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糖度5*忘年会には危険がいっぱい!?
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日下部さんにウェディング参入のデザイナーの話を聞いた時はビックリし過ぎて、またいつもの冗談だと思っていたが・・・
本当に社長の希望だったとは!
認めて頂けて嬉しい反面、今まで以上に頑張らなくては!
「ありがとうございます。ご期待に添える様に頑張ります!」
手を差し出され、緊張しながらも私も握手をする。
社長はいつも柔らかい話方をする女性で、身なりも綺麗にしていて常に若々しい印象。
日下部さんの言っている言葉が本当ならば、香坂君のお母さんなんだ。
そう言われてみれば、目元とか似てるかも?
「アレが大好きな有澄君のおかーさんね。似てるんじゃない?」
社長が去った後に耳元で小さく呟かれ、私は日下部さんの足をヒールのカカトで踏んだ。
「いってぇ!」
「余計なお世話です。今のは教えてくれたお礼ね!」
意地悪が過ぎるから咄嗟の行動だった。
「あはは、日下部さんの足を踏みつけるとは!秋葉さん面白いですね。そんな事やりたくても誰もやれませんよ?」
「たーかーはーしっ!!」
「な、何でもないです!」
足を踏みつけた時を見ていた高橋さんは笑いが止まらないらしく、日下部さんをからかうと怒り出してしまい、高橋さんは慌てふためいた。
先輩後輩として本当に仲が良い。
私はこのじゃれ合いを見るのが好き。
綾美も含めて4人で、ずっとずっと、楽しいまま過ごせたら良いな───・・・・・・
゚*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚
ビンゴ大会も終了し、社長の閉会の挨拶も無事に済み、約二時間の忘年会は幕を閉じた。
飾り付けに使った小物を外したり、ビンゴカードの余りを回収したりと後片付けを済ませて、企画開発部は解散になる。
高橋さんは日下部さんに捕まり、担当ではないのに後片付けをさせられている。
片付けを済ませて、宴会場を出ようとしたら日下部さんがしおらしくお願いをしてきた。
私はメンバーに入ってないけど!
「杉野と高橋、30分だけでもいいから付き合って。もちろん奢ります」
「高橋君と渋谷の青色のイルミ見に行く約束してたのに!」
「そうですよ、邪魔しないで下さい!」
お願いしてきたのには訳がある。
女子社員達が「日下部部長と二次会作戦」と言って、エントランスで待っているらしい。
重役との二次会も片付けを理由に上手く交わしたのに、女子社員の二次会に捕まったら、元も子も無いから焦っている。
「じゃあせめて、ホテル出るまでかくまって」
「フロント前を通らずに帰ればいいと思います」
綾美がそう言うとあっさり「そうか、よく考えたらそうだな」と納得した様子だった。
私達はフロント前を通らない様に、コンビニと繋がっているドアから出る事にした。
女子社員には気付かれずに済んだ様だった。
駅に着くと綾美達とは別れ、日下部さんと二人になった。
『渋谷のイルミネーションを一緒に見に行く?』と綾美から誘われ、高橋さんの邪魔はしちゃいけないと思い断ったのはいいのだけれど・・・自然と二人きりになってしまうのは必然だった。
見に行かないにしても一緒に電車に乗って途中下車すれば良かった。
「わ、私はもう帰りますので!」
「送っていく。もう遅いから」
逃げるが勝ちと思い、駅のホームに向かおうとすると左腕を掴まれた。
「日下部さん、彼氏じゃないし。送って貰う理由がないです」
「じゃあ・・・上司としてか、お兄ちゃんとして」
「どれも嫌ですっ」
人々が行き交う駅の構内で立ち止まる私達。
迷惑になっているのは充分承知しているけれど、手を振り解けない。
「私…ここ何日か、香坂君のアパートから通っています。だから、自分のアパートには帰らないので…」
恥を偲んで話したのだが、何故かクスクスと笑う日下部さん。
「おままごと生活してる訳?まぁ、せいぜい楽しめば良いんじゃない?」
「おままごとじゃないです!」
本当に頭に来て、ついつい声を張り上げてしまって通行人が思わず振り返る。
私は恥ずかしい気持ちでいっぱいになり、赤面してるだろう顔を隠すように下を向いた。
「と、とにかく私は早く帰りたいので。さようなら。良いお年を!」
無理矢理に腕をほどいて改札口へと向かう。
足早に向かいながらスマホを取り出すと、香坂君に忘年会の終了時に『今終わったからもうすぐ帰ります』とメッセージアプリで連絡しておいた返事が返ってきていた。
『待ってるの退屈。心配だしお迎え行くね』の返事と『着いたから改札口辺りで待ってる』と2つのメッセージあり。
お迎え来てくれたんだ!心配だからって、何だか照れてしまうけれど、本当に嬉しい。
日下部さんに心配して貰わなくても、私には香坂君が居るから大丈夫。
鉢合わせにもなるし、鵜呑みにして送って貰わなくて良かったと心底思った。
改札口付近に向かうとキャメル色のダッフルコートに濃紺のニット、黒のパンツを履いた香坂君を発見したので手を振った。
「香坂君、ありがとう」
「お疲れ様。飲み過ぎなかった?」
「飲み過ぎるどころじゃなかった…全然飲んでないよ。疲れたぁ…」
「大変なんだね、会社の飲み会って。帰りながら話聞かせて」
「うん」
改札口を通り、香坂君に近寄ると自然と手を繋いで人混みの中へと消える。
香坂君が社長の息子って聞いたけど、今はまだ知らない振りをしていよう。
仕事に前向きなんだし、今は聞くタイミングではないから───・・・・・・
本当に社長の希望だったとは!
認めて頂けて嬉しい反面、今まで以上に頑張らなくては!
「ありがとうございます。ご期待に添える様に頑張ります!」
手を差し出され、緊張しながらも私も握手をする。
社長はいつも柔らかい話方をする女性で、身なりも綺麗にしていて常に若々しい印象。
日下部さんの言っている言葉が本当ならば、香坂君のお母さんなんだ。
そう言われてみれば、目元とか似てるかも?
「アレが大好きな有澄君のおかーさんね。似てるんじゃない?」
社長が去った後に耳元で小さく呟かれ、私は日下部さんの足をヒールのカカトで踏んだ。
「いってぇ!」
「余計なお世話です。今のは教えてくれたお礼ね!」
意地悪が過ぎるから咄嗟の行動だった。
「あはは、日下部さんの足を踏みつけるとは!秋葉さん面白いですね。そんな事やりたくても誰もやれませんよ?」
「たーかーはーしっ!!」
「な、何でもないです!」
足を踏みつけた時を見ていた高橋さんは笑いが止まらないらしく、日下部さんをからかうと怒り出してしまい、高橋さんは慌てふためいた。
先輩後輩として本当に仲が良い。
私はこのじゃれ合いを見るのが好き。
綾美も含めて4人で、ずっとずっと、楽しいまま過ごせたら良いな───・・・・・・
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ビンゴ大会も終了し、社長の閉会の挨拶も無事に済み、約二時間の忘年会は幕を閉じた。
飾り付けに使った小物を外したり、ビンゴカードの余りを回収したりと後片付けを済ませて、企画開発部は解散になる。
高橋さんは日下部さんに捕まり、担当ではないのに後片付けをさせられている。
片付けを済ませて、宴会場を出ようとしたら日下部さんがしおらしくお願いをしてきた。
私はメンバーに入ってないけど!
「杉野と高橋、30分だけでもいいから付き合って。もちろん奢ります」
「高橋君と渋谷の青色のイルミ見に行く約束してたのに!」
「そうですよ、邪魔しないで下さい!」
お願いしてきたのには訳がある。
女子社員達が「日下部部長と二次会作戦」と言って、エントランスで待っているらしい。
重役との二次会も片付けを理由に上手く交わしたのに、女子社員の二次会に捕まったら、元も子も無いから焦っている。
「じゃあせめて、ホテル出るまでかくまって」
「フロント前を通らずに帰ればいいと思います」
綾美がそう言うとあっさり「そうか、よく考えたらそうだな」と納得した様子だった。
私達はフロント前を通らない様に、コンビニと繋がっているドアから出る事にした。
女子社員には気付かれずに済んだ様だった。
駅に着くと綾美達とは別れ、日下部さんと二人になった。
『渋谷のイルミネーションを一緒に見に行く?』と綾美から誘われ、高橋さんの邪魔はしちゃいけないと思い断ったのはいいのだけれど・・・自然と二人きりになってしまうのは必然だった。
見に行かないにしても一緒に電車に乗って途中下車すれば良かった。
「わ、私はもう帰りますので!」
「送っていく。もう遅いから」
逃げるが勝ちと思い、駅のホームに向かおうとすると左腕を掴まれた。
「日下部さん、彼氏じゃないし。送って貰う理由がないです」
「じゃあ・・・上司としてか、お兄ちゃんとして」
「どれも嫌ですっ」
人々が行き交う駅の構内で立ち止まる私達。
迷惑になっているのは充分承知しているけれど、手を振り解けない。
「私…ここ何日か、香坂君のアパートから通っています。だから、自分のアパートには帰らないので…」
恥を偲んで話したのだが、何故かクスクスと笑う日下部さん。
「おままごと生活してる訳?まぁ、せいぜい楽しめば良いんじゃない?」
「おままごとじゃないです!」
本当に頭に来て、ついつい声を張り上げてしまって通行人が思わず振り返る。
私は恥ずかしい気持ちでいっぱいになり、赤面してるだろう顔を隠すように下を向いた。
「と、とにかく私は早く帰りたいので。さようなら。良いお年を!」
無理矢理に腕をほどいて改札口へと向かう。
足早に向かいながらスマホを取り出すと、香坂君に忘年会の終了時に『今終わったからもうすぐ帰ります』とメッセージアプリで連絡しておいた返事が返ってきていた。
『待ってるの退屈。心配だしお迎え行くね』の返事と『着いたから改札口辺りで待ってる』と2つのメッセージあり。
お迎え来てくれたんだ!心配だからって、何だか照れてしまうけれど、本当に嬉しい。
日下部さんに心配して貰わなくても、私には香坂君が居るから大丈夫。
鉢合わせにもなるし、鵜呑みにして送って貰わなくて良かったと心底思った。
改札口付近に向かうとキャメル色のダッフルコートに濃紺のニット、黒のパンツを履いた香坂君を発見したので手を振った。
「香坂君、ありがとう」
「お疲れ様。飲み過ぎなかった?」
「飲み過ぎるどころじゃなかった…全然飲んでないよ。疲れたぁ…」
「大変なんだね、会社の飲み会って。帰りながら話聞かせて」
「うん」
改札口を通り、香坂君に近寄ると自然と手を繋いで人混みの中へと消える。
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