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支配人は公休日でも仕事目線です。
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日に日に好きになって、一颯さんの恋の罠から抜け出せなくなった。曖昧な関係にも終わりが来て、お互いの気持ちが通じ合い、晴れて恋人になったのだ。
リゾートホテルから移動して来た時には想像も出来なかった輝かしい世界が、私の目の前に広がっている。
「……じろじろ見るな。視線を感じて余所見してしまうから」
信号待ちの時、頭をコツンとグーで軽く叩かれて一颯さんに怒られた。
自分だって、時々、私の事をチラチラ見てるくせに私は駄目だなんて理不尽過ぎる。怒られても、運転する一颯さんが格好良すぎて見てて飽きないんだもの。
「一颯さんが運転してるのを見てるのが好きなんです」
「……何で?」
「何で?って…、格好良いから」
「……そんな事言われたのは初めてだな」
一颯さんは少し間を置いて笑いながら、私の頭をクシャクシャと左手で撫でる。信号が青に変わり、再び車は走り出した。
周りの景色が過ぎて行く中、話を交わさない時の車内は静まりかえっている。一颯さんの車内は良い香りが漂っているけれど、外気音以外は無音かラジオなのだ。
前回も前々回も車内は無音かラジオだった。もしかしたら一颯さんは静かなままで車を運転するのが好きなのかな?
「一颯さんって音楽とかかけないんですか?」
「あー、…うん。かけない訳じゃないけど…恵里奈が好きな曲かけていいよ」
車のサイドポケットに入れられていたスマホをポイッと私の太ももの上に投げて、スマホのアプリミュージックから探してと言われた。
好きな曲と言われましても…悩む。
「一颯さんは好きなバンドとか居ます?」
「流行りの曲は知らない。聞いてる暇ないし…。恵里奈とは5つは歳が離れているんだから趣味も合わないかもしれないし…」
「5つなんて大して離れてないと思いますけど?」
「そう?5つも離れてれば、少しはギャップを感じるものだろう」
一颯さんは察するに趣味が合わないかも?と気にして、曲を流さなかったのかもしれない。
私は一颯さんに言われた通りに操作して、スマホアプリから曲を流した。
「恵里奈、このバンド好きなの?」
「はい、CMで聞いてから好きになりました」
「……実は俺も好き。恵里奈の好みが分からなかったから、かけなかっただけでダウンロードした曲とかカーナビの中のSDに入ってるよ」
「そっち、かけましょ」
一颯さん、隠していただけで今時のバンド知ってたじゃない。
「一颯さんも初めから言ってくれたら良かったのに!」
「だーかーらー、恵里奈に受け入れられなかったらって思ったら言えなかったんだって!」
「いつもは強引なのに、こんな事は躊躇するんですね」と言って私が笑いながら話すと一颯さんは「…っるさい!」と言って頬が赤くなった。
少しずつだけれども、一颯さんの事を知れて嬉しい。
二人の好きなバンドの曲を流しながらのドライブはとても新鮮。
そう言えば、彼氏の車に乗せてもらうなんて事が今までなかった。元カレは同じホテルで働いて居たけれど、車なんて持ってなかった。
一颯さんは年上で上司、同期だった元カレとは年齢も立場も違うし、何より顔立ちが綺麗で聡明な男性。
思い返して見れば一颯さんとお付き合いしている事は、私にとっては好条件過ぎて奇跡に近い。一生に一度、運命の人に会えるのだとしたら一颯さんが良い。今はもう、他の誰かじゃなくて、一颯さんじゃなきゃ…駄目なんだ。
一颯さんと結婚出来たら毎晩、料理を作って帰って来るのを待って、一颯さん似のイケメンな男の子が産まれちゃったりして…、子供が産まれても私の事も忘れずに大切にしてくれて、それから……。
「恵里奈、もうすぐ着く。降りる準備して」
「……は、はいっ!」
「……っぷ、何でニヤついてるの?」
「に、ニヤついてなんていません!」
去り行く景色を見ながらの妄想が広がりすぎて、顔に出ていたらしい。そんな私を横目で見た一颯さんが吹き出した。
「お前は本当に見てて飽きないよ」
「けなしてるんですか?」
「けなしてるんじゃなくて見てて可愛いから飽きないって言ってるんだよ」
声を出して笑っている一颯さんにつられて、私も笑う。一颯さんは職場ではあまり笑わないから、私の前では自然体で居てくれて嬉しい。
冷酷、鬼軍曹、仕事の鬼とか色々言われているけれど、本当の一颯さんは強引なくせに指摘されると照れてしまう可愛い一面がある。私はそのギャップが凄く好きなのだ。
リゾートホテルから移動して来た時には想像も出来なかった輝かしい世界が、私の目の前に広がっている。
「……じろじろ見るな。視線を感じて余所見してしまうから」
信号待ちの時、頭をコツンとグーで軽く叩かれて一颯さんに怒られた。
自分だって、時々、私の事をチラチラ見てるくせに私は駄目だなんて理不尽過ぎる。怒られても、運転する一颯さんが格好良すぎて見てて飽きないんだもの。
「一颯さんが運転してるのを見てるのが好きなんです」
「……何で?」
「何で?って…、格好良いから」
「……そんな事言われたのは初めてだな」
一颯さんは少し間を置いて笑いながら、私の頭をクシャクシャと左手で撫でる。信号が青に変わり、再び車は走り出した。
周りの景色が過ぎて行く中、話を交わさない時の車内は静まりかえっている。一颯さんの車内は良い香りが漂っているけれど、外気音以外は無音かラジオなのだ。
前回も前々回も車内は無音かラジオだった。もしかしたら一颯さんは静かなままで車を運転するのが好きなのかな?
「一颯さんって音楽とかかけないんですか?」
「あー、…うん。かけない訳じゃないけど…恵里奈が好きな曲かけていいよ」
車のサイドポケットに入れられていたスマホをポイッと私の太ももの上に投げて、スマホのアプリミュージックから探してと言われた。
好きな曲と言われましても…悩む。
「一颯さんは好きなバンドとか居ます?」
「流行りの曲は知らない。聞いてる暇ないし…。恵里奈とは5つは歳が離れているんだから趣味も合わないかもしれないし…」
「5つなんて大して離れてないと思いますけど?」
「そう?5つも離れてれば、少しはギャップを感じるものだろう」
一颯さんは察するに趣味が合わないかも?と気にして、曲を流さなかったのかもしれない。
私は一颯さんに言われた通りに操作して、スマホアプリから曲を流した。
「恵里奈、このバンド好きなの?」
「はい、CMで聞いてから好きになりました」
「……実は俺も好き。恵里奈の好みが分からなかったから、かけなかっただけでダウンロードした曲とかカーナビの中のSDに入ってるよ」
「そっち、かけましょ」
一颯さん、隠していただけで今時のバンド知ってたじゃない。
「一颯さんも初めから言ってくれたら良かったのに!」
「だーかーらー、恵里奈に受け入れられなかったらって思ったら言えなかったんだって!」
「いつもは強引なのに、こんな事は躊躇するんですね」と言って私が笑いながら話すと一颯さんは「…っるさい!」と言って頬が赤くなった。
少しずつだけれども、一颯さんの事を知れて嬉しい。
二人の好きなバンドの曲を流しながらのドライブはとても新鮮。
そう言えば、彼氏の車に乗せてもらうなんて事が今までなかった。元カレは同じホテルで働いて居たけれど、車なんて持ってなかった。
一颯さんは年上で上司、同期だった元カレとは年齢も立場も違うし、何より顔立ちが綺麗で聡明な男性。
思い返して見れば一颯さんとお付き合いしている事は、私にとっては好条件過ぎて奇跡に近い。一生に一度、運命の人に会えるのだとしたら一颯さんが良い。今はもう、他の誰かじゃなくて、一颯さんじゃなきゃ…駄目なんだ。
一颯さんと結婚出来たら毎晩、料理を作って帰って来るのを待って、一颯さん似のイケメンな男の子が産まれちゃったりして…、子供が産まれても私の事も忘れずに大切にしてくれて、それから……。
「恵里奈、もうすぐ着く。降りる準備して」
「……は、はいっ!」
「……っぷ、何でニヤついてるの?」
「に、ニヤついてなんていません!」
去り行く景色を見ながらの妄想が広がりすぎて、顔に出ていたらしい。そんな私を横目で見た一颯さんが吹き出した。
「お前は本当に見てて飽きないよ」
「けなしてるんですか?」
「けなしてるんじゃなくて見てて可愛いから飽きないって言ってるんだよ」
声を出して笑っている一颯さんにつられて、私も笑う。一颯さんは職場ではあまり笑わないから、私の前では自然体で居てくれて嬉しい。
冷酷、鬼軍曹、仕事の鬼とか色々言われているけれど、本当の一颯さんは強引なくせに指摘されると照れてしまう可愛い一面がある。私はそのギャップが凄く好きなのだ。
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