25 / 73
糖度6*年明け1日目のお仕事
2
しおりを挟む
───午前中の仕事が終わり、今は社員食堂でランチタイム。
「…でね、お正月は実家に帰ったから高橋君とは会わなくて、今日久しぶりに会ったの」
午後からエリアマネージャーと同行の為、サンドウィッチを急いで頬張りながら話す綾美。
「高橋さんと上手くいってるんだね」
「…そぉだね。今までで一番堅実な人だし、同じ会社だからいつでも会えるしね。旅行も一緒に行きたいけど、有給が一緒に取れるか分からないから…一人で行くかも?」
「一人で?どこに行く予定?」
綾美は行動派なので、思い立ったら即行動で一人でも関係なしに旅行に行ったりする。
「決めてないけど…国内でもいっかなぁ。帰りに旅行会社のパンフ貰うよ…。と、もう用意しなきゃヤバイ!ごちそうさま、またね、ゆかり」
13時丁度に本社待ち合わせらしく、慌てて職場に戻る綾美に別れを告げると、私は一人でのんびりしていた。
綾美と高橋さんは順調に交際をしているらしく、微笑ましい。
高橋さんは良い人そうだし、今までで一番、綾美を大切にしてくれると思う。
「あれ?綾美さん行っちゃいました?」
「はい、ついさっきですけど…。午後から同行みたいで」
惜しくも時間差で現れたのは高橋さんだった。
いつの間にか、"杉野さん"から"綾美さん"に呼び方が変わっていて指摘したかったけれども、そっとしておこう。
「そうですか…。お昼ご一緒してもいいですか?席が空いてなくて…」
「どうぞ。私も綾美が居なくて退屈してましたので…」
綾美が居なくなり、私はひとりきりで4人掛けの席に座っていた。
肩身が狭かったので高橋さんが来てくれて良かった。
・・・と思ったのは束の間で、高橋さんの姿を見つけて着いてきた男が一人。
「珍しいな、弁当」
いつもの事ながら勝手に同じテーブルの椅子に座り、私のお弁当の唐揚げをつまみ食いしたので私は呆気にとられる。
「生姜しか入ってないから上手い。ニンニクの入った唐揚げは苦手」
日下部さんの好みなど聞いてません。
香坂君が今日はお弁当を希望したので作っただけで、私一人だったら簡単に済ませたいから社員食堂のランチにする。
仕事にニンニク入りはまずいかな・・・との配慮で生姜と醤油、酒で味付けしただけの唐揚げ。
お弁当も作るとなると新婚生活みたいで嬉しいし、楽しいしで気合も入る。
おかずは全て手作り。
普段は自分の為にはやらない分、我ながら良く頑張った。
「…日下部さんは勝手につまみ食いしてますけど、許可なく食べないで!」
「別にいいじゃん。1個食べただけだろ?」
「おかずなくなるでしょ!」
「じゃあ、コレやるよ。今日は抹茶プリンだって」
・・・A定食に付いてきた抹茶プリン、自分が食べないからでしょ。
私に甘い物あげとけばご機嫌取れると思ったら大間違いだからね!(・・・でも、あながち間違えではない)
「そうだ、高橋。2月の第一日曜日は暇だろ?」
今の言い方で私も高橋さんも同じ扱いを受けているのを確信した。
絶対的に暇だと決めつける、その根拠は何なの?
「暇じゃないです。綾美さんと出かけるかもしれないし」
戸惑いもせずにキッパリと断った高橋さんは男らしく見えた。
日下部さんには言い訳は通用しないので、扱い方を知っている様な気がした。
その調子で、もっと何か言って!
「そうか、残念だったな。杉野と俺と秋葉と一緒に出かける予定だったし。高橋は行かないのか…なら仕方ないか!」
な、何なんだろう、その意地悪な返事の仕方は・・・。
高橋さんがB定食に付いてきた煮物の里芋を箸でつまんだが、困惑していて食べる気がおきなくなったのか、里芋を皿に戻してから箸をトレーに置く。
「え…?どういう事?何で日下部さんと秋葉さんと三人で出かけるの?」
日下部さんは性格が歪んでいるのか、困惑する高橋さんを見て嬉しそうに笑っている。
「春からブライダルに参入するので、ブライダルフェアにお呼ばれしたんですよ。日下部さんも素直に"綾美も行くから一緒に行こう"って言えないんですか?」
私は抹茶プリンを食べながら、日下部さんにつっけんどんに言う。
私と二人きりにならない様に二人を誘ったのかもしれないが、高橋さんを応援したい気持ちも健在していただろうから、それならそうとストレートに誘えば良いのに。
高橋さんの為にって見透かされたくなくて上手く誘えなかったのか、単にからかいたかっただけなのか・・・。
「そうなんですか…!もちろん、行きます」
高橋さんの目がキラキラと輝いて見える。
綾美と一緒に出かける事がよっぽど嬉しいのだろう。
「じゃぁ、交代で運転な!」
「まさか…それが目的じゃ…」
喜びに満ちている高橋さんにとどめの一撃を放ち、優越感に浸っているかの様な日下部さんは本当に性格が悪いと思う。
『レンタカーを借りようか?』とは言っていたが、まさか高橋さんにも運転させるとは思わなかった。
高橋さんの言った"目的"も誘う理由の中の正解の一部だろう。
「…でね、お正月は実家に帰ったから高橋君とは会わなくて、今日久しぶりに会ったの」
午後からエリアマネージャーと同行の為、サンドウィッチを急いで頬張りながら話す綾美。
「高橋さんと上手くいってるんだね」
「…そぉだね。今までで一番堅実な人だし、同じ会社だからいつでも会えるしね。旅行も一緒に行きたいけど、有給が一緒に取れるか分からないから…一人で行くかも?」
「一人で?どこに行く予定?」
綾美は行動派なので、思い立ったら即行動で一人でも関係なしに旅行に行ったりする。
「決めてないけど…国内でもいっかなぁ。帰りに旅行会社のパンフ貰うよ…。と、もう用意しなきゃヤバイ!ごちそうさま、またね、ゆかり」
