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一章 辺境の街の女達
三話 冒険者登録
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「では、この部屋でしばらくお待ちください」
ギルドの奥へ連れられ、通された部屋は6~7畳くらいの小部屋。長方形のテーブルがひとつにイスが4脚。さらに壁際にイスが2脚あった予備だろうか。
お茶もなくイスに座り待つこと10分ほどだろうか、ノックと共に扉が開かれる。入ってきたのは先ほどの素敵爆乳受付嬢さんと、真っ赤な髪を腰まで伸ばし、格調高い服を着た、切れ長で鋭い視線の美人さん。三十代前半くらいだろうか。腰には使用感のある片手剣が下げられている。えっ処す?処すの?
二人は向かいの席へ並んで座る。早速とばかりに素敵爆乳受付嬢さんが話し出す。え?しつこいって?絶対にやめないぞ。俺はずっと素敵爆乳受付嬢と言い続ける所存だ。
「お待たせしました。ご紹介しますね。こちら冒険者ギルドエスタ支部のギルドマスターでエレオノーラ様です」
……はっ!?エスタ支部ギルドマスター!?……というかこの街ってエスタっていうのか?それともエスタ領とかなのか?
「さて坊やのステータスについてはマリーに聞いてるよ」
そう言ってギルドマスターは親指でくいくいっと素敵爆乳受付嬢マリーさんを指差す。
「勇者の称号は異世界からの召喚者につくもんだが……坊やは悪人には見えやしないが、坊やの貧弱ステータスとスキルは一体どういうことなんだい?」
「えっと、まず私は……」
どうやら処されることはなさそうで一安心である。俺は国王様からの書状を出しつつ、召喚から今までの経緯を話した。
「……なるほどね。でもそれなら冒険者じゃなくて娼館にでも行けば、坊やならいい稼ぎになりそうなもんだけどね」
「は?娼館?男なのにですか?」
「は?何言ってんのさ。娼館といえば男を買うとこだろうに」
「……ちょっとそこんとこ詳しく」
ギルドマスターの話によれば、この世界は男性の性欲が少なく女性の方がSEXをしたがっている。おまけにここは辺境で魔族領が近く、戦争や強力な魔物との戦闘もある。なので冒険者は死亡率が高く、戦いの後は昂る気持ちを静めるのに男を求める。なら男性の冒険者は?と当然の疑問があるが、性欲の弱い男性冒険者は酒や睡眠欲に向かうものがほとんどだとか。
マジかよこの街なら女を食い放題でお金までもらえるの?と思ったがそこまで話はうまくない。
この世界の男娼は奴隷落ちした男性がするもので、性欲を高める薬(媚薬)を毎日飲んで強制的に働かされるのだ。しかも副作用で飲むたびに少しずつ寿命が縮むらしい。料金は1回1時間で金貨3~10枚ほど、八割が店で一割が男娼の飯代と衣類代で引かれ、一割が積み立てられる。積み立てで自分を買い戻すらしいが男性の奴隷は高く金貨1000枚くらいすることもあるそうだ。仮に安く買われ必死に稼いでも五年はかかるらしい。
「でも鉱山奴隷にされたりする犯罪女性奴隷は、それこそ数年で死亡したりするからまだマシなもんさね」
「前例はありませんが自分から働きに行けば、カルマさんには借金がないのでいつでもやめられるとは思いますが……」
「マージン取られすぎですよね」
「ですが個人で男娼は娼館に目をつけられたり誘拐や監禁の危険性もありますから」
「たしかに……」
怖っわ。監禁とかそれこそ男娼以下の扱いにされかねんだろう。
「ふむ……なら坊や、冒険者として特別依頼で男娼まがいのことをしてみるのはどうだい?」
「男娼まがい……ですか?」
「あぁそうさ。依頼ってのは本来なら依頼者の要望を冒険者が叶えることで報酬が発生するもんだけどね。依頼者が冒険者の要望を叶えることで報酬を得るのも禁止されてる訳じゃないんだよ。」
「あの……言ってる意味がよくわからないんですけど」
「簡単に言えば『SEX1回金貨2枚 宿代は冒険者持ち』で常設依頼を張り出してやれば女冒険者が寄ってたかってくるよ」
「それって個人で男娼するのと違いはあるんですか?」
「もちろんあるさ。まず冒険者ギルドを介する依頼だから受ける側の身元もわかっている。坊やが失踪すれば依頼を受けたやつが真っ先に調べられる。娼館もギルド相手に因縁をつけることもできないだろうさ。娼館から坊やに勧誘くらいはくるかもしれないけどね」
「そこまでギルドがしてくれる理由は……メリットがあるんですか?」
「その答えも、もちろんあるさね。まず坊やの稼ぎの3割をギルドで貰う。7割は坊やが受け取りな。それでギルドは損はしないだろう。それから坊やは見た目もいいし性欲の強さはステータスが証明してるから期待が持てる……後ね、この街の女はみんな男に飢えてんのさ。それを助けてほしいってのもあるよ」
強い目だった。真っすぐに俺を見つめるギルドマスターの目には、強い意志が感じられた。
どうしようもないと諦めていたところへ現れた希望。そんな風にでも思っているのだろうか。
「わかりました。でもただの男娼の真似ではつまらないでしょう。なにか特典というか……男娼ではできない事、していない事とかないですかね?」
「ふむ……なんかあるかねぇ……」
ギルドマスターと二人で考え込んでいると、ずっと静かにしていた素敵爆乳受付嬢マリーさんが、おずおずと手を挙げる。
「あの……男性と一緒にデ、デ、デートしたり、食事したり、添い寝とか……♡」
マリーさんはそう言い終わると、恥ずかしそうに両手で頬を隠す。
「え?この世界の男性も性欲が弱いだけでデートしたり添い寝は普通にしてくれるんじゃないんですか?」
「他の街は知らないけど、この街の男どもは女と食事したり一緒の部屋に行くと喰われると思ってるからさ。二人っきりって状況は避けるんだよ」
「ならそれを売りにしましょう!」
「ぇえ!?いいんですか!カルマさん!」
「ほう、坊やはそういうことに抵抗はないんかい?」
「私はこの世界の男じゃないですからね。全然平気ですよ。ならそうだな……こういうのはどうです?」
「……ほう、面白いじゃないさ。ならこういうのはどうだい?」
こうして辺境の街を揺るがす、一枚の特別常設依頼が完成する。
「マリーを坊やの専属受付嬢にしてやるよ。これからあんたの業務はこの坊やのスケジュール管理だよ」
「ええええ!?」
「はい!かしこまりました!」
「それから坊や、あんた冒険者登録の途中だったろ。さっさと手続き終わらせちまいな」
「「あ、忘れてた」」
「お馬鹿だねぇ。ついでに今夜、最初のお客さんとしてマリーでしてきな。金はあたしが払ってやるよ」
「「えええええええ!!?」」
「エ、エレオノーラ様!?どういうことですか!?」
「なんだいマリー、あんたも期待してんだろ?それに冒険者が、どの程度の実力があるのか把握するのも専属受付嬢の仕事だろうに」
「じ、じ、じ、実力……ッ!♡」
ほんのりと頬を染めつつ俺に期待のこもった視線を向ける素敵爆乳受付嬢。こんなもん拒否するわけないだろーが!
「わかりました。ではマリーさんが初めてのお客様ですね」
「……よろしくお願いします♡」
「ほら、さっさと登録しちまいな」
「あ、はい!それではカルマさん、先ほどのようにこちらに左手を置いてください」
そう言ってマリーさんがまた例のタブレットを出してくる。え?どこにあったの?持ってたの?
「はい。そしてここに冒険者証をはめて……はい。これで完成です」
冒険者証はドッグタグで、言語理解のスキルでこの世界の文字が読める俺にも読めない、なんらかの文字が浮き出ていた。ご丁寧にネックレスチェーンもついているので首から下げる。
「護衛や討伐などの依頼を受けたり、完遂したときにギルドで手続きをするたびにその冒険者証に情報が記録されます。カルマさんの場合ですと依頼をする側なのであまり使い道はなさそうですが……」
「ところで冒険者ギルドの依頼は冒険者しか受けられないんですよね?マリーさんは受付嬢ですが、私の依頼が受けられるんですか?」
「問題ないさね。マリーはこれでもBランク冒険者だからね」
冒険者ランクはE、D、C、B、A、SとなっていてEとDは駆け出しの初心者。CとBが中堅。AとSがベテランや凄腕というイメージでいいそうだ。ちなみに王都から護衛していたおっさん三人はあれでもBランクらしい。
「ほら、依頼を貼りだして、マリーはちゃんと坊やの実力を体感してくるんだよ」
「体感……♡」
「お世話になりました。ギルドマスター」
「エレオノーラさんでいいよ坊や。あんたにゃ期待してるよ」
「これからもよろしくお願いします。エレオノーラさん」
個室を出てマリーさんと二人で掲示板まで向かう。掲示板は二つあって、討伐や護衛などの単発依頼用。そして素材買い取りなどの常設依頼用だ。マリーさんがその常設依頼板の真ん中にあった依頼をはがし、おい、いいのか?
端っこに貼り直し。可哀そうに……
俺の依頼を真ん中に貼りだした。ど真ん中かよ……少し恥ずかしいな。
「さぁ、カルマさん!行きましょうか!」
「……はい。よろしくお願いしますマリーさん」
俺はマリーさんの手を取りギルドの出入り口へと歩き出した。さて初仕事だ。頑張りますか。
二人が出て行った様子を見ていた冒険者が数人、新しく張り出された依頼へと目を向ける。
「おい……これ……」
「マジか……?マジなのか……?」
「あら……本当かしら。本当だったら面白いのだけれど♡」
そこにはかつて、ここにいる冒険者が見たことのない、ありえない依頼があった。
『 特別常設依頼
依頼主 カルマ
受注者 女性冒険者のみ
デート、食事、添い寝、貴女の希望に応えます!
※宿代、食事代、性行為料金などは全て冒険者負担です。
SEX一回につき金貨三枚お支払い頂きます。
※SEX二回目以降は一回につき金貨二枚のお支払い。
朝から夜までの部 8時~17時
夜から朝までの部 18時~7時
最低時間が三時間以下になる場合は
お断りする場合がございます。
ご予約、ご相談は担当受付嬢マリー=エスタ まで 』
===================
補足説明 貨幣価値について
半銅貨 50円
銅貨 100円
銀貨 1000円
金貨 1万円
大金貨 10万円
王金貨 100万円
銅貨から王金貨までは国が発行。半銅貨は庶民が作ったもので名前の通り半分に割ったもの。貴族や王族は認めてないし使いません。
ギルドの奥へ連れられ、通された部屋は6~7畳くらいの小部屋。長方形のテーブルがひとつにイスが4脚。さらに壁際にイスが2脚あった予備だろうか。
お茶もなくイスに座り待つこと10分ほどだろうか、ノックと共に扉が開かれる。入ってきたのは先ほどの素敵爆乳受付嬢さんと、真っ赤な髪を腰まで伸ばし、格調高い服を着た、切れ長で鋭い視線の美人さん。三十代前半くらいだろうか。腰には使用感のある片手剣が下げられている。えっ処す?処すの?
二人は向かいの席へ並んで座る。早速とばかりに素敵爆乳受付嬢さんが話し出す。え?しつこいって?絶対にやめないぞ。俺はずっと素敵爆乳受付嬢と言い続ける所存だ。
「お待たせしました。ご紹介しますね。こちら冒険者ギルドエスタ支部のギルドマスターでエレオノーラ様です」
……はっ!?エスタ支部ギルドマスター!?……というかこの街ってエスタっていうのか?それともエスタ領とかなのか?
「さて坊やのステータスについてはマリーに聞いてるよ」
そう言ってギルドマスターは親指でくいくいっと素敵爆乳受付嬢マリーさんを指差す。
「勇者の称号は異世界からの召喚者につくもんだが……坊やは悪人には見えやしないが、坊やの貧弱ステータスとスキルは一体どういうことなんだい?」
「えっと、まず私は……」
どうやら処されることはなさそうで一安心である。俺は国王様からの書状を出しつつ、召喚から今までの経緯を話した。
「……なるほどね。でもそれなら冒険者じゃなくて娼館にでも行けば、坊やならいい稼ぎになりそうなもんだけどね」
「は?娼館?男なのにですか?」
「は?何言ってんのさ。娼館といえば男を買うとこだろうに」
「……ちょっとそこんとこ詳しく」
ギルドマスターの話によれば、この世界は男性の性欲が少なく女性の方がSEXをしたがっている。おまけにここは辺境で魔族領が近く、戦争や強力な魔物との戦闘もある。なので冒険者は死亡率が高く、戦いの後は昂る気持ちを静めるのに男を求める。なら男性の冒険者は?と当然の疑問があるが、性欲の弱い男性冒険者は酒や睡眠欲に向かうものがほとんどだとか。
マジかよこの街なら女を食い放題でお金までもらえるの?と思ったがそこまで話はうまくない。
この世界の男娼は奴隷落ちした男性がするもので、性欲を高める薬(媚薬)を毎日飲んで強制的に働かされるのだ。しかも副作用で飲むたびに少しずつ寿命が縮むらしい。料金は1回1時間で金貨3~10枚ほど、八割が店で一割が男娼の飯代と衣類代で引かれ、一割が積み立てられる。積み立てで自分を買い戻すらしいが男性の奴隷は高く金貨1000枚くらいすることもあるそうだ。仮に安く買われ必死に稼いでも五年はかかるらしい。
「でも鉱山奴隷にされたりする犯罪女性奴隷は、それこそ数年で死亡したりするからまだマシなもんさね」
「前例はありませんが自分から働きに行けば、カルマさんには借金がないのでいつでもやめられるとは思いますが……」
「マージン取られすぎですよね」
「ですが個人で男娼は娼館に目をつけられたり誘拐や監禁の危険性もありますから」
「たしかに……」
怖っわ。監禁とかそれこそ男娼以下の扱いにされかねんだろう。
「ふむ……なら坊や、冒険者として特別依頼で男娼まがいのことをしてみるのはどうだい?」
「男娼まがい……ですか?」
「あぁそうさ。依頼ってのは本来なら依頼者の要望を冒険者が叶えることで報酬が発生するもんだけどね。依頼者が冒険者の要望を叶えることで報酬を得るのも禁止されてる訳じゃないんだよ。」
「あの……言ってる意味がよくわからないんですけど」
「簡単に言えば『SEX1回金貨2枚 宿代は冒険者持ち』で常設依頼を張り出してやれば女冒険者が寄ってたかってくるよ」
「それって個人で男娼するのと違いはあるんですか?」
「もちろんあるさ。まず冒険者ギルドを介する依頼だから受ける側の身元もわかっている。坊やが失踪すれば依頼を受けたやつが真っ先に調べられる。娼館もギルド相手に因縁をつけることもできないだろうさ。娼館から坊やに勧誘くらいはくるかもしれないけどね」
「そこまでギルドがしてくれる理由は……メリットがあるんですか?」
「その答えも、もちろんあるさね。まず坊やの稼ぎの3割をギルドで貰う。7割は坊やが受け取りな。それでギルドは損はしないだろう。それから坊やは見た目もいいし性欲の強さはステータスが証明してるから期待が持てる……後ね、この街の女はみんな男に飢えてんのさ。それを助けてほしいってのもあるよ」
強い目だった。真っすぐに俺を見つめるギルドマスターの目には、強い意志が感じられた。
どうしようもないと諦めていたところへ現れた希望。そんな風にでも思っているのだろうか。
「わかりました。でもただの男娼の真似ではつまらないでしょう。なにか特典というか……男娼ではできない事、していない事とかないですかね?」
「ふむ……なんかあるかねぇ……」
ギルドマスターと二人で考え込んでいると、ずっと静かにしていた素敵爆乳受付嬢マリーさんが、おずおずと手を挙げる。
「あの……男性と一緒にデ、デ、デートしたり、食事したり、添い寝とか……♡」
マリーさんはそう言い終わると、恥ずかしそうに両手で頬を隠す。
「え?この世界の男性も性欲が弱いだけでデートしたり添い寝は普通にしてくれるんじゃないんですか?」
「他の街は知らないけど、この街の男どもは女と食事したり一緒の部屋に行くと喰われると思ってるからさ。二人っきりって状況は避けるんだよ」
「ならそれを売りにしましょう!」
「ぇえ!?いいんですか!カルマさん!」
「ほう、坊やはそういうことに抵抗はないんかい?」
「私はこの世界の男じゃないですからね。全然平気ですよ。ならそうだな……こういうのはどうです?」
「……ほう、面白いじゃないさ。ならこういうのはどうだい?」
こうして辺境の街を揺るがす、一枚の特別常設依頼が完成する。
「マリーを坊やの専属受付嬢にしてやるよ。これからあんたの業務はこの坊やのスケジュール管理だよ」
「ええええ!?」
「はい!かしこまりました!」
「それから坊や、あんた冒険者登録の途中だったろ。さっさと手続き終わらせちまいな」
「「あ、忘れてた」」
「お馬鹿だねぇ。ついでに今夜、最初のお客さんとしてマリーでしてきな。金はあたしが払ってやるよ」
「「えええええええ!!?」」
「エ、エレオノーラ様!?どういうことですか!?」
「なんだいマリー、あんたも期待してんだろ?それに冒険者が、どの程度の実力があるのか把握するのも専属受付嬢の仕事だろうに」
「じ、じ、じ、実力……ッ!♡」
ほんのりと頬を染めつつ俺に期待のこもった視線を向ける素敵爆乳受付嬢。こんなもん拒否するわけないだろーが!
「わかりました。ではマリーさんが初めてのお客様ですね」
「……よろしくお願いします♡」
「ほら、さっさと登録しちまいな」
「あ、はい!それではカルマさん、先ほどのようにこちらに左手を置いてください」
そう言ってマリーさんがまた例のタブレットを出してくる。え?どこにあったの?持ってたの?
「はい。そしてここに冒険者証をはめて……はい。これで完成です」
冒険者証はドッグタグで、言語理解のスキルでこの世界の文字が読める俺にも読めない、なんらかの文字が浮き出ていた。ご丁寧にネックレスチェーンもついているので首から下げる。
「護衛や討伐などの依頼を受けたり、完遂したときにギルドで手続きをするたびにその冒険者証に情報が記録されます。カルマさんの場合ですと依頼をする側なのであまり使い道はなさそうですが……」
「ところで冒険者ギルドの依頼は冒険者しか受けられないんですよね?マリーさんは受付嬢ですが、私の依頼が受けられるんですか?」
「問題ないさね。マリーはこれでもBランク冒険者だからね」
冒険者ランクはE、D、C、B、A、SとなっていてEとDは駆け出しの初心者。CとBが中堅。AとSがベテランや凄腕というイメージでいいそうだ。ちなみに王都から護衛していたおっさん三人はあれでもBランクらしい。
「ほら、依頼を貼りだして、マリーはちゃんと坊やの実力を体感してくるんだよ」
「体感……♡」
「お世話になりました。ギルドマスター」
「エレオノーラさんでいいよ坊や。あんたにゃ期待してるよ」
「これからもよろしくお願いします。エレオノーラさん」
個室を出てマリーさんと二人で掲示板まで向かう。掲示板は二つあって、討伐や護衛などの単発依頼用。そして素材買い取りなどの常設依頼用だ。マリーさんがその常設依頼板の真ん中にあった依頼をはがし、おい、いいのか?
端っこに貼り直し。可哀そうに……
俺の依頼を真ん中に貼りだした。ど真ん中かよ……少し恥ずかしいな。
「さぁ、カルマさん!行きましょうか!」
「……はい。よろしくお願いしますマリーさん」
俺はマリーさんの手を取りギルドの出入り口へと歩き出した。さて初仕事だ。頑張りますか。
二人が出て行った様子を見ていた冒険者が数人、新しく張り出された依頼へと目を向ける。
「おい……これ……」
「マジか……?マジなのか……?」
「あら……本当かしら。本当だったら面白いのだけれど♡」
そこにはかつて、ここにいる冒険者が見たことのない、ありえない依頼があった。
『 特別常設依頼
依頼主 カルマ
受注者 女性冒険者のみ
デート、食事、添い寝、貴女の希望に応えます!
※宿代、食事代、性行為料金などは全て冒険者負担です。
SEX一回につき金貨三枚お支払い頂きます。
※SEX二回目以降は一回につき金貨二枚のお支払い。
朝から夜までの部 8時~17時
夜から朝までの部 18時~7時
最低時間が三時間以下になる場合は
お断りする場合がございます。
ご予約、ご相談は担当受付嬢マリー=エスタ まで 』
===================
補足説明 貨幣価値について
半銅貨 50円
銅貨 100円
銀貨 1000円
金貨 1万円
大金貨 10万円
王金貨 100万円
銅貨から王金貨までは国が発行。半銅貨は庶民が作ったもので名前の通り半分に割ったもの。貴族や王族は認めてないし使いません。
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