリビアを見れば、たったこれだけの時間で女二人を気絶させてこちらの様子を窺っていた。
ならもう続ける必要もない。性感度を0%に落とし、女を強引に突き飛ばす。
「オリビア……ごめんな……無事か?」
いつも下げているショルダーバッグから回復ポーションをオリビアに飲ませようと差し出すが、彼女に抱き着かれ、それは叶わなかった。
「カルマ……ごめんなさい。ごめんなさい。」
俺の頬に冷たい感触を感じた。オリビアが泣きながら許しを乞うていた。再び女三人に怒りが湧き出るが、今はオリビアの方が優先だろう。突き飛ばした女は意識があるが、唖然としていて動く気配はなかった。人質もなしにオリビアとタイマンなんてもう出来ないだろう、無視でいい。
「行こう。オリビア、宿はもう近いんだろう?」
口を切り腕や足に痣が見える。服でわからないが腹も相当蹴られていたはずだ。でもオリビアのHPは半分も減っていなかった。それが見た目の不安を少し和らげてくれていた。
「こいつら……。もっと痛い目にあわせないと許せない」
「やめろ。それよりオリビアの治療が先だ。行くぞ」
少し強引に手を引く。宿の場所は知らないが、とりあえず進む方向くらいは覚えている。
途中でオリビアに道案内を変わり宿に入る。宿屋の店主は大丈夫かと心配してくれたがポーション持ってるから大丈夫だと断り、鍵を受け取って、さっさと部屋に向かわせてもらった。
オリビアをベッドに座らせポーションを飲ませようとするが、彼女は動かなかった。後悔だろうか、まだ女達への怒りを燻ぶらせているのだろうか。仕方ないので口移しで飲ませることにした。オリビアが、俺とのデートの為に用意してくれたであろう服は土で汚れ、所々がほつれていた。
「んっ……ごく……ごく……ちゅ♡」
回復ポーションはランクによって回復量が違うのでオリビアの減ったHPが全快するものを選んで飲ませた。さすがは高級ポーション。汚れは消えないが傷や痣はすっと消えていった。もう一本、安物のポーションを取り出し俺も飲む。腕の痺れが消えHPが全快した。
さて、後は心の傷の方だな。残念だがポーションじゃ心は直せない。なら俺がやるしかないだろう。俺はそっとオリビアを抱きしめ頭を撫でる。
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