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糖度6*年明け1日目のお仕事
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「こ、うさかくん…もう…いやぁ…」
香坂君は、まるで意地悪をしているかの様に私に刺激を与え続ける。
「名前で呼んでみて?そしたら止めてあげるかも…?」
「…あ、りとく…ん…」
「"君"づけじゃ駄目。ちゃんと呼んでみて?」
「…っ、ありと…。有澄!」
息も絶え絶えの私に対して、香坂君…いや、有澄は余裕がある。
「はい、良く出来ました!…ゆかり、大好きだよ」
"ゆかり"───初めて呼び捨てで呼ばれた。
名前の呼び捨ては特別感がある。
呼び慣れない又は呼ばれ慣れないとくすぐったくはあるけれど、凄く嬉しい。
───甘美なひと時が終わっても、パジャマを着ずにベッドでゴロゴロしていた。
私は有澄に腕枕をしてもらって、お互いの顔が見えるように横向きで寝転がる。
「ゆかり…可愛いすぎる!目はトロンとしてるし、ほっぺはほんのり赤いし。本当に可愛くて食べちゃいたいくらい」
「…いっつも有澄ばっかり余裕で嫌だ…」
私がつぶやくと有澄が、
「余裕がないから、毎日したくなるし…俺だけしか見れない可愛い顔も見たいから意地悪も沢山しちゃうし…。ゆかりに身体の負担をかけちゃいけないって思うけど…いざとなったら我慢出来なくてごめんなさい…」
と話して、急に落ち込んだかの様に見えた。
そんな有澄に心がキュンとして私からキスをした。
深く深く、貪る様なキスに変わった時にはもう午前1時を過ぎていた───・・・・・・
*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚
「ゆかり、ヤバイ、7時過ぎてたっ」
「…んっ…。分かった…」
私はまだ眠かったので重い瞼をこすりながら、無理矢理に布団から出ようとする。
身体が全体的にダルいし、腰も痛い。
「…いたたっ」
立ち上がろうとしたら、毛布が足に絡まり、ベッドから転げ落ちる。
「…っぷ!あはは、何してるの!?」
落ちた様子が視界に入った有澄は笑ってるけれど、私は背中と腰もぶつけたから痛いんだってば!
「ゆかり、ほら立って!」
笑いながらも手を差し伸べる所は、王子様が健在していた。
「今日はさ、時間ないから駅前のお店で朝ごはんにしよっ」
いつもなら二人で朝ごはんを食べてから会社へと向かうのだが、今日は私が寝坊して朝ごはんを作る時間が取れないので駅前のファーストフード店に寄ることにした。
「洋服とか置いておけば良いのに…」
「うーん…入れ替えしたりしたいし、駅のロッカーに入れとくね」
バタバタと急いで用意をして、駅へと向かう。
「ゆかりの荷物…結構重いね。いつもコレ持って家まで往復してたの?」
「アレもコレも詰めてたら、結局重くなっちゃって…」
有澄が私の着替えとかが入った旅行バックを持ってくれて駅まで歩く。
今度からはカートの方が楽だから、そっちにしよう。
「いっその事、引越ししてくればいいじゃん?」
「……そのうち、ね?」
半同棲生活になってしまっていたけれど、このままズルズルとしていて良いのかな?
あんまり居すぎたら飽きられてしまうんじゃないかな?
楽しいだけで流された様に半同棲生活に近い事をしていたけれど、付き合ってまだ3ヶ月にもならないし、今後の事を考えてみよう。
会えない日々は寂しいけれど、これからも有澄と一緒に居られる様に───・・・・・・
「ゆかりは紅茶にする?」
「うん、ミルクティにしたい」
ファーストフード店は座る場所もなく混んでいたので、直ぐ近くにあるパン屋さんに入った。
スーツを来てパンを頬張る有澄を見ると、新鮮な感じにドキドキする。
「…見られてると食べにくい」
「…ご、ごめんなさいっ」
私はパンを手に持ったまま見入ってしまった様で、有澄が照れて頬が赤くなる。
「そうだ、言ってなかったと思うけど…来月、部長とブライダルフェア行くの。もちろん、仕事だけど…」
「二人で行くの?」
カフェオレに砂糖を入れて、乱雑にクルクルかき混ぜながら横目で見られる。
絶対、機嫌悪くなったパターンだな。
「二人なら行かないよ。同期の子と彼氏も行くよ」
「そっか、なら安心」
「……?香坂君が心配する事は何もないよ」
日下部さんとは"何もなかった"とは完全に言いきれないけれど、今度は綾美と高橋さんも一緒だから"何もない"よ。
「香坂君じゃなくて、有澄でしょ」
ヤキモチ妬いて拗ねてる・・・?
