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支配人は公休日でも仕事目線です。
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次の行先はシーサイド。駐車場に車を停めた後は、ショッピングモールが建ち並ぶ場所へと歩き出した。
「夜は近くのレストランを予約してあるから、この辺で行きたい場所があれば良いんだけど…」
「特にないです!」
「特にないって断言されても、俺が困る…」
「私は一颯さんとお散歩したいです。ちょっと歩きませんか?」
「いいよ。………ほら、手を出して」
「繋いでも……良いの?」
何も言わずに頷き、何も言わずに右手を掴まれる。一颯さんの骨ばった指に私の右手が包まれる。
九月中旬でも残暑厳しく、陽射しも強くいが、どことなく吹いてくる風は少しだけ秋の訪れを感じさせるような気がした。
汗ばんできた手の平を離そうとしても、一颯さんは離してはくれないので…変わらずに握りしめた。
「毎日忙しく働いているから、たまにはこういう風に散歩してみるのも良いもんだな」
「そうですね。景色を見ながらゆっくり過ごすのも癒されますね」
海を眺めながら散歩をして、途中でテイクアウトをしたドリンクを飲みながら歩く。海岸に行って、サンダルの中に砂が入ってしまうのもお構いなしに、手で海水に触れてみたりした。
その後はショッピングモールに戻り、涼みながらのショッピング。上司と部下の関係なんて忘れ去って、純粋に恋人同士の時間を楽しんだ。
「お昼代も出して頂いたのに…ネックレスまでプレゼントして頂き、有難う御座います!」
首元にはキラリと光るネックレス。雑誌で見て気になっていたネックレスを通りがけに見つけてしまい、釘付けになった私。そんな私に気付き、すかさず店内へと連れて行かれてアクセサリーブランドのハートを基調とした可愛らしいネックレスをプレゼントしてくれた。
「かしこまらないで、甘えてくれて良いから。普段は忙しく働いているご褒美だと思って受け取って。それに食事代とか、お前に払わせようとか思ってないからな。気にするな」
一颯さんは歩いてる途中にも関わらず、私の肩を抱き寄せ、頭がコツンと肩の辺りにぶつかった。
「恵里奈が傍に居てくれるだけで俺は幸せだから…」
耳元で囁かれた言葉がとても甘くて、私の顔は火照りを帯びるばかり。
職場では見せない一颯さんの素性を沢山知っているが、本当に私の事を甘やかしているのが自分でも分かる。公衆の面前だと言うのに手を繋いでくれたり、気になっていたアクセサリーをその場でプレゼントしてくれたり、まるでドラマのワンシーンみたいな扱い。自惚れてしまうのだが、本当に愛されていると確信してしまう。
こんなに幸せで良いのかな?
「……一颯さんって、意外にロマンチストなんですね」
「何で?」
「手を繋いでくれたり、今もほら…くっついて歩いてるじゃないですか…。女の子ならキュンキュンしちゃうような事をしてくれるから…」
「んー…?、そぉ?俺が勝手にしてるだけだよ…。てゆーか、恵里奈…走れるか?」
「え…、あ、はい。でも、な、」
一颯さんは私の右手を掴み、人を掻き分けて走り出した。ショッピングモールから出て、先程の散歩道へと逆戻り。
「…っはぁ、ひっ、さしぶりに走ったら、息切れ…です。何故走ったのですか?まさか、職場の方が居ましたか?」
息も途切れ途切れの中、私は問いかける。買い物している間に夕方になって、海の風が少しだけ汗ばんだ身体に心地好く通り過ぎて行く。
「うん、まぁ、…そんなところ。ごめんな、急に走らせて」
「大丈夫です。一颯さんの立場上、見つかったら大変ですもんね」
「別にそんな事は気にしないんだけど…そういう事じゃないんだ。もう忘れて」
ポンポンと頭を軽く叩かれて、再び、手を繋がれる。「忘れて」と言われたので、これ以上は詮索するのはよそう。きっと一颯さんの事情が何かあったのだろう……。
私は久しぶりに走ったせいで心臓がまだドキドキしているのに一颯さんは平然としている。
「一颯さんは学生時代に何かスポーツしてましたか?」
「うん、陸上部だった。短距離と高跳びを掛け持ちしてた」
「なるほど。納得しました」
一颯さんは陸上部のエースだったに違いない。想像すると楽しいけれど、女の子達が一颯さんに群がる姿は想像したくないな。
夕方の砂浜を歩いた後、夕食は海岸近くのホテル内のレストランに移動した。
「いらっしゃいませ、真壁様」
窓際の予約席に案内されると夜景がキラキラと光輝いていた。
「残念ながら運転なのでノンアルコールのメニューをお願いします。こちらには甘めのシャンパンを」
「かしこまりました」
ドレスコードはないみたいだけど、フレンチなのかな?ナイフとフォーク以外にもお箸も置いてあるから創作料理?
「恵里奈、アラカルトにするか、コースにするか、どっちでも好きな方にして」
「一颯さんにお任せします」
「じゃあコースにしようか?何が良い?」
「えっと…えっと…。一颯さんにお任せします」
差し出されたメニューを眺めても、どれも気になってしまう。普段は食べられない美味しそうな料理の数々。
「優柔不断な奴め。それなら、別々のコースを注文しよう」
一颯さんはテキパキと注文し、気になった料理の内容まで聞いていた。
「夜は近くのレストランを予約してあるから、この辺で行きたい場所があれば良いんだけど…」
「特にないです!」
「特にないって断言されても、俺が困る…」
「私は一颯さんとお散歩したいです。ちょっと歩きませんか?」
「いいよ。………ほら、手を出して」
「繋いでも……良いの?」
何も言わずに頷き、何も言わずに右手を掴まれる。一颯さんの骨ばった指に私の右手が包まれる。
九月中旬でも残暑厳しく、陽射しも強くいが、どことなく吹いてくる風は少しだけ秋の訪れを感じさせるような気がした。
汗ばんできた手の平を離そうとしても、一颯さんは離してはくれないので…変わらずに握りしめた。
「毎日忙しく働いているから、たまにはこういう風に散歩してみるのも良いもんだな」
「そうですね。景色を見ながらゆっくり過ごすのも癒されますね」
海を眺めながら散歩をして、途中でテイクアウトをしたドリンクを飲みながら歩く。海岸に行って、サンダルの中に砂が入ってしまうのもお構いなしに、手で海水に触れてみたりした。
その後はショッピングモールに戻り、涼みながらのショッピング。上司と部下の関係なんて忘れ去って、純粋に恋人同士の時間を楽しんだ。
「お昼代も出して頂いたのに…ネックレスまでプレゼントして頂き、有難う御座います!」
首元にはキラリと光るネックレス。雑誌で見て気になっていたネックレスを通りがけに見つけてしまい、釘付けになった私。そんな私に気付き、すかさず店内へと連れて行かれてアクセサリーブランドのハートを基調とした可愛らしいネックレスをプレゼントしてくれた。
「かしこまらないで、甘えてくれて良いから。普段は忙しく働いているご褒美だと思って受け取って。それに食事代とか、お前に払わせようとか思ってないからな。気にするな」
一颯さんは歩いてる途中にも関わらず、私の肩を抱き寄せ、頭がコツンと肩の辺りにぶつかった。
「恵里奈が傍に居てくれるだけで俺は幸せだから…」
耳元で囁かれた言葉がとても甘くて、私の顔は火照りを帯びるばかり。
職場では見せない一颯さんの素性を沢山知っているが、本当に私の事を甘やかしているのが自分でも分かる。公衆の面前だと言うのに手を繋いでくれたり、気になっていたアクセサリーをその場でプレゼントしてくれたり、まるでドラマのワンシーンみたいな扱い。自惚れてしまうのだが、本当に愛されていると確信してしまう。
こんなに幸せで良いのかな?
「……一颯さんって、意外にロマンチストなんですね」
「何で?」
「手を繋いでくれたり、今もほら…くっついて歩いてるじゃないですか…。女の子ならキュンキュンしちゃうような事をしてくれるから…」
「んー…?、そぉ?俺が勝手にしてるだけだよ…。てゆーか、恵里奈…走れるか?」
「え…、あ、はい。でも、な、」
一颯さんは私の右手を掴み、人を掻き分けて走り出した。ショッピングモールから出て、先程の散歩道へと逆戻り。
「…っはぁ、ひっ、さしぶりに走ったら、息切れ…です。何故走ったのですか?まさか、職場の方が居ましたか?」
息も途切れ途切れの中、私は問いかける。買い物している間に夕方になって、海の風が少しだけ汗ばんだ身体に心地好く通り過ぎて行く。
「うん、まぁ、…そんなところ。ごめんな、急に走らせて」
「大丈夫です。一颯さんの立場上、見つかったら大変ですもんね」
「別にそんな事は気にしないんだけど…そういう事じゃないんだ。もう忘れて」
ポンポンと頭を軽く叩かれて、再び、手を繋がれる。「忘れて」と言われたので、これ以上は詮索するのはよそう。きっと一颯さんの事情が何かあったのだろう……。
私は久しぶりに走ったせいで心臓がまだドキドキしているのに一颯さんは平然としている。
「一颯さんは学生時代に何かスポーツしてましたか?」
「うん、陸上部だった。短距離と高跳びを掛け持ちしてた」
「なるほど。納得しました」
一颯さんは陸上部のエースだったに違いない。想像すると楽しいけれど、女の子達が一颯さんに群がる姿は想像したくないな。
夕方の砂浜を歩いた後、夕食は海岸近くのホテル内のレストランに移動した。
「いらっしゃいませ、真壁様」
窓際の予約席に案内されると夜景がキラキラと光輝いていた。
「残念ながら運転なのでノンアルコールのメニューをお願いします。こちらには甘めのシャンパンを」
「かしこまりました」
ドレスコードはないみたいだけど、フレンチなのかな?ナイフとフォーク以外にもお箸も置いてあるから創作料理?
「恵里奈、アラカルトにするか、コースにするか、どっちでも好きな方にして」
「一颯さんにお任せします」
「じゃあコースにしようか?何が良い?」
「えっと…えっと…。一颯さんにお任せします」
差し出されたメニューを眺めても、どれも気になってしまう。普段は食べられない美味しそうな料理の数々。
「優柔不断な奴め。それなら、別々のコースを注文しよう」
一颯さんはテキパキと注文し、気になった料理の内容まで聞いていた。
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