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第二章「気力を取り戻せ!」

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 短い紙芝居でしか出なかった回想シナリオ通り、ククーナは謎の部屋を「何も見なければいいじゃん」精神で偶然見つけ「典型的なゲームあるある」の知識で偶然スイッチを見つけることに成功。
 遂(?)に例のヤバいアイテムを手に入れ、ぐっすり寝ていた。
 
 それはもう、ぐっすりと。
 
 熟睡と言っても過言ではない。
 オマットが来るということすら忘れて……いた訳ではないが覚えているだろうか、彼女は「のんびり待ってる」と言ったのだ。
 怠惰な少女の「のんびり」の程度は平均的なものとは違い、大体約十時間を差す。
 
 朝の七時に寝たということは、午後四時まで寝るつもりで寝たのだろう。
 ククーナの平均など知らぬ彼が約束通り来ると、やはり起きる気配は無かった。
 
 当然彼は困った。
 
(俺はどうすれば……)
 
 しかし、彼女は色々あった二人とは違って何もなかったかのように寝息を立てているので、逆に羨ましく感じたようだ。
 出直してもいいかと思ってはいても昨日の今日だからかついつい起こさぬようベッドに腰を掛け、顔を眺める。
 
 未だに食事量が少ないのか痩せ細っている華奢な手。肌も透き通ったように白く「病弱です」と主張が激しい。
 
 何か食事を持ってくれば良かったかと思考を働かせれば「そういえば」とローブのポケットに目をやる。
 彼は日替わりベリークッキーだけは忘れず常備しているのだ。
 
 これからは食事も持ってくるべきか……と考えながらもなんとなくの思い付きでベリークッキーを嗅がせるオマット。妙な絵面が完成した中、眉を寄せるククーナ。
 
「…………」
 
 もはや小動物へ餌をやろうとしている図にしか見えないが、彼は至って真剣である。
 
 一応、真剣に彼女にクッキーを食べさせようとしている。
 嗅がせすぎた結果、クッキーの破片が鼻へ入り少女は勢いよくくしゃみをした。
 
「──ヒャックシュンッ!」
 
 ティッシュが無い世界の為、彼は自らのハンカチーフで彼女の顔の下半分を押さえ被害を防ぐことに成功した。
 
「……申し訳ない、その……おはよう」
 
 押さえてもらったままずびーっと鼻を噛む。
 令嬢らしからぬ姿に慣れてきてしまった少年も少年だが、婚約者のいないオマットのハンカチーフを鼻水塗れにするなど前例の無い大事件(※異性に渡す場合は主に告白に使われる)は二人が気付かぬ内に流れていく。
 
「……おはようございます。あ、そうそう。見てくださいこれ、悪役になるきっかけの例のブツです」
「そうか、例の──っいつの間に……?」
 
 唖然とする彼の前にククーナは二つの指輪を差し出した。なんてことなさそうに「あ。気を付けてくださいね、これ呪われてる奴なんで」と平然と言いのける彼女に戸惑いを隠せないオマット。
 
 これが悪の道に引き込むものなら相当な代物なのだろう……意を決して、早速ヤバいアイテムへ意識を集中させる。
 
「これは……──何の属性魔法もかけられていないようだが」
「そりゃそうですよ。呪いのアイテムは殿下にしか反応せず、分からないようになってるんです」
 
 魔力制御も天才と呼ばれていた彼ですら分からなかったのだ。これでは、本編でどの登場人物も気付かなかったのは無理もないだろう。
 極め付きは指輪に嵌められているオパール。どこからどう見ても精々、光属性の指輪にしか見えない。
 
「ククーナ嬢や殿下が使えば何か効果が?」
 
 警戒しながら持ち上げ様々な角度から確認していく。何の変哲も無さそうな、強いて言うならば貴族ならではの高そうな指輪というだけ。
 疑問が増えていく一方で彼女は質問に答える。
 
「性格が悪くなる代わりに膨大な魔力を得れます」
 
「……そうか……」
 
 受け答えに行き詰まったオマットは言った。
  
「……とりあえず、殿下に報告しよう……」
 
 喧嘩しているとは言えど、流石にこれを報告しない訳にはいかないだろう……気が滅入りそうな顔を浮かべる彼の頭を容赦なく高速の速さで撫で、撫でまくるククーナ。
 滅入っていた気は早足で逃亡し、疑問符を浮かべている間にも前髪がボサボサに崩されるオマット。
 
 励まし方が雑なのである。
 
 だが彼女の中では丁寧な励ましだったのか、満足げな顔をして「さあ運ぶがよい」と言いたげなポーズをとる。
 真顔で両手を広げて待つククーナにまたしても笑わされ、腹が痛くなったあたりで呼吸を整えた。
 
「っククーナ嬢……、分かっててやってるだろう」
 
「……何がですか?」
 
 全く分からないということは無自覚ということか。
 恐るべしビターミネント公爵家の血筋、などと的外れなことを思い浮かべ、皇太子の部屋まで移動していった。
 移動する前、ついでにクッキーを問答無用で食べさせたのだがベリークッキーは彼女には甘すぎたらしい。酸っぱい顔をして「次回からベリー抜きで」と注文され渋々了承したそうだ。
 
◆◆◆
 
「え? 見つけた? 嘘でしょ……」
 
 こっちが現れるなり警戒心剥き出しだった殿下は、かくかくしかじかの説明文にあらまあびっくり。
 私にだけ態度をころっと変えて今に至る。
 
「へえ……魔法が使えるようになるんだ。それは確かに魅力的だね」
「殿下、しかし悪影響の面が強いことを考えると……」
 
「で、ククーナ嬢はどうしたいって?」
 
 ……一方的に話しかけてくるこの構図、意図してなくとも面倒ゲージがみるみる内に上がる上がる。私は仲介者になんてなりたくない。
 何故そんな効率が悪いことをするんだろう。
 
「面倒だから着けてみますね」
「ちょっと!?」
 
 考えるのが面倒になったので装着。チャキーン。
 心配してオロオロしている二人を見てフッと笑う。面倒な会話をしたのが悪い。
 
 ──……おお……。
 
 何だかふわふわした気分になっていく。
 というより、無性に苛立つ。
 
 けど今なら魔法が使えそう──と思ったけどそれを使うに魔力制御が必要なのが面倒で仕方がないので止めた。
 
「……だ、大丈夫か?」

「んー。無性に物を壊したいような気はしますけどそれって物を持ち上げなきゃいけませんよね? だる」
「っふ」
  
 最近笑わせレベルが上がっている気がする。極めようかな、目指せノヤック笑わせマスター。なんちゃって。
 魔力を練るのも面倒だし壊すってそもそも面倒じゃないですか、と言うと殿下が凍り付く。
 立ち眩みでもしたのか頭を抱えた後、忌々しいものを見るような目付きでこちらを見てくる。
 
「何でそんなに仲良く……君は……」
 
 ──あ、これ駄目な奴。
 
 更なる面倒の襲来が来そうだったので指輪を外してを叩き耳元で「早く帰りましょ」と催促。理由が分からなかったのか困惑した表情をしたまま、彼は立ち往生した。
 
「早く」
「……本当に良いんだな?」

 首を何回も縦に振るという凄まじい労力を使って何とかその場から脱する。
 
 魔法でまた公爵邸に戻ると、流石に理由が知りたくなったのだろう。「訳を聞かせてくれ」とせがまれた。
 仕方ないのでベッドへダイブしてごろごろし、話す気力を溜めていく。思う存分布団の温もりで暖まったので一息ついて一言。
 
「るうじゃない気がしたので」

 ここ最近凄く頑張ってる。
 生きたいとかは全く沸かないけど、頑張って話してる。凄いな私、面倒臭がらずに一回以上話してるなんて。
 己の努力にひれ伏しながら返答を待つ。
 
「……その、気になっていたのだが。ひょっとして貴方の言う『ルー』とは殿下とは別人なのか?」

 当たりです、流石。
 両手を使ってパチパチ鳴らす。
 
「まさか……シルヴィ殿下にも前世があると?」
「はい。反応が弟と酷似していたのでほぼ間違いないかと」
 
 弟、と言ったあたりで絶句。なるほど、だから……と納得してくれたみたいなので良かった。
 このまま寝ようかな、一ヶ月くらい後に頑張ればよくない?
 目を閉じたら「今後のことをきちんと考えないと移動手段、辞めるぞ」と脅してきたので耳を疑って勢いよく跳ねた。
 
「……それだけは……! それだけはご勘弁を……!」 
 車が無い、新幹線も電車もないこの世界で頼れるのは他の人の魔法なのに!
 縋り付いて必死に懇願したら笑われた。
 仕返しですか、そうですか。
 不貞腐れて寝ようと布団に潜ろうとしたら腕を掴まれる。優しく掴んできたのは細すぎるからだろう、こうしてまじまじと顔を見るのは初めてだけど流石攻略対象。私の好みではないけど、観賞向けな美少年だ。
 
「せめてその指輪をどうするかは決めておいた方がいい。それがきっかけで敵対関係になるなら尚更だ」
 
 ……た、確かに。
 利便性が無くなるのはこの便利さを知ってしまった今となっては少し名残惜しいし、まあ、出来ればるうとは和解しておきたい。
 何よりは破棄に協力してくれると言ってくれたので、気力が沸かずとも思考だけでその分は頑張りたい。
 投げ捨てるとか? 壊すとか? 地面に埋める?
 
 思い付く限りのことを提案してみると「全部やってみるか」と言ってくれたのだけど、投げ捨てるのは国の領土内では罰則を受ける可能性が高いのでビターミネント公爵領が妥当だろうとのこと。
 まずは一番早そうな破壊から試してくれるそう。
 
「まあ、この程度の大きさであればそれ程難しくは──」 
 
 親指と人差し指で掴みながら電撃を走らせた。
 数秒間の後、ばちんっと破裂したような音がして指輪が彼の指から弾かれてしまった。
 
「魔法が弾かれた……!?」
 
「やっぱり悪役用だから消せないんですかね、これ」
「い、いや。雷属性が効かないだけかもしれない、他も試そう」
 
 炎、水、風、土と順に試していく。
 でも結果はどれも弾かれるだけだった。
 
 うーん。古代皇帝の呪いだから強すぎるのかも。
 
「……ビターミネント公爵領に行って投げてくる」

 結果が予想出来てしまっているらしく、秒で行って秒で試して帰ってきた。
 
「しっかり投げてきたのに手の中に戻ってたな……これは地面に埋めても戻ってくる可能性が高そうだ」
「凄い強いですね。流石皇帝」
「……皇帝?」
 
「そのアイテムは古代皇帝のペアリングっていう奴で、古代皇帝の呪いがかかってる封印されてたアイテムなんです」
 
 闇属性に適正のある私が開けたことで封印が解けるんですよねーと軽々しく言ったら「闇属性に適正がある? どういうことだ」と問い詰められたので渋々覚えている限りのことを話していく。
 元々私と殿下には闇属性の適正があること、
 はビターミネント公爵家の血を引いておらず皇族(古代皇帝)の血を引いており実質途中からの養女であること、
 ソンナーは古代皇帝の恋人だったメイドの子孫であること。確か、元々メイドの人と付き合ってたのに皇太子になっちゃったとかだったような。
 なかなかに小難しい情報を聴き終えると、コマッタは真剣な表情で下を向く。
 
「……だから婚約者として都合が良いのか……」
「あ、そうなんですか?」
「魔力が無くとも婚約者に置くメリットとしては充分にあり得るからな」
 
 ガーラ帝国は皇族には甘くとも他の者の魔力には厳しく、皇族の婚約者には高い魔力を求めるのだという。
 事前に私が古代皇帝の子孫だと知っていて婚約者にしたのならば、求めているのは魔力ではなくその血筋だろうとは仮説を話してくれた。
 詳しくは分からないが、古代皇帝は早くに死んだ途絶えてしまった血である為、希少価値が高いのだろうと。
 
「闇属性が使えるということは、全属性を使えた可能性もある。それに指輪を着ければククーナ嬢は魔法が使えるようになるんだろう?」
「なるへそ。はい」
「へそ……? まあ、つまり、古代皇帝はそれだけの膨大な魔力を持っていた。この前提があれば、利用価値は計り知れないものだったと考えても何ら不自然ではない」
 
 まあ膨大な魔力という点は指輪にあるし、そうなんだろうなあ。
 話に飽きてきた私が遠い目をし始めたからか結論を言う。
 
「……破壊するには古代皇帝よりも強い魔力が無ければ不可能だ」
 
「あー。じゃあこれはこれで……使うとか?」
「いや、それは……色々と心配になる」
 
 でも折角の魔法。
 壊せないなら使うしか無いような気もする。
 何か方法は無いかと唸ってもなかなか頭が働かない。運動不足からだろうか、それとも食事?
 思考放棄をすれば彼が一つ提案してくれた。
 
「……俺が傍にいる間なら、直接外すことも可能だろう。着けるのはそういう時だけにしないか?」
「あっ良いですねそれ。利便性も最の高、採用」
  
 素晴らしい提案だったので即採用。
 
 呪いのアイテム活用法が決まったところで後日、服がボロボロになったがやって来た。
 事情を聴けば「殿下が何かを言った」ようなんだとか。お陰で居づらくなってしまったらしい、それは大変だ。
 るうがやる嫌がらせ……部下に頼んで自分は何もせずちゃっかりと外堀を埋める水攻め戦法? うわ、言っててあり得そうで困っちゃう。多分そのつもりだ、うわー。
 弟の嫌がらせを受けている友達の図を見るのは辛い。一応姉なので、罪悪感が出てくる。
 
「……そうだ。他国へ行こう」
 
 何処かの旅行へ行こうなノリで思い付いた。
 殿下が落ち着くまで、後私の気力を取り戻すまで他の国にいればいいかもしれない、と。
 
 そうと決まればと利便性が高すぎるに言ってみた。
 
「モモット、暫く二人で他の国に行きましょう」
 
「ああ。ククーナ嬢の励ましにはいつも助けられて──」
 
 案の定、現実を受け入れられずに思考を停止したようである。
 見事に台詞の途中で口を開けたまま時が止まったように動かない。一旦間を置いて、静かに先程の言葉を理解したようだった。
 
「……んっ?」
 
 
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