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DT in ガール!?
7話「今、売りに行きます」
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レンシア魔術学院、大陸の僻地にあるどこの国家にも属さない街にあるという学校。
教育レベルは高く、各国の魔法騎士のほとんどがここの卒業生だという。
ルーナさんもその一人だそうだ。
入学金さえ払えば何歳からでも入学ができ、入学金は一人金貨5枚。
この異世界のお金は、銅貨100枚分で銀貨1枚、銀貨100枚分で金貨1枚。
大体こんな感じだ。
俺のお小遣い程度では到底足りない。
ルーナさんは冒険者稼業でお金を貯めたという。
冒険者・・・・・・俺に出来るだろうか。
聞けば、試験に合格さえすれば誰でもなれ、年齢制限もない。
あからさまに実力が無ければ門前払いだそうだが。
また、家族や師が冒険者であれば、その見習いとして登録することも出来るらしい。
こちらは試験は必要ない。
「ルーナさん、私は試験に合格できるでしょうか?」
俺の質問にルーナさんは即答する。
「出来ます。ただし、試験を受けさせてもらえればの話ですけれど。」
確かに、自分みたいな子供だと相手にもされないだろう。
どうしたものかと首をひねって考える。
するとルーナさんがそんな俺に口を開く。
「フフッ、助言をあげましょう。」
「お願いします、ルーナさん。」
だがその助言はとんでもないものだった。
「まずは夕方ぐらいにギルドに行きなさい。仕事から戻ってきた冒険者が沢山いますからね。そして受付で登録申請、当然断られます。」
ふむふむ、と頷く。
ルーナさんが続ける。
「そうすれば酒癖の悪い冒険者が一人や二人、からかいに寄ってくるでしょう。そいつらをぶっ飛ばしてやりなさい。」
唖然としてルーナさんを見つめる。
「私はそれで冒険者になりました。」
そう言ってルーナさんは悪戯っぽく笑った。
「貴方も魔術学院を目指すのですね、アリス。」
「はい、姉と一緒に行こうと思います。時間は掛かるかもしれませんが。」
むしろこの異世界に来て行かないという選択肢はない。
それに、魔法を極めるなら行くべきだろう。
もしかしたら皆が使っている”魔法”を使えない理由も分かるかもしれない。
フィーだってどんな道を歩むにしろ、そんな学校を卒業すれば将来有利になるはずだ。
「フフフ、全く貴方は面白いわ。そうね、私も手伝いましょう。」
そう言って、ルーナさんは俺の作った剣を抜く。
「貴方、これを売りに出す気は無いかしら?」
「それ・・・・・・土で作ったやつですよ?」
言うなれば、ただの土の塊・・・・・・良く言っても精々が粘土細工である。
「ええ、それでも欲しい人は大金を出すわ。二人分の入学金を払ってもお釣りが来るぐらいのね。」
「それは嬉しいのですが、私の事はあまり・・・・・・。」
口外はしないで欲しい。
確かに俺はチート的な魔力を持っているし、魔力操作で色んな事が出来る。
だが、それだけ。
身体能力も魔力で強化しなければ何処にでも居る、ただの幼女なのだ。
魔法少女も変身しなければ普通の女の子というわけである。
「分かりました。貴女の事は秘密にします。どうしますか、アリス?」
確かにお金は欲しい、それに元手はタダ、失敗したとしても在庫は土に戻せばいいだけで、痛手は無い。
「何本作ればいいですか?」
「そうね、20もあれば足りるでしょう。」
1本銀貨50枚とかで売る気なのか?
どんだけボる気なんだこの人。
「10本は貴方達が使っているもの、5本は私のと同じもの、あと5本は・・・・・・貴方がこっそり作っていたようなのがいいわ。」
確かに実用性皆無の中二病全開のをたまに隠れて作っている。
使った後は土に戻していたのだが、見られていたようだ。恥ずかしい。
それから剣を作る作業に入った。
ルーナさんに乗せられ、形の違う中二病全開の剣を20本、総計35本も作ってしまった。
「あとは・・・・・・そうね、貴方達の入学金を除いて、余った分から旅費を戴くわ。弟子から旅行の贈り物なんて嬉しいわね。」
「そ、それは構いませんが・・・・・・こんなので本当にお金が・・・・・・?」
ルーナさんが口に手を当てて笑う。
「フフ、これでも顔は広いのよ、任せておきなさい。」
ここまで言うのだ、信じてみよう。
「そんなに大金になるなら一つお願いがあります。」
「あら、何かしら?」
「入学金にはニーナさんの分も含めておいてください。」
フィーも友達が一緒なら安心だろう。
一瞬固まった後ルーナさんがガバっと抱きついてくる。
「ちょっ、ルーナさん!?」
「貴方という子は・・・・・・。より一層頑張らないといけないようですね・・・・・・。」
それからしばらくの間、ルーナさんは解放してくれなかった。
数日後、ルーナさんは剣を売るため、荷車を馬で引いて旅立って行った。
教育レベルは高く、各国の魔法騎士のほとんどがここの卒業生だという。
ルーナさんもその一人だそうだ。
入学金さえ払えば何歳からでも入学ができ、入学金は一人金貨5枚。
この異世界のお金は、銅貨100枚分で銀貨1枚、銀貨100枚分で金貨1枚。
大体こんな感じだ。
俺のお小遣い程度では到底足りない。
ルーナさんは冒険者稼業でお金を貯めたという。
冒険者・・・・・・俺に出来るだろうか。
聞けば、試験に合格さえすれば誰でもなれ、年齢制限もない。
あからさまに実力が無ければ門前払いだそうだが。
また、家族や師が冒険者であれば、その見習いとして登録することも出来るらしい。
こちらは試験は必要ない。
「ルーナさん、私は試験に合格できるでしょうか?」
俺の質問にルーナさんは即答する。
「出来ます。ただし、試験を受けさせてもらえればの話ですけれど。」
確かに、自分みたいな子供だと相手にもされないだろう。
どうしたものかと首をひねって考える。
するとルーナさんがそんな俺に口を開く。
「フフッ、助言をあげましょう。」
「お願いします、ルーナさん。」
だがその助言はとんでもないものだった。
「まずは夕方ぐらいにギルドに行きなさい。仕事から戻ってきた冒険者が沢山いますからね。そして受付で登録申請、当然断られます。」
ふむふむ、と頷く。
ルーナさんが続ける。
「そうすれば酒癖の悪い冒険者が一人や二人、からかいに寄ってくるでしょう。そいつらをぶっ飛ばしてやりなさい。」
唖然としてルーナさんを見つめる。
「私はそれで冒険者になりました。」
そう言ってルーナさんは悪戯っぽく笑った。
「貴方も魔術学院を目指すのですね、アリス。」
「はい、姉と一緒に行こうと思います。時間は掛かるかもしれませんが。」
むしろこの異世界に来て行かないという選択肢はない。
それに、魔法を極めるなら行くべきだろう。
もしかしたら皆が使っている”魔法”を使えない理由も分かるかもしれない。
フィーだってどんな道を歩むにしろ、そんな学校を卒業すれば将来有利になるはずだ。
「フフフ、全く貴方は面白いわ。そうね、私も手伝いましょう。」
そう言って、ルーナさんは俺の作った剣を抜く。
「貴方、これを売りに出す気は無いかしら?」
「それ・・・・・・土で作ったやつですよ?」
言うなれば、ただの土の塊・・・・・・良く言っても精々が粘土細工である。
「ええ、それでも欲しい人は大金を出すわ。二人分の入学金を払ってもお釣りが来るぐらいのね。」
「それは嬉しいのですが、私の事はあまり・・・・・・。」
口外はしないで欲しい。
確かに俺はチート的な魔力を持っているし、魔力操作で色んな事が出来る。
だが、それだけ。
身体能力も魔力で強化しなければ何処にでも居る、ただの幼女なのだ。
魔法少女も変身しなければ普通の女の子というわけである。
「分かりました。貴女の事は秘密にします。どうしますか、アリス?」
確かにお金は欲しい、それに元手はタダ、失敗したとしても在庫は土に戻せばいいだけで、痛手は無い。
「何本作ればいいですか?」
「そうね、20もあれば足りるでしょう。」
1本銀貨50枚とかで売る気なのか?
どんだけボる気なんだこの人。
「10本は貴方達が使っているもの、5本は私のと同じもの、あと5本は・・・・・・貴方がこっそり作っていたようなのがいいわ。」
確かに実用性皆無の中二病全開のをたまに隠れて作っている。
使った後は土に戻していたのだが、見られていたようだ。恥ずかしい。
それから剣を作る作業に入った。
ルーナさんに乗せられ、形の違う中二病全開の剣を20本、総計35本も作ってしまった。
「あとは・・・・・・そうね、貴方達の入学金を除いて、余った分から旅費を戴くわ。弟子から旅行の贈り物なんて嬉しいわね。」
「そ、それは構いませんが・・・・・・こんなので本当にお金が・・・・・・?」
ルーナさんが口に手を当てて笑う。
「フフ、これでも顔は広いのよ、任せておきなさい。」
ここまで言うのだ、信じてみよう。
「そんなに大金になるなら一つお願いがあります。」
「あら、何かしら?」
「入学金にはニーナさんの分も含めておいてください。」
フィーも友達が一緒なら安心だろう。
一瞬固まった後ルーナさんがガバっと抱きついてくる。
「ちょっ、ルーナさん!?」
「貴方という子は・・・・・・。より一層頑張らないといけないようですね・・・・・・。」
それからしばらくの間、ルーナさんは解放してくれなかった。
数日後、ルーナさんは剣を売るため、荷車を馬で引いて旅立って行った。
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