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おまえに一目惚れしたっ
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とにかく好きすぎるあいつのことが。
ああ、何であんなに可愛いんだっ。
あのピンク色の唇。今すぐにしゃぶりつきたい。
ああっ、何であんなに細い腰してんだ。同じ男だろ。
脚のラインも絶妙すぎる。色っぽいだろ、本当に。
それになんて言ったって堪らないのはあの目元にちょんってついてる黒子だよな。
あれエロすぎる。
あんなの犯罪一歩手前だ。
** **
タイガはどうしようもない想いを持て余していた。
入学式で見かけた一人の青年をどうしようもなく好いてしまったからだ。
桜の木の下で一人で立っていたその青年は。
桜と同じような桃色の髪の色をして、サラサラと風になびくその桃色の髪と散っていく桜の花びらが、
一人で舞を踊っているように見えて、本当に綺麗だった。
それから、タイガはその男に近づいて、無言でぎゅっと抱き締めた。
驚いたのは、抱き締められた方だ。
ただ立っていただけなのに、背後から突然抱き締められるなんて、痴漢以外の何ものでもない。
そして、美貌の青年は、その美貌ゆえ、今まで同じような恐慌に遭遇したことが何度かあった。
幼い頃から「そういう時は、大きな声を出して周りに助けを求めるのよ」と、母から何度も言い聞かされてきた。
だから、ハルカは言いつけ通りに大きな声で助けを呼んだ。
「誰かっ! 痴漢だっ! 助けてくれっ!」
大きな声にハルカを抱き締めていた腕は一瞬ピクリと動いたが、タイガの心は、叫ばれた言葉ではなくハルカの少し枯れたハスキーな声に心が震えていたのだ。
なんて可愛い声なんだっ。
ちょっと掠れた所が、色っぽくてそそられる。
それに、この抱き締めた身体。
ちっちゃくて、細くて、抱き潰したくてたまらないっ。
タイガの身体はハルカの身体に興奮してきていた。
だって、腕の中で暴れるハルカの身体は、その体格差からちょうどタイガの大事な部分にお尻を擦りつけるような状態になっていたから。
さすがに、今はマズい。
このままハルカを抱き締め続け、どうにも言い訳の出来ない状態になって周りに引き離されるのは不本意だ。
それに、俺は決して『痴漢』なんかじゃない。
この子を愛してる男だ。
タイガは思い込みの強い男だったが、思い込みと同じように力も強い男だった。
「騒ぐなよ。俺の腕の中で騒いだりしたら、どうなるか分かるか。」
ハルカの抵抗する身体を力ずくで押さえつけ、耳元で囁きかけてやると腕の中で暴れ叫んでいた身体が怯え震えるのがタイガの身体に伝わった。
「俺はタイガ。おまえの名前は?」
「・・・。」
「痴漢じゃねぇよ。第一、ここは高校の敷地内だろ。おまえと同じ一年だって。」
それを聞いても、ハルカの恐怖心が収まる事はない。
だって、羽交い締めしている男は未だに自分の身体を離そうとはしないし。
耳元で脅しのように言われた言葉もまだ脳裏で響いてるから。
「なぁ、おまえの名前、聞いてるんだけど。」
「・・・・・・・・。」
出来る事なら、タイガには自分の名前を教えたくない、
というより近づきたくない。
傍に寄りたくない。
逃げ出したい。
「ふ~ん、そんな態度でいいのかなぁ。ここでおまえにキスしてもいいんだぜ。いや、キスして欲しいって事か。よし、キスしてやるっ。」
勝手に決めないで!
タイガは力技でハルカの頭をググッとこちらに向けると、顔を寄せてきた。
本気でキスをする気らしい。
「ハッ、ハルカッ。俺ハルカっていうんだっ。」
何とか逃れようと自分の名前を言ったというのに。
「ハルカ・・・。俺の恋人・・・。」
と思い込みの激しい男は、そのままハルカにむちゅぅっとキスをした。
恋人じゃねぇ!!
ああ、何であんなに可愛いんだっ。
あのピンク色の唇。今すぐにしゃぶりつきたい。
ああっ、何であんなに細い腰してんだ。同じ男だろ。
脚のラインも絶妙すぎる。色っぽいだろ、本当に。
それになんて言ったって堪らないのはあの目元にちょんってついてる黒子だよな。
あれエロすぎる。
あんなの犯罪一歩手前だ。
** **
タイガはどうしようもない想いを持て余していた。
入学式で見かけた一人の青年をどうしようもなく好いてしまったからだ。
桜の木の下で一人で立っていたその青年は。
桜と同じような桃色の髪の色をして、サラサラと風になびくその桃色の髪と散っていく桜の花びらが、
一人で舞を踊っているように見えて、本当に綺麗だった。
それから、タイガはその男に近づいて、無言でぎゅっと抱き締めた。
驚いたのは、抱き締められた方だ。
ただ立っていただけなのに、背後から突然抱き締められるなんて、痴漢以外の何ものでもない。
そして、美貌の青年は、その美貌ゆえ、今まで同じような恐慌に遭遇したことが何度かあった。
幼い頃から「そういう時は、大きな声を出して周りに助けを求めるのよ」と、母から何度も言い聞かされてきた。
だから、ハルカは言いつけ通りに大きな声で助けを呼んだ。
「誰かっ! 痴漢だっ! 助けてくれっ!」
大きな声にハルカを抱き締めていた腕は一瞬ピクリと動いたが、タイガの心は、叫ばれた言葉ではなくハルカの少し枯れたハスキーな声に心が震えていたのだ。
なんて可愛い声なんだっ。
ちょっと掠れた所が、色っぽくてそそられる。
それに、この抱き締めた身体。
ちっちゃくて、細くて、抱き潰したくてたまらないっ。
タイガの身体はハルカの身体に興奮してきていた。
だって、腕の中で暴れるハルカの身体は、その体格差からちょうどタイガの大事な部分にお尻を擦りつけるような状態になっていたから。
さすがに、今はマズい。
このままハルカを抱き締め続け、どうにも言い訳の出来ない状態になって周りに引き離されるのは不本意だ。
それに、俺は決して『痴漢』なんかじゃない。
この子を愛してる男だ。
タイガは思い込みの強い男だったが、思い込みと同じように力も強い男だった。
「騒ぐなよ。俺の腕の中で騒いだりしたら、どうなるか分かるか。」
ハルカの抵抗する身体を力ずくで押さえつけ、耳元で囁きかけてやると腕の中で暴れ叫んでいた身体が怯え震えるのがタイガの身体に伝わった。
「俺はタイガ。おまえの名前は?」
「・・・。」
「痴漢じゃねぇよ。第一、ここは高校の敷地内だろ。おまえと同じ一年だって。」
それを聞いても、ハルカの恐怖心が収まる事はない。
だって、羽交い締めしている男は未だに自分の身体を離そうとはしないし。
耳元で脅しのように言われた言葉もまだ脳裏で響いてるから。
「なぁ、おまえの名前、聞いてるんだけど。」
「・・・・・・・・。」
出来る事なら、タイガには自分の名前を教えたくない、
というより近づきたくない。
傍に寄りたくない。
逃げ出したい。
「ふ~ん、そんな態度でいいのかなぁ。ここでおまえにキスしてもいいんだぜ。いや、キスして欲しいって事か。よし、キスしてやるっ。」
勝手に決めないで!
タイガは力技でハルカの頭をググッとこちらに向けると、顔を寄せてきた。
本気でキスをする気らしい。
「ハッ、ハルカッ。俺ハルカっていうんだっ。」
何とか逃れようと自分の名前を言ったというのに。
「ハルカ・・・。俺の恋人・・・。」
と思い込みの激しい男は、そのままハルカにむちゅぅっとキスをした。
恋人じゃねぇ!!
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