13時丁度に本社待ち合わせらしく、慌てて職場に戻る綾美に別れを告げると、私は一人でのんびりしていた。
綾美と高橋さんは順調に交際をしているらしく、微笑ましい。
高橋さんは良い人そうだし、今までで一番、綾美を大切にしてくれると思う。
「あれ?綾美さん行っちゃいました?」
「はい、ついさっきですけど…。午後から同行みたいで」
惜しくも時間差で現れたのは高橋さんだった。
いつの間にか、"杉野さん"から"綾美さん"に呼び方が変わっていて指摘したかったけれども、そっとしておこう。
「そうですか…。お昼ご一緒してもいいですか?席が空いてなくて…」
「どうぞ。私も綾美が居なくて退屈してましたので…」
綾美が居なくなり、私はひとりきりで4人掛けの席に座っていた。
肩身が狭かったので高橋さんが来てくれて良かった。
・・・と思ったのは束の間で、高橋さんの姿を見つけて着いてきた男が一人。
「珍しいな、弁当」
いつもの事ながら勝手に同じテーブルの椅子に座り、私のお弁当の唐揚げをつまみ食いしたので私は呆気にとられる。
「生姜しか入ってないから上手い。ニンニクの入った唐揚げは苦手」
日下部さんの好みなど聞いてません。
香坂君が今日はお弁当を希望したので作っただけで、私一人だったら簡単に済ませたいから社員食堂のランチにする。
仕事にニンニク入りはまずいかな・・・との配慮で生姜と醤油、酒で味付けしただけの唐揚げ。
お弁当も作るとなると新婚生活みたいで嬉しいし、楽しいしで気合も入る。
おかずは全て手作り。
普段は自分の為にはやらない分、我ながら良く頑張った。
「…日下部さんは勝手につまみ食いしてますけど、許可なく食べないで!」
「別にいいじゃん。1個食べただけだろ?」
「おかずなくなるでしょ!」
「じゃあ、コレやるよ。今日は抹茶プリンだって」
・・・A定食に付いてきた抹茶プリン、自分が食べないからでしょ。
私に甘い物あげとけばご機嫌取れると思ったら大間違いだからね!(・・・でも、あながち間違えではない)
「そうだ、高橋。2月の第一日曜日は暇だろ?」
今の言い方で私も高橋さんも同じ扱いを受けているのを確信した。
絶対的に暇だと決めつける、その根拠は何なの?
「暇じゃないです。綾美さんと出かけるかもしれないし」
戸惑いもせずにキッパリと断った高橋さんは男らしく見えた。
日下部さんには言い訳は通用しないので、扱い方を知っている様な気がした。
その調子で、もっと何か言って!
「そうか、残念だったな。杉野と俺と秋葉と一緒に出かける予定だったし。高橋は行かないのか…なら仕方ないか!」
な、何なんだろう、その意地悪な返事の仕方は・・・。
高橋さんがB定食に付いてきた煮物の里芋を箸でつまんだが、困惑していて食べる気がおきなくなったのか、里芋を皿に戻してから箸をトレーに置く。
「え…?どういう事?何で日下部さんと秋葉さんと三人で出かけるの?」
日下部さんは性格が歪んでいるのか、困惑する高橋さんを見て嬉しそうに笑っている。
「春からブライダルに参入するので、ブライダルフェアにお呼ばれしたんですよ。日下部さんも素直に"綾美も行くから一緒に行こう"って言えないんですか?」
私は抹茶プリンを食べながら、日下部さんにつっけんどんに言う。
私と二人きりにならない様に二人を誘ったのかもしれないが、高橋さんを応援したい気持ちも健在していただろうから、それならそうとストレートに誘えば良いのに。
高橋さんの為にって見透かされたくなくて上手く誘えなかったのか、単にからかいたかっただけなのか・・・。
「そうなんですか…!もちろん、行きます」
高橋さんの目がキラキラと輝いて見える。
綾美と一緒に出かける事がよっぽど嬉しいのだろう。
「じゃぁ、交代で運転な!」
「まさか…それが目的じゃ…」
喜びに満ちている高橋さんにとどめの一撃を放ち、優越感に浸っているかの様な日下部さんは本当に性格が悪いと思う。
『レンタカーを借りようか?』とは言っていたが、まさか高橋さんにも運転させるとは思わなかった。
高橋さんの言った"目的"も誘う理由の中の正解の一部だろう。
1
お気に入りに追加
180
あなたにおすすめの小説

甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。

【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
雪井しい
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。
【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】
☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆
※ベリーズカフェでも掲載中
※推敲、校正前のものです。ご注意下さい

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
Perverse
伊吹美香
恋愛
『高嶺の花』なんて立派なものじゃない
ただ一人の女として愛してほしいだけなの…
あなたはゆっくりと私の心に浸食してくる
触れ合う身体は熱いのに
あなたの心がわからない…
あなたは私に何を求めてるの?
私の気持ちはあなたに届いているの?
周りからは高嶺の花と呼ばれ本当の自分を出し切れずに悩んでいる女
三崎結菜
×
口も態度も悪いが営業成績No.1で結菜を振り回す冷たい同期男
柴垣義人
大人オフィスラブ
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる