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糖度13*彼氏の実家にお邪魔しました
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会長ご夫妻と有澄が口論している間に私と日下部さんが話をしていたのだけれど、その様子を見ていた社長が気にかける。
余計な詮索される様な爆弾発言をしないで下さい!
「同期入社だから友達みたいなものです」
「そうね、同期だったわね。それにしても同期って懐かしい響きだわ」
日下部さんの一言で丸く収まった様で、胸を撫で下ろした。
私が気付かなかっただけで、日下部さんって分かりやすい人なのかな?
社長にも怪しまれていたとは・・・。
私にも反省すべき点はあると思う。
何気なく取っていた行動や言動が思わせぶりな態度に見られていて、他人にも勘違いをされているのかもしれない。
私は今まで通りに接したいけれど、日下部さんにとってはどうなんだろう。
「そろそろ、口直しをお持ちしましょうか…?」
しばしの歓談が続き、料理も食べ尽くした頃に染野さんがニコニコしながら食器を下げに入って来た。
相良さんもお手伝いしているので私も立とうとしたら、染野さんが「ゆかりさんはお客様なんですから座っていて下さい」と止めに入る。
「いや、でも…」
自分の実家では、食べ終わった食器類は自分で下げるのが決まりだからか、人様に下げてもらう事には慣れてない。
お手伝いさんがいるお家は下げなくても良いのかな?・・・でも、なんだか落ち着かない。
「ごちそうさまでした。すみません…」
「いえいえ、染野にお任せ下さい!お客様に運ばせたら、奥様に怒られちゃいますから。それじゃなくてもお料理をお手伝いいただいて…」
頑なに下げる事を拒否されたので、黙って座っていることにした。
食器が下げ終わり、食事に和菓子と緑茶が運ばれた。
「サツマイモと小豆のきんつばです。ゆかりさんと一緒に作ったんですよ。手際が良くて、お料理も上手そうなので申し分ないお嬢様ですね」
「あっ、例の裏ごしがきんつばになった訳ね」
「左様でございます」
社長が感心した様に、サツマイモの裏ごししたものがきんつばになった話を聞いている。
裏ごししたサツマイモは茶巾にでもするのかな?と思ったら、きんつばにすると言われたので興味深く、お手伝いをするのが楽しかった。
「母さんは裏ごしも知らなかったし、料理も出来ないけど…ゆかりは毎日、料理を作ってくれるよ」
「まぁ、それは良かったわね。でも、有澄、毎日って…ゆかりちゃんに無理させて寄らせてるんじゃないでしょうね?」
「……それは否定出来ない」
「ごめんなさいね、ゆかりちゃん。有澄も寂しい子だから、かまってあげてね」
社長の言葉に一瞬ドキリとしたけれど、半同棲生活はバレなくて良かった。
私は言葉を発さず、微笑んでうなづいた。
話の合間にきんつばを食べてみると、サツマイモと小豆が絶妙なバランスで入っていて、程良く甘くて美味しい。
有澄は実家に住んでいる時は、毎日の様に美味しいものを食べていたんだろうと思うと、お料理を頑張らなくちゃ!と思わずにはいられなかった。
「彩子(あやこ)、そろそろ話したらどうだ?それとも、私から話そうか?」
お爺様が気を利かせて、話を軌道修正する。
「そうね…。これから大事な話をするわ。今後についてよ」
遠回りしてきた大事な話だったが、ついに明かされる事になった。
皆が静まり返り、社長は少しずつ話し出した。
まず初めに語られたのが日下部さんの出生に感してだった。
会長が経営する花野井グループの本社に勤務していた日下部さんの父と社長が出会い、恋をして結婚。
しかし社長が彩羽コーポレーションを設立してからはすれ違いが続き、離婚。
日下部さんの父は女性には家庭に入って欲しかったらしく、お互いの意見も合わなくなり、喧嘩も多かったみたい。
離婚してから2年後に現在のお父様と再婚、有澄を身もごる。
「私はね、敷かれたレールに乗せられるのが嫌で興味があった雑貨屋とカフェをオープンさせたのよ。上手く軌道に乗ったけど、家事と育児の出来ない私に嫌気がさして、花野井の婿養子だった日下部は出ていったの。
郁弥も『お父さんが心配』だって言って私は1人ぼっちになったの。そんな時に出会ったのが有澄の父の香坂よ」
花野井グループは主に首都圏に店舗のある花野井百貨店、花野井不動産の2つに分かれる。
彩羽コーポレーションは独立した会社なので、現在は徐々に拡大中。
日下部さんの父と離婚しなければ、花野井グループの時期会長は長い目で見て日下部さんのはずだった。
「私はね、有澄も郁弥も大貴も皆、可愛いのよ。会長達も同じ様に思っているわ。…だから、皆に資産を分散したいのよ」
話の中では、有澄は約束の5年後には花野井グループに勤務する事になり、最終的には会長にまで上り詰めなくてはならない存在。
相良さんについても同じで有澄について行き、サポートをしながら行く行くは役員職に就任して貰う考え。
日下部さんには彩羽コーポレーションを継いで貰うか、独自の系列会社を作って貰うか・・・という考えがあるそうだ。
余計な詮索される様な爆弾発言をしないで下さい!
「同期入社だから友達みたいなものです」
「そうね、同期だったわね。それにしても同期って懐かしい響きだわ」
日下部さんの一言で丸く収まった様で、胸を撫で下ろした。
私が気付かなかっただけで、日下部さんって分かりやすい人なのかな?
社長にも怪しまれていたとは・・・。
私にも反省すべき点はあると思う。
何気なく取っていた行動や言動が思わせぶりな態度に見られていて、他人にも勘違いをされているのかもしれない。
私は今まで通りに接したいけれど、日下部さんにとってはどうなんだろう。
「そろそろ、口直しをお持ちしましょうか…?」
しばしの歓談が続き、料理も食べ尽くした頃に染野さんがニコニコしながら食器を下げに入って来た。
相良さんもお手伝いしているので私も立とうとしたら、染野さんが「ゆかりさんはお客様なんですから座っていて下さい」と止めに入る。
「いや、でも…」
自分の実家では、食べ終わった食器類は自分で下げるのが決まりだからか、人様に下げてもらう事には慣れてない。
お手伝いさんがいるお家は下げなくても良いのかな?・・・でも、なんだか落ち着かない。
「ごちそうさまでした。すみません…」
「いえいえ、染野にお任せ下さい!お客様に運ばせたら、奥様に怒られちゃいますから。それじゃなくてもお料理をお手伝いいただいて…」
頑なに下げる事を拒否されたので、黙って座っていることにした。
食器が下げ終わり、食事に和菓子と緑茶が運ばれた。
「サツマイモと小豆のきんつばです。ゆかりさんと一緒に作ったんですよ。手際が良くて、お料理も上手そうなので申し分ないお嬢様ですね」
「あっ、例の裏ごしがきんつばになった訳ね」
「左様でございます」
社長が感心した様に、サツマイモの裏ごししたものがきんつばになった話を聞いている。
裏ごししたサツマイモは茶巾にでもするのかな?と思ったら、きんつばにすると言われたので興味深く、お手伝いをするのが楽しかった。
「母さんは裏ごしも知らなかったし、料理も出来ないけど…ゆかりは毎日、料理を作ってくれるよ」
「まぁ、それは良かったわね。でも、有澄、毎日って…ゆかりちゃんに無理させて寄らせてるんじゃないでしょうね?」
「……それは否定出来ない」
「ごめんなさいね、ゆかりちゃん。有澄も寂しい子だから、かまってあげてね」
社長の言葉に一瞬ドキリとしたけれど、半同棲生活はバレなくて良かった。
私は言葉を発さず、微笑んでうなづいた。
話の合間にきんつばを食べてみると、サツマイモと小豆が絶妙なバランスで入っていて、程良く甘くて美味しい。
有澄は実家に住んでいる時は、毎日の様に美味しいものを食べていたんだろうと思うと、お料理を頑張らなくちゃ!と思わずにはいられなかった。
「彩子(あやこ)、そろそろ話したらどうだ?それとも、私から話そうか?」
お爺様が気を利かせて、話を軌道修正する。
「そうね…。これから大事な話をするわ。今後についてよ」
遠回りしてきた大事な話だったが、ついに明かされる事になった。
皆が静まり返り、社長は少しずつ話し出した。
まず初めに語られたのが日下部さんの出生に感してだった。
会長が経営する花野井グループの本社に勤務していた日下部さんの父と社長が出会い、恋をして結婚。
しかし社長が彩羽コーポレーションを設立してからはすれ違いが続き、離婚。
日下部さんの父は女性には家庭に入って欲しかったらしく、お互いの意見も合わなくなり、喧嘩も多かったみたい。
離婚してから2年後に現在のお父様と再婚、有澄を身もごる。
「私はね、敷かれたレールに乗せられるのが嫌で興味があった雑貨屋とカフェをオープンさせたのよ。上手く軌道に乗ったけど、家事と育児の出来ない私に嫌気がさして、花野井の婿養子だった日下部は出ていったの。
郁弥も『お父さんが心配』だって言って私は1人ぼっちになったの。そんな時に出会ったのが有澄の父の香坂よ」
花野井グループは主に首都圏に店舗のある花野井百貨店、花野井不動産の2つに分かれる。
彩羽コーポレーションは独立した会社なので、現在は徐々に拡大中。
日下部さんの父と離婚しなければ、花野井グループの時期会長は長い目で見て日下部さんのはずだった。
「私はね、有澄も郁弥も大貴も皆、可愛いのよ。会長達も同じ様に思っているわ。…だから、皆に資産を分散したいのよ」
話の中では、有澄は約束の5年後には花野井グループに勤務する事になり、最終的には会長にまで上り詰めなくてはならない存在。
相良さんについても同じで有澄について行き、サポートをしながら行く行くは役員職に就任して貰う考え。
日下部さんには彩羽コーポレーションを継いで貰うか、独自の系列会社を作って貰うか・・・という考えがあるそうだ。
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