4 / 11
俺がお前を好きだから問題ない
しおりを挟むハルカはとっても恥ずかしがりやだから、俺が抱き着くとそっぽを向いてしまう。
ぎゅうぎゅう抱き締めすぎると、ハルカの身体を傷つけてしまいそうだから、これでも結構加減してるんだけど。
きっと分かってくれてはいない。
バスの中で痴漢に遭ってたハルカの身体を無理やり引っ張って俺の腕の中に囲った。
小さくてすっぽりと治まるからこれまた困る。
「ハルカ~。なぁ、ハルカってば~。」
ハルカに名前を呼ばれたくて、何度も何度も俺がハルカを呼ぶ。
俺がハルカを呼ぶ10回に1回でも、ハルカが俺を呼んでくれたらいいな、って健気にも思う。
ま、今まで何度俺の名前を呼んでくれただろうか。数えたら右手だけで事足りそうだけど。
分かってたさ、分かってた。
ハルカに一方的に想いを寄せてるって事も。
ハルカが俺を怖がっている事も。
分かってたって、俺がハルカを諦める事なんてあり得ない。
そんな未来なんて認めない。
それだけ俺がハルカに夢中って事だ。
俺の傍にはハルカがいて欲しい。
だからハルカを手放さない。
至極当然の理由だ。
「ハ・ル・カ。こっち向かないんなら、襲ってもいい?」
他の乗客に聞こえないように、囲った腕の中で大人しくしているハルカの耳に小声で言ってやる。
そうするとビクッてするんだ。か~わいい。
ああ、ハルカが俺の事ちょっとでも好きだったらなぁ。
ほんの少しでいいから、俺が傍にいても良いって思ってくれてたらなぁ。
そしたら、やっぱり押せ押せで。
ずっとハルカを離したりしないのに。
「ハルカ、こっち向いて?襲ってもいいのかよ?」
一応、確認。
プルプル震えてる癖に、嫌って言わないのは初めてだ。
「どうした?ハルカ。襲われてもいいのかよ?」
「いいわけないだろっ。」
「じゃ、なんで嫌って言わないんだよ。」
「言った!嫌って言った!でもお前聞いてなかったの!」
いつ言ったんだよ、聞いてねぇ。
小声で応酬してやれば、
だから強引な男は嫌なんだよっ。
って吐き捨てるようにハルカが言うから、結局俺はまたハルカを抱き締めてしまう。
「離せって、離せっ。こんな所で止めろって。」
何を言われても、ハルカの声で言われたら、可愛いしかない。
「可愛いっ、可愛いっ。俺のハルカは可愛いっ。」
「誰がお前のだっ。ばかっ。本当に離せっ。やめてくれっ。」
ほーら、ずっと抱き締めてたら涙目になっちゃった。
本当に、ハルカは可愛い。
これは違う線から攻めてもいいかな。
俺から離れないように、繋ぎとめてもいいよな。
そう思って、さらにぎゅうぎゅうに抱き締めた。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説

黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
熱しやすく冷めやすく、軽くて重い夫婦です。
七賀ごふん
BL
【何度失っても、日常は彼と創り出せる。】
──────────
身の回りのものの温度をめちゃくちゃにしてしまう力を持って生まれた白希は、集落の屋敷に閉じ込められて育った。二十歳の誕生日に火事で家を失うが、彼の未来の夫を名乗る美青年、宗一が現れる。
力のコントロールを身につけながら、愛が重い宗一による花嫁修業が始まって……。
※シリアス
溺愛御曹司×世間知らず。現代ファンタジー。
表紙:七賀

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

黒の騎士と銀の少年
マメ
BL
元男娼のルディは酒場で働いていた。
ある日、酔っぱらいに絡まれたルディは、ルディが目的で通っていたと思われる怪しい男に助けられ、そのお礼にと身体を差し出す事になった。
すると男は、「あなたは前世で自分の主人で、自分はあなたの従者だった」と不思議な事を言ってきて……。
騎士×元男娼
小説になろう(ムーンライトノベルス)に掲載している作品です
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる