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一章 辺境の街の女達
十三話 辺境最強の女
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それから約四週間。俺は精力的に依頼に励んだ。数多くの女性冒険者に満足してもらえたと思う。リピーターも非常に多い。二度目はまだではあるが『依頼で街を離れてしまうので戻ってきたらすぐに予約する!』という人が何人かいる。
一回の依頼で大体3回はSEXするようにしている。夜は、ほぼ毎日予約が入っていて昼は2、3日に一回といった感じだ。冒険者も朝から夕暮れまで働く人が多いからだろう。結果ギルドの口座には金貨190枚――王金貨1枚と大金貨9枚――が入っている。20日間で190万円相当稼いだことになる。ぼろ儲けだと思うだろう?俺もそう思う。美しい女たちと毎日SEXして食事と寝床を用意してもらってお金まで貰える。夢のような仕事だ。体さえもてばな。そんな俺が今何をしているかと言えば……
「カルマァ!2番卓と5番卓上がりだ!持ってけぇ!」
「はいよーっ!」
「カルマ君8番卓の食器下げてくれるー?」
「了解っすー!いらっしゃいませー!」
ギルド併設の酒場でバイトしている。
理由は色々あるが、最近『冒険者ギルドにいる男娼』という噂が街で囁かれてると、女性冒険者が寝物語で教えてくれた。
マリーと相談の結果、暫くは予約がない日の昼間はギルド内にいた方がいい。Cランク以上の冒険者同伴でないと外出しないということに。Dランク以下の女性冒険者には申し訳ないが、複数人での予約以外受け付けないようにさせてもらった。外出時にDランク以下の女性と二人では、何かあった時俺の身が守れないだろうという理由だな。
そして暇を持て余した俺は――顔を広めることと、日銭稼ぎと、昼の賄い目的で――こうして労働に精を出している。若返った俺は中々の童顔でそれなりに整った顔をしている。しかもこの世界では珍しい黒髪で、黒と金のオッドアイも格好いいと受けがいい。ギルド支給の黒いエプロンを着け、注文の品を運び、空いた皿と席を片付けて厨房へ戻る。
「君、見ない顔だねー」
ふと、背後から声をかけられた。振り返ると、大きな銀と黒色の狐耳に、同じくロングの銀髪を高めのポニーテールにした美しい狐の獣人さんがいた。ポニーテールは白いリボンで結ばれている。瞳は黄色く縦長な瞳孔が視線を鋭く見せる。グレーのタートルネックのような首まで隠れるインナーに、胸と肩を覆う白い鎧。同じく白い腰鎧の内側には赤い膝上スカート。スカートの後ろからフサフサの尻尾が三本出ている。すらりと伸びる、白くきめ細かい美しい足にクリーム色のくるぶしブーツ。靴下はなしか。なぜニーソじゃないんですか!この世界にニーソはないんですか?俺が作って売り出してやろうか。でも生足が大変美しいです、ありがとうございます。
「はい。最近雇ってもらって働かせてもらってます。カルマといいます」
「ふぅん。クロエはクロエー、よろしくねー。注文いいかなー?」
「はい、勿論です」
ではちょいと失礼して彼女を見つめてステータスを覗いてみる。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
クロエ=ミューラー Lv161 18歳 狐獣人
B90 W63 H83 経験人数1人
HP 19800/19800
MP 27760/27760
スキル 剣術 双剣術 火魔法 雷魔法 空間魔法 回復魔法 生活魔法
称号 剣帝 賢者 竜殺し 英雄 フェラニスト オナニー中毒者
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
だからツッコミどころが多いんだよ!
なんだこの異世界テンプレ主人公みたいなステータスは!とんでもないLvの高さと見たことない魔法スキルに称号まで……
すると、クロエさんの左手がすっと俺の右目に伸びてきた。右目の目の前に、人差し指だけを伸ばした状態で伸びてきて、思わず目を瞑ると右目の瞼に人差し指を添えられる。
「んー。女性をそんな目で見る悪い目はここかなー?ダメだよ。覗き見は感心しないかなー」
――ドキリとした。この人は俺の解析を見破ったのか。
「すみません、つい癖で……以後気を付けます。お許しください」
「それがいいかなー。クロエみたく気付く人も、少ないけどいるからねー」
「ちなみに、なぜ気付いたのかお聞きしても?」
「その前にー!ご飯ー!注文ー!」
失礼しましたと一言おいて、注文を取り厨房へ伝える。注文はAセット――牛ステーキにフライドポテト、茹でたニンジンとパンが二つ――と赤ワインをジョッキで。飲み物は全種類SMLと3サイズが選べる。当然大きくなれば値段も上がるが、量の方がより増えるのでLサイズのジョッキの方がお得だ。Aセットとジョッキワインで銀貨三枚。程無くして大きな木のプレートの上に、肉汁が滴るステーキとポテトとニンジンが盛られた鋳造鉄のプレートが乗せられる。日本でもファミリーレストランなどでステーキを頼むとよく見るあれだ。だがこちらのは、木のプレートが二倍くらい大きくて、大小二つの窪みが付いている。大きい窪みにはステーキの鉄板を、小さい窪みにパンを二つ添えて、ガーリックソースをかけて完成だ。少々重いがワンプレートなので運びやすい。日本にいた頃は見たことないが、これが便利なんだ。
厨房へお客さんと話してくる旨を伝え、右手の手のひらの上に木のプレートを乗せ、ジョッキを左手に持ちクロエさんの元へ向かう。ギルド併設の酒場は運営がギルドであり、管理は副ギルドマスターが務めている。ここで働くにあたって、女性冒険者との交友を深める為に、お客さんとの長めの談笑や一緒に食事なども契約に含まれている。その間無給や時給を減らすなどをこちらから提案したが、俺が酒場でウェイターをすれば客が増えるだろうから気にしなくていいとエレオノーラさんが口添えしてくれたのでペナルティーなしでやらせてもらっている。
そうそう。さっきのクロエさんのステータスウィンドウを見てお気づきの方も多いだろう。そう、他人のHPやMPやスキルも解析することができるようになったのだ。さらに視界の端には常に自分のステータスウィンドウを表示している。自身のステータスは出し続けていてもなにも消耗しないことに気付いたのだ。表示する内容も表示する位置も操作できるので自分好みにカスタマイズできることも知った。この街へきて24日、毎日レベリングに勤しんできた成果をご覧いただこう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
カルマ Lv21
HP 5100/5100
MP 185/ 185
筋力 20
魔力 15
耐久 107
俊敏 35
運 9
スキル 言語理解・生殖器強化Lv1・性感度操作Lv2・解析の右目・???・???
称号 女の敵 性獣 巻き込まれ勇者
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
性器の大きさ 4
射精量 6
回復速度 8
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
伸びるステータスと伸びないステータスの差が激しい。でも運は途中で下がらなくなったのでほっとした。ほとんど増えてないけどな。それから自分の称号だけは解析できるようになった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
女の敵 50人との女性と性行為を行った者の証。性的スキル発現率10%UP
性獣 100人との女性と性行為を行った者の証。性的スキル発現率25%UP
巻き込まれ勇者 ?????異世界召喚された者の証。?????????????
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
俺のスキルが変態すぎるのは称号の所為だった。あと勇者の称号はまだ解析できないようだ。目から血が出るほど凝視しながら、『解析しろ……解析しろ』と念じてみたが疲れただけだった。
「お待たせしました。Aセットとジョッキのワインです。熱いのでお気をつけて。先程のお詫びに、こちらは私の奢りということでお許しください」
「気にしなくていいのにー。でもありがとー。君も座っていいよー」
「では失礼して」
クロエさんが嬉々として食事を始めるのを眺めながら向かいの席へ着く。
「なんで気付いたかだったねー。あれは君の右目で魔力がぐるぐるしてるのが視えたからだよー」
「ぐるぐる……ですか」
「そうーぐるぐるーってねー。ぐるぐるー」
魔力が渦巻いてたってことかな。この人天然入ってるな。こうガッとしてグッってしてバッとするんだよ!とか擬音で説明するタイプだ。往々にしてこのタイプは天才肌が多いと個人的に思っている。
「あっそっかー。黒髪にオッドアイって、君が噂の男娼君かなー」
「そうですね、最近はそう呼ばれたりしますね。クロエさんは初めてお会いしましたがこの街の冒険者ではないのですか?」
「むー年も近そうだしタメ口でいいよー。クロエはこの街に住んでるけど魔の森で狩りをしてるからーあんまり街に戻ってこないかなー」
は……?それって魔の森で連日夜を明かしてるってことか?
「タメ口か……じゃあこういう口調だけどいいか?それって夜の魔の森で夜営してるってこと?」
「そだよー。厚手の毛布を敷いてーそこに座ってー毛布を被ればOK-」
「魔物は……?襲撃されないの?」
「襲撃されるかなー。でもクロエは結界張ってるからー大丈夫ー」
「結界か。それはどういうスキルなんだ?」
「んとねーほぃっ!これが結界でークロエは寝るときはこれを三枚使うかなー」
すると俺とクロエさんの間に小型の盾くらいの緑色の半透明な壁が現れる。
「叩いてみていいよー。空間魔法の一種でねー。クロエの周りに硬いのを張ってー、中くらいのとこにそれなりに硬いの張ってー、広ーい範囲で薄いの張るんだよー」
コンコンと結界をノックしてみる。なるほど、木よりは堅そうだな。石壁くらいの強度はありそうだ。
詳しく聞くと、結界魔法は消費魔力の大きさに比例して結界が大きく丈夫になり、離れた位置に作るほど弱くなる。結界が破られると発動者に破壊された感覚が伝わるらしく、自分の身を守る用の強力な結界を自分の手の届く範囲に設置、5メートルほどの距離で時間稼ぎ用の中型の強度の結界を設置、15メートルほどの距離で薄い膜のような結界を設置する。魔物が一番外側の結界を破ると目を覚ますので2枚目の結界を破られるまでに戦闘準備をして戦うそうだ。
「よく考えられてるが……それって仲間がたくさんいると難しくないか?」
「んー?だってクロエはいつも一人だから関係ないかなー?」
「はっ!?一人で魔の森に行ってるのか!?」
「クロエ強いしークロエSランクだもーん」
「Sランク……」
確かに、それに相応しいLvとステータスだったとは思う。肉を豪快に頬張りながらクロエは眩い笑顔でこう言った。
「にひひー♪『辺境最強のソロ』とはSランク冒険者クロエのことなのだー!」
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