「ヤキモチ妬いてる…?」
「だいぶ、ね。仕事とは言え、ブライダルフェアに部長と行くのは何か嫌だ…」
「有澄のキャバクラよりはマシだよ」
「……やっぱり、根に持ってんじゃん!」
根に持ってる・・・というよりは、私もヤキモチ妬いただけ。
知らない間に知らない人と過ごす───職場が違えば当たり前の事だけれども、見えない分、余計な勘ぐりを始めてしまう。
「またね、有澄」
私達はパン屋さんを出て、駅の改札で別れる。
小振りに手を振るスーツ姿の有澄がカッコ可愛い感じで、いつまでも眺めていたい気分。
有澄は今、何の仕事をしているんだろう?
どこに向かうのだろう?
名残り惜しくなってしまうので後ろを振り返らず、ホームへ向かう。
日下部さんから"社長の息子"だと聞いたけれど、
本人が話してくれるまで信じて待つ───・・・・・・
「朝から何してるんだ?」
会社付近の駅に着き、コインロッカーにボストンバックをしまっていると日下部さんが通りかかり、嫌な場面を見られた!
「見たら分かるでしょ!コインロッカーに閉まってるんです」
小銭を投入し、鍵をかけながら話す。
「部長は何してるんです?早く会社に行ったら?」
こつん。
頭を軽く叩かれたが、時計が当たって少し痛かった。
「お前は超余裕そうだけど、もう9時過ぎてるからな。俺は一旦会社に行って、これから外出するから通りかかっただけだ」
9時過ぎてるの・・・!?
まだ大丈夫だと思ってた。
コインロッカー寄ったからだ、かと言って職場に大荷物は持って行けないし・・・。
「…全くどうしようもないな、お前は。浮ついてんじゃない」
「はいはい、すみませんでした。秋葉、会社向かいマース」
日下部さんの前から逃げる様に立ち去り、足早に会社に向かう。
去り際に大きなため息が聞こえた様な気がしたけれど、聞こえないふりをした。
歩いて向かう途中に少しずつ、お腹が痛くなってきた。
女の子の日が来た、と思われる。
有澄に話しておいて良かった。
会社に着いたら、とりあえずは鎮痛剤飲もう───・・・・・・
香坂君は、まるで意地悪をしているかの様に私に刺激を与え続ける。
「名前で呼んでみて?そしたら止めてあげるかも…?」
「…あ、りとく…ん…」
「"君"づけじゃ駄目。ちゃんと呼んでみて?」
「…っ、ありと…。有澄!」
息も絶え絶えの私に対して、香坂君…いや、有澄は余裕がある。
「はい、良く出来ました!…ゆかり、大好きだよ」
"ゆかり"───初めて呼び捨てで呼ばれた。
名前の呼び捨ては特別感がある。
呼び慣れない又は呼ばれ慣れないとくすぐったくはあるけれど、凄く嬉しい。
───甘美なひと時が終わっても、パジャマを着ずにベッドでゴロゴロしていた。
私は有澄に腕枕をしてもらって、お互いの顔が見えるように横向きで寝転がる。
「ゆかり…可愛いすぎる!目はトロンとしてるし、ほっぺはほんのり赤いし。本当に可愛くて食べちゃいたいくらい」
「…いっつも有澄ばっかり余裕で嫌だ…」
私がつぶやくと有澄が、
「余裕がないから、毎日したくなるし…俺だけしか見れない可愛い顔も見たいから意地悪も沢山しちゃうし…。ゆかりに身体の負担をかけちゃいけないって思うけど…いざとなったら我慢出来なくてごめんなさい…」
と話して、急に落ち込んだかの様に見えた。
そんな有澄に心がキュンとして私からキスをした。
深く深く、貪る様なキスに変わった時にはもう午前1時を過ぎていた───・・・・・・
*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚
「ゆかり、ヤバイ、7時過ぎてたっ」
「…んっ…。分かった…」
私はまだ眠かったので重い瞼をこすりながら、無理矢理に布団から出ようとする。
身体が全体的にダルいし、腰も痛い。
「…いたたっ」
立ち上がろうとしたら、毛布が足に絡まり、ベッドから転げ落ちる。
「…っぷ!あはは、何してるの!?」
落ちた様子が視界に入った有澄は笑ってるけれど、私は背中と腰もぶつけたから痛いんだってば!
「ゆかり、ほら立って!」
笑いながらも手を差し伸べる所は、王子様が健在していた。
「今日はさ、時間ないから駅前のお店で朝ごはんにしよっ」
いつもなら二人で朝ごはんを食べてから会社へと向かうのだが、今日は私が寝坊して朝ごはんを作る時間が取れないので駅前のファーストフード店に寄ることにした。
「洋服とか置いておけば良いのに…」
「うーん…入れ替えしたりしたいし、駅のロッカーに入れとくね」
バタバタと急いで用意をして、駅へと向かう。
「ゆかりの荷物…結構重いね。いつもコレ持って家まで往復してたの?」
「アレもコレも詰めてたら、結局重くなっちゃって…」
有澄が私の着替えとかが入った旅行バックを持ってくれて駅まで歩く。
今度からはカートの方が楽だから、そっちにしよう。
「いっその事、引越ししてくればいいじゃん?」
「……そのうち、ね?」
半同棲生活になってしまっていたけれど、このままズルズルとしていて良いのかな?
あんまり居すぎたら飽きられてしまうんじゃないかな?
楽しいだけで流された様に半同棲生活に近い事をしていたけれど、付き合ってまだ3ヶ月にもならないし、今後の事を考えてみよう。
会えない日々は寂しいけれど、これからも有澄と一緒に居られる様に───・・・・・・
「ゆかりは紅茶にする?」
「うん、ミルクティにしたい」
ファーストフード店は座る場所もなく混んでいたので、直ぐ近くにあるパン屋さんに入った。
スーツを来てパンを頬張る有澄を見ると、新鮮な感じにドキドキする。
「…見られてると食べにくい」
「…ご、ごめんなさいっ」
私はパンを手に持ったまま見入ってしまった様で、有澄が照れて頬が赤くなる。
「そうだ、言ってなかったと思うけど…来月、部長とブライダルフェア行くの。もちろん、仕事だけど…」
「二人で行くの?」
カフェオレに砂糖を入れて、乱雑にクルクルかき混ぜながら横目で見られる。
絶対、機嫌悪くなったパターンだな。
「二人なら行かないよ。同期の子と彼氏も行くよ」
「そっか、なら安心」
「……?香坂君が心配する事は何もないよ」
日下部さんとは"何もなかった"とは完全に言いきれないけれど、今度は綾美と高橋さんも一緒だから"何もない"よ。
「香坂君じゃなくて、有澄でしょ」
ヤキモチ妬いて拗ねてる・・・?
「ヤキモチ妬いてる…?」
「だいぶ、ね。仕事とは言え、ブライダルフェアに部長と行くのは何か嫌だ…」
「有澄のキャバクラよりはマシだよ」
「……やっぱり、根に持ってんじゃん!」
根に持ってる・・・というよりは、私もヤキモチ妬いただけ。
知らない間に知らない人と過ごす───職場が違えば当たり前の事だけれども、見えない分、余計な勘ぐりを始めてしまう。
「またね、有澄」
私達はパン屋さんを出て、駅の改札で別れる。
小振りに手を振るスーツ姿の有澄がカッコ可愛い感じで、いつまでも眺めていたい気分。
有澄は今、何の仕事をしているんだろう?
どこに向かうのだろう?
名残り惜しくなってしまうので後ろを振り返らず、ホームへ向かう。
日下部さんから"社長の息子"だと聞いたけれど、
本人が話してくれるまで信じて待つ───・・・・・・
「朝から何してるんだ?」
会社付近の駅に着き、コインロッカーにボストンバックをしまっていると日下部さんが通りかかり、嫌な場面を見られた!
「見たら分かるでしょ!コインロッカーに閉まってるんです」
小銭を投入し、鍵をかけながら話す。
「部長は何してるんです?早く会社に行ったら?」
こつん。
頭を軽く叩かれたが、時計が当たって少し痛かった。
「お前は超余裕そうだけど、もう9時過ぎてるからな。俺は一旦会社に行って、これから外出するから通りかかっただけだ」
9時過ぎてるの・・・!?
まだ大丈夫だと思ってた。
コインロッカー寄ったからだ、かと言って職場に大荷物は持って行けないし・・・。
「…全くどうしようもないな、お前は。浮ついてんじゃない」
「はいはい、すみませんでした。秋葉、会社向かいマース」
日下部さんの前から逃げる様に立ち去り、足早に会社に向かう。
去り際に大きなため息が聞こえた様な気がしたけれど、聞こえないふりをした。
歩いて向かう途中に少しずつ、お腹が痛くなってきた。